第2話 ピンク色に染まった魂(続メッセージ)

産まれる前の魂は無色透明な玉で、

命の芽が芽吹いた時、其処に宿ることになるのです。

その芽の色は、始めから決まっていて

男の子は、ブルー色

女の子は、ピンク色

それに合わせて魂の玉も染まっていきました。



けれど、時々どちらにも染まらずに

パープル色になった玉がありました。

パープル色の玉は、

ブルーの体にも、

ピンクの体にもピッタリ収まることはなく、

居心地が悪いものでした。

パープル色の玉は

なろうと思えばどちらの色にもなれました。



そうして、

パープル色の玉を持ったまま

僕は男の子として産まれました。

ブルーの体に合うブルーになれば、

困ることはないはずなのに、

何故か体に合わないピンク色になりたいのです。



その後も、

ピンク色に染まりたいと思ていたパープル色の玉は、困っていました。

たとえ、ピンク色になっても

収まる体がないんです。



それでも、

パープル色の玉は、ピンク色に染まりました。



そんな僕の

パパとママは、最初は困っていたけれど、

そのうち酷く悲しんで、

嫌な言葉を投げ掛けて僕を傷つけました。

そんな言葉と裏腹に

とても心配してくれている事も

充分伝わっていました。



大人になった僕は、

家を出て、自分らしく生きると決めました。

ピンク色の玉が体にフィットせず辛かったので、少しずつ、収まるように体を変えました。

そうすると、居心地良く暮らせるようになりました。

でも、僕が何故こんな事になってしまったかは、いくら調べても答えが見つかりませんでした。





それから何年かして、パパが亡くなり、

僕の事が心残りだと言うママの命が残り少なくなって、病院へお見舞いに行きました。



ママは、今にも死んでしまいそうな状態でした。

だけど、最後の力を振り絞り言いました。




貴方を生きずらくさせてしまって、ごめんね。

今の私は、もう体を半分抜け出しているから

わかったの。

貴方が、そんな風になったのは、

私の潜在意識のせいだって。

自分でも、思い出すこともなく、すっかり忘れてしまっていたけど、何処か、奥深くにあった気持ち。

--私が、まだ小さかった頃、

いつか結婚して子供を持つなら、絶対女の子がいいと思っていた……(すっかり忘れていた記憶)



パパと結婚した時も、女の子が欲しいと思っていた。(それは、覚えてる)

でも、産まれてきたのは男の子ばかりで、

ちょっとがっかりしたけれど、直ぐに何とも思わなくなった。

授かった命は性別に関係なく、可愛く愛おしかったから。



記憶になかった潜在意識を

今の私には、何故か知ることが出来るの。

女の子が欲しかった。



そして、それを無色透明の優しい貴方が

受け取ってしまった。



だから、ごめんね。

だけど、有難う。

私はとっても嬉しいわ。

娘となって産まれてきてくれたんだから。




ピンク色の魂の玉を持った愛しい娘



そして、ママは静かに目を閉じました。

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