第3話「生徒警察にざまぁを」

「癒しタイム、癒しタイム」


体育教師 剛乃譲(ごうの ゆずる)は暇を見つけては

校舎裏に隠れてスマホを弄っている。



「(まったく生意気なガキを相手にするのは骨が折れるぜ。

今日はイキがってた生徒をクラスの奴らの前で叱ってやったからな。

これでアイツは教室でボッチ確定。恥ずかしくてしばらくはおとなしくしているだろう)」


ムフフ⋯⋯


俺の癒しは推しの女子生徒たちの写真を眺めること。

無防備に体育をしている姿はたまらん。


それにしても惜しかったのは“相馬マリナ”だ。


普段はあのメガネで地味子を演出しているがアレは絶対メガネを外したら美人だ。

あと一歩ってときに式柴とかいうガキが邪魔しやがって。


普段、教頭のババアにごますってるから若い女の子たちは見ているだけで癒されるぜ。


にしてもよぉ。

40過ぎのババアをお姉様と煽てたり、カラオケに深夜まで拘束されるのは勘弁ならねぇ。

しかもマイク握ったら手放さねぇし。

そろそろ学年主任にしてくれねぇと割に合わないぜ。


「まーたこの写真を売って一儲けするか。これだから体育教師はやめられねぇ」


ーー


「なんだ⁉︎ 急に景色が変わったぞ。 アレ? 俺の皮膚の色が緑に! なんだこの顔は⁉︎」


「ゴブリンだよ。それも大型のな」

「誰だ貴様⁉︎ ここは学校の敷地内だぞ」

「俺は“ディート” ゴブリンを狩に来た冒険者だよ」

「はあ? てか“剣” 凶器かよ!」

「いくぜ!」

「おい⁉︎ 待てよ! ん?棍棒? これならそんなやわな剣へし折れるぜ!」


ーー


「(ウソだろ? 棍棒が真っ二つだと) ーーって頬が斬られた。めっちゃ痛てぇ。どこへ行きやがった」


「うしろだよ『フローズ・フリーズ!』」


「⁉︎ どうなっていやがる⁉︎ 今度は靴が氷はじめた。

しかもどんどんと上まで⁉︎ どうなっているんだ⁉︎」


「よそ見をするなよ」


ーー


「ぎゃあああ! 腕が!腕が! 血が噴き出てるぅうう!」

「一撃では殺さねぇよ。じわじわとHP削ってゼロにしてやる」


剛乃の悲鳴と血飛沫の音が交差する。


『ぎゃあああ』


“ブシュー”


『ぎゃあああ』


“ブシュー”


『ぎゃあああ』



「これでHPゼロだ」

「スッキリした? “ディート”」

「いや、本番はこれからだよ」


***


『剛乃先生!剛乃先生!』

「⋯⋯バ、いや教頭先生⋯⋯」

「こんなところで倒れていたからびっくりしましたよ」

「俺はいったい⋯⋯⁉︎」


剛乃はこのとき窓ガラスに映る自分の姿を見て衝撃を覚えた。


「なんだコレは⁉︎ 俺の髪の毛が緑色に⋯⋯」


そうゴブリンと同じ緑色だ。


剛乃は何度も黒く染めようと試みたがうまくいかず。


校則から髪の毛の色の指定が消えた。


そして剛乃の罰はコレだけではない。

落ちていたスマホから女子生徒を隠し撮りしていたことが教頭にバレた剛乃は

俺が停学が免除されて戻って来る頃には学校から姿を消していた。


「風通し、少し良くなったでしょ?」

「相馬⋯⋯お前は何者なんだ?」

「⋯⋯管理人」

「そっか。まだだぜ相馬。この学校から“すべての生徒警察”を駆逐するまではな」



おわり

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教師という名の“生徒警察”にざまぁを! ドットオー @dogt

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