ネコネコにゃんにゃん♬—君に“シェア”してあげる!—

DITinoue(上楽竜文)

コーンスネークがくれたもの~猫が貸してくれたもの~

 愛猫家の私は小説を書くことに夢中になっている・・・・・カメラマンなんだ!!

私は、動物カメラマンだ。でも、アフリカのサバンナとかアマゾンの熱帯雨林とかに出張するわけじゃないんだよね。

私のテーマは「身近な生き物」そこらにいる、スズメとか、ハトとか、メダカとかの野生動物。東京の街中を歩く、タヌキの写真集を作った時と言ったら、それはウケた。


ミャーオ

私の愛猫が眠そうにあくびをした。ネコの名前は、ココア。茶色っぽい猫で、すごくなついている。まあまあ、ネコのツンデレな感じは残っているけど。活発で、元気のいい。お行儀もいい。そしてそして、何よりもカワイイ!!!!かわいいもの大好き!!!!!かわいいしか勝たん!!!!!!!!


 カタカタカタカタ

今、私はまさに小説を書いている。

今書いている小説はコレ!「猫の手も借りたい!って思って借りたなら・・・・・」っていう短編小説なんだ♪童話風で、現代ファンタジー(?)的なもの。

小説投稿サイトの「カキヨミ」で書いてるんだよ~!


この作品は、めちゃめちゃ忙しい、新聞配達員が主人公。子供とか奥さんとか、親とか、学生の友達とかに広い配達地域を手伝ってもらってる。でも、彼の救世主は実はもっともっとみじかにいてね・・・・・。


それが、猫!!猫の名前は「ミルキィ」ミルキィちゃんがそこらの動物を集めちゃったんだ!その動物たちみんなで、新聞配達を手伝いますと言って配達員デビュー☆彡けどけど、ネコちゃん配達員はやっぱりうまく配達できないし、人間の常識もよくわからない。だから、みんなを帰した。ミルキィは・・・・・。新聞社のマスコットとして可愛がられることに!そこで、社員みんなを元気づける、愛されガールになったんだよ!ってお話・・・・・。


が、全然ウケないんだよ!!!!評価を表す、♡とか☆はつかないよ。私の小説は何がダメなんだろう?


 トゥルルルルル

電話が鳴った。小説に関して何かオファーでもあったのかな?!

ガチャ

受話器を取った。

『もしもし。栄撮社の三室昴みむろすばるです。新しい撮影の注文が入ったので、本社まで来てくれませんか』


栄撮社とは、私が勤めている写真撮影会社。昴さんは、面倒見の良い、超イケメン!撮影技術もすごくて、私のあこがれる先輩!なおかつ、仲のいい親友みたいな存在だ。


「分かりました!すぐ行きます!!どんな注文なんですか??」

『井垣さんという男性が、家にいるコーンスネークを撮ってほしいと』

「スネーク・・・・・?ヘビですか?」

『その通りです』

「わわ、分かりました。行きますね」

そう言って、電話を切った。

ささっと、出社用の服装に着替えると、バイクに飛び乗り、やる気エンジン満開で撮影へ向かった!!


 社での打ち合わせを終えて、私と昴さん、そして、アシスタントの桐田美麗ちゃんの3人は、井垣さんの家に行った。

「よくぞお越し下さいました。私が井垣太我いがきたいがでございます」

そして、その腕に抱えられていたのは・・・・・ヘビ!!!!

「で、こっちが今回撮ってもらうコーンスネークのモロコです♬」

モロコちゃんはこっちをじっと見ている。カメラに興味があるのかな?

「よよよよよ、よろしくね、モロコちゃん」

私は緊張して・・・・・いや、怖くて言葉がガッチガチ・・・・・。


カシャカシャカシャカシャ

ヘビをモチーフに早速写真をたくさん撮る。いつの間にか、モロコちゃんにも“ほんの少しだけ”慣れてきた。休憩時間は、恒例の質問コーナー!!!!

「井垣さんにとって、ペットを飼うとは?」

「う~ん、自分のパートナーを作るということですかね」


「具体的に言うと?」

「つまり、限りある命を共にする、お互いを助け合う、かけがえのないパートナーということです。ペットショップで一生を終える子もいると聞きました。僕は出来ればペットショップのみんなを引き取ってみたいですね」

ほうほう。それは大きい夢を持っているなぁと思った。


「でも、その前に捨て犬や捨て猫など、飼い主に見放された子のことを考えてほしい。そのために、NPO法人にも入っています。犬や猫は大切な家族の一員だったはずなのに、急に家族だと思っていた、信じていた人にポイと捨てられる。小学生の道徳を考えたらわかります」

もっともだと思った。

「自分がその立場になってみたらどうだ?間違えなく、ショックですよね。信じていた人に裏切られるのだから。小学生のような幼い心で考えると、すぐにわかることだと思います。あ、すみません、熱が入って長くなってしまって」


「あの、質問なんですけど、何でコーンスネークを選んだんですか?」

「何でか・・・・・。この子は、当時、ペットショップで闘病中だったんです。病気のような個体は購入しない方が良いと言われますが、僕はそんなことはないと思いました。この子の生命の可能性を信じればきっと治るはずだ。そう思って、この子を飼ったんです。そして、世話を続けるとみるみる回復していきました」

「よかったですね」

私は、この人が輝いて見える。


「犬猫みたいにかわいくなくって、時には気持ち悪いという人もいるかも知れません。でも、これは命なんです。僕らと同じ命を見た目なんぞで分けてはいけません。それでは差別です」

井垣さんは力強く言った。質問タイムが長くなっている。それでも、私は止まらなかった。

「ですよね。あの――私、NPO入っていいですか?」

言った。彼は一瞬戸惑ったが、笑顔で言った。

「いいですよ。大歓迎です!!動物の権利のために戦いましょう!!」

「は、はい!!」


 撮影は、続き、午前10時ごろに終わった。

「それでは、NPOの申し込みはコチラでして置きます。パンフレットを渡しておきますね」

「はい!!!!よろしくお願いします!!!!!!」

そして、撮影終了。解散となると、足早にバイクに飛び乗り、エンジンをかけた。


家について、私はデジカメを手に取った。一眼レフを主に使う私は、ほとんどデジカメなんか手に取ってない。久しぶりに電源を入れて、試し用にシャッターを押した。

よし、今から撮影開始だ!!!!「ちゅりちゅり」というネコが好きなエサを持つ。向かう先は当然・・・・・ココア!!!!

「ミャー!!」

ココアは興奮して手からエサを採る。その様子をしっかりとカメラに収めた。

それから、キャットタワーに登った姿、水槽のメダカを見ている姿、テレビの中のイヌとにらめっこをする姿、厨房の私の足に飛びつく姿——たくさんの写真を撮った。


「今から、ロケだよ!」

ロケ地は、近くの公園だ。私はアシスタントの美麗ちゃんを連れて、芝生に立った。

「珍しいですね。自分の撮影に付き合ってくれなんて」

「モロコちゃんと井垣さんに教えてもらったことがあるから実践しようと思って」

そう言って、私とココアは桜の前に立った。その様子を一枚。そして、ココアを解放して、色んな所で遊んでいる写真を何枚か。サクラの吹雪の中のココアを何枚も撮った。


私たちは、写真を撮りながらちょうちょを追いかけ始めたココアを急いで追う。桜の花びらが落ちている、水たまりの中のココアを見つけた。その様子もしっかり記録。それから、雨の後の泥にダイブした、ココアを撮った。どろんこだ。その様子もしっかり撮った。


ペットショップの友達に協力してもらって、何種類かの両生類、爬虫類との共演もしてもらった。ワニ、カメ、トカゲ、ヘビ、カエル、イモリ、ウーパールーパー。さらに、昆虫とも映った。

その写真を何に使うかはみんなわかったろう。NPOに使うのだ。見た目だけではない。みんな命だということを。


 気づけば、出版していた。『茶ネコのの日々是好日』というフォトアルバム風の本だ。私の手描きの解説も添えた。結果は・・・・・バカ売れした~!!!!

NPOでも、写真を撮り続けた。気持ち悪いと言われる生物もたくさん撮った。保護施設の動物もたくさん撮った。日常の中の生き物も、ペットの動物も。「みんなみんな生きている」というコンセプトで活動中だ。


あの日から、およそ1年。私はまだ小説を諦めてはいない。カキヨミを開け、新規作品をクリックする。タイトルには「ネコネコにゃんにゃん♬」と入れた。これは、私の集大成のようなものだ。私の本当の実体験を描いたノンフィクション小説は・・・・・意外と評価は高かった。

「ヨカッタヨカッタ」

この作品が読まれなかったら、私は当然、撮影に協力してくれた人や井垣さん、NPOの仲間、何よりも動物ががっくり来るかなぁと思ったから・・・・・。とはいっても、ランキングは50位程度。もっと行ってもいいかも。1位に着くために、動物愛護の活動を続けるのだ。


小説を書き終え、パソコンを閉じると、ココアがイスの上に飛び乗ってきた。今回ので、「ネコネコにゃんにゃん♬」が完結したのだ。

おめでとうと言うように、ココアは私の手に、肉球を乗せてきた。

そういえば――今日は、ココアの誕生日だ。これまで、何度も私を癒してくれた。何度も、私を励ましてくれた。そんな私の“ベストパートナー”にお礼ぐらい言わないとダメだよね。

厨房に立ち、慣れないお菓子作りをした。人も猫も食べられるように作ったバースデーケーキだ。チョコプレートに書いた文字は――「君がシェアしてくれた愛が私の宝♬」

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