短編小説「大獅子(=おおじし)になってしまった株式投資家」

jxxgod

第1話

*ライブドアショックが起きた2006年1月に浅藤浜磯(=あさふじはまいそ)は株式投資を始めた。しばらくして浅藤は漫画カイジ6巻を読んだ。カイジ6巻では利根川が「カネは命より重い」と言った。浅藤は確かにそうだと思った。株式市場では毎日たくさんの人がカネのやり取りをしている。つまり株式市場では毎日たくさんの人が殺し合いをしているということだ。浅藤は死ぬ覚悟を決めた。株式市場は殺し合いの場所であると認識しないと勝ち残って大金持ちになれないからだ。株式市場で安全に逃げ回っていると小金持ちにしかなれないからだ。

*また浅藤には株式投資の才能と自信と情熱があった。才能を見極めることは大事だ。ペンギンは空を飛べないが海を泳げるからだ。自信を持ち続けることも大事だ。「俺は凄いペンギンになる!」と自分を信じないと他ペンギンが軽く煽るだけで萎えてしまうからだ。情熱を燃やし続けることも大事だ。ペンギンでも泳ぐ気がなければ泳ぎは上手くならないからだ。

*2022年、浅藤は資産数千億円の巨大投資家になった。大金を持て余した浅藤は株式投資での殺し合いの理論を現実社会に持ち込んだ。株オフ会で知り合った間抜けそうな奴らを大金を使って連続殺人した。浅藤はただ楽しむためだけに連続殺人した。しかし、間抜けそうな奴らの一人が浅藤の連続殺人に気づいた。そいつは証拠を押さえ弁護士と連携し検察庁に刑事告訴した。

*ある朝6時に東京地検特捜部10人が東京にある浅藤の自宅タワーマンションを訪れた。検察官「浅藤さん、東京地検特捜部です。カギを開けてください」。浅藤はインターホンを見ると何も言わずにカギを開けた。浅藤は覚悟した。浅藤は広いリビングの床に一人でアグラをかいて座った。最近、妻子は別居した。

*浅藤はなぜ逮捕されるか分からなかった。浅藤「この世は殺し合いのはずだ。だから俺は殺しただけだ。俺は全く悪くない」。確かにこの世は殺し合いだ。人は動物や植物などの生き物を食べる。それは殺しだ。野生の動物も殺し合って勝った方が負けた方を食べている。しかし2022年の日本では人が他人を殺すと殺人罪で裁かれる。この世は殺し合いだが2022年の日本では人が他人を殺すと罰せられるだけだ。

*浅藤は「この世は殺し合いだと知人たちと話しても共感してくれる人はとても少なかったなあ」と独り言をつぶやいた。すると浅藤の体から金色の毛がザワザワと生えてきた。浅藤の顔や手や足はすぐに獅子のものになった。浅藤は高さ2メートルを超える大獅子(=おおじし)になってしまった。

*カギが開いていたので東京地検特捜部10人がリビングに入ってきた。東京地検特捜部10人は驚愕した。リビングには浅藤だけがいると思ったが大獅子がいたからだ。浅藤だった大獅子は東京地検特捜部10人を襲った。ものの2分間で大獅子は東京地検特捜部10人全員を殺した。大獅子は涙をこぼした。その涙は「獣の道に足を踏み入れたせいで身も心も獣になってしまった」という悲しい涙だった。

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