闇は光を際立たせる

自殺をテーマとした短編集。
私小説風の文体で丁寧に重ねられた言葉たち。その一つ一つが生と死のせめぎ合いを演出しています。

自殺をテーマにし苦悩や葛藤を掘り下げる作品は苦さだけが残ると言う人もいます。また、落ち込んだ人は闇の部分に惹きこまれ死を美化するとも言われます。

ですが私は闇があるから光が際立ち、苦悩があるから希望が煌めく捉えています。
本作は死に向き合う事で生を浮き彫りにし、辛い現状に苦悩する事で日常の鮮麗さを描いていると思います。

多くの方に読んで頂きたい良作短編集。
是非是非!