千佳と梨花、猫と手を取り合って、その名も『キャッツハンド』

大創 淳

第九回 お題は「猫の手を借りた結果」……今宵は、ミステリーガールズ。


 ――その名も『キャッツハンド』


 天下の大泥棒の代名詞。カードに認められた予告状。『シンデレラの刻に頂きます!』



 って、一体何を? 漠然としたものを盗むの。僕と梨花りかは今宵限りの実行犯、ニャンコ先生とともに三人組で……とある学校の、七不思議ともいわれる絵画を盗むの。


 でも、絵画といっても、七種類もある。七不思議なだけに……


 もちろん厳重な警戒態勢。それにしても、僕らを捕まえることに執念を燃やす人もいるの。よりにもよって太郎たろう君がいるの。彼が中心のようだ。彼は、僕の彼氏……


 僕は自分のことを『僕』と言っても、列記とした女の子だ。梨花もまた然り。この類のメンバーにもいたはずなの、僕らと同じボクッ娘。この度の依頼主は、まさに彼女……


 と、ニャンコ先生は言っていた。そのボクッ娘との接点は、僕らにはないけれど、盗もうとしている絵画は、何でも僕らのパパが関係しているそうなの。


 娘なら知りたい、パパの秘密……ってことなの。だからこそ入手したい。そのために僕と梨花は、ニャンコ先生の手を借りたから『キャッツハンド』を名乗ることとなった。


 何かの間違いと思いたいの。


 本家のキャッツハンドのボクッ娘と、姉妹だなんて。パパに隠し子なんていないということを。その手掛かりは一枚の絵画にあると言ったから、そのボクッ娘が。


 七種類の内の一つにあるの。見極める方法は、昔ながらの炙り出し。文字が浮かび上がるという。それはどの様な形となるのだろうか? その時は、疾風の如く訪れた……


 まずは体育館。晒されている一枚の絵画。ハッキリ言って罠も罠。とっても解り易いトラップ。トラップ一家の趣だから、その絵画も、キャットフードも飾られて……って、


「よし! 捕らえた!」


 と、響く太郎君の声。覚えたてのキャット空中三回転に講じるも、トリモチによって捕らえられた。太郎君のニヤける顔……「さて、その顔を拝むとするか」と、そこでパッと明るくなる。「おはよ、千佳ちか」と、太郎君の声。ちょっとした転寝の午後三時だった。


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千佳と梨花、猫と手を取り合って、その名も『キャッツハンド』 大創 淳 @jun-0824

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