09 たより
シュドは俺を頼っていた。
「我儘な事は分かっています、正気の沙汰ではない事でも、でもティナをたすけてください。お願いします、たより」
俺にならできるかもしれないと、期待して頼ってくれたのだ。
俺は、その言葉を受けて、店に帰った。
そしてあいかわらずふらふら生きてる薬師のおっさんに向けて手紙を書いて、店を離れた。
復興した後も、都の一画に残っている地面の裂け目へ。
この都は、以前のにぎやかさをとりもどしつつある。
けれど、全部が全部元通りになったわけじゃない。
戻らなかったもの多くあった。
普通ならそれに見切りをつけて、前に進むのが一番だ。
けれど、そうはできない人もいる。
さっきのあの墓参りでも、周囲に目を向ければ他にもたくさんの人が訪れていた。
だから、俺はもう一度くりかえす事にしたのだ。
「ごめんなティナ。シュド。あとついでにおっっさん」
死んでしまった人と、生きてる人、そしてひょっとしたらこの世界に残されるかもしれない人にあやまって、俺はその裂け目へとびこんだ。
だって人生で初めて人に頼られたんだぜ。
ならそれに、応えたいって思うじゃん。
崩落大地と共に何度もループするちょい役の話 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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