猫の手を借りた結果

Azu Kian

第0話「お仕事はデブリ処理」

 ピンチっす。こんな大量の宇宙ゴミ俺っちの工作艦こうさくかん処理しょりするなんて絶対ムリっす。

 それも戦艦のスクラップとか最悪っす。すぐに艦隊かんたい派遣はけんを要請しないとちょうマズイっす。


 もうこんな仕事やめたいっす。でもめたら彼女に結婚を申し込めないっすこまるっす。

 そうだ先にプロポーズしてから仕事を変えれば大丈夫かも。とか考えていたら思ったより早く増援ぞうえん艦隊が到着しったす。


 小規模な増援艦隊なんで火力不足だろうし、それに若い司令が一人ひとりだけで頼りない感じっす。


「作戦中の一切いっさいの記録禁止と機密きみつ保持ほじの条件は守れますか」

 そんな条件あったかな・・・どう返事したらと俺っち顔に出たっすか?めた目で溜息ためいきつかないで欲しいっす。


「実は皇立研究院の来ました。最高機密に属する秘密実験の一環いっかんとして、な事だったのですが、お断りするしかありません」

 俺っちは運がいいっすチャンスっす、これを逃したら次はないっす。皇立研究院の実験とか超ヤバそうっすけど、すぐに了解したっす。



 まるで画面の上にもったほこりを指先でなでる様に宇宙ゴミが消えていくっす。

 特殊とくしゅ頑丈がんじょう・高価な部材は回収されてるジャンクだけど元は宇宙戦艦す。秘密兵器すごすぎっす!まるで魔法みたいっす。


 「良い実験ができました。くれぐれも今回の件は内密ないみつに」



 無事に宇宙ゴミの処理を完了した俺っちは彼女に告白して玉砕ぎょくさいしちまったっす。

 自棄やけになって仕事を辞めようとしてたら、部署の移動があって新しい彼女と出会って結婚して幸せっす。


 色々ありすぎて、あの時の事はいつの間にか自然とすっかり忘れてしまたっす。


 そう言うわけで、深淵しんえん魔獣まじゅうと呼ばれる艦隊司令の噂話うわさばなしを耳にしても、あの司令を思い出すことは全然なかったす。

 マジっす。




 ☆

 ☆☆

 ☆☆☆


 謎の派遣司令は他にも色々お仕事しています。

 関連作「ようこそ我が艦隊へ!新入生の皆さん宇宙実習の時間ですよ」

 https://kakuyomu.jp/works/16817139555262222732

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

猫の手を借りた結果 Azu Kian @sencyo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説