君は、オードブルか?

@takami001

第1話 バスの乗り方がわからない同じ中学の生徒の話。

4月3日、午前6時半、新型アンドロイドのスマホのアラームが鳴る。


両親が入学祝いにと、初めてスマホを持たせてくれたそのアラームだ。


だが、暖かい布団から出るのは億劫だ。目覚めた時からもう二度寝したくてどうしようもない。


しかし、アラームが地味にうるさくて、二度寝する前にストレスで仕方がない。


アラームを止めるために学習机に置いてあるスマホを取りに布団から仕方なく出た。


それにしてもスマホのアラームを聞くのは初めてだ。


中学校の時はスマホなど持っていなく、学校のクラスのグループラインに入ることができなくて申し訳なかった。


しかし、それとは関係なしに、スマホを持ってなくても、中学の友達は仲良くしてくれた。


人格者な良い両親のもとで生まれ育った。


僕はいじめられたことも、いじめたこともない。


とてもありがたい。両親と今まで出会った友達には感謝している。


あ、遅れてしまって申し訳ない。


ここで自己紹介をするよ。


僕は藤沢拓人(ふじさわたくと)。


僕はいわゆる普通の青年だ。


それなりに勉強して、それなりに遊んで、それなりの結果を残してきた。


そうして、それなりの高校を受験し、受かった。


私立単願。公立高校は受けなかった。


田舎の方だと、公立高校の方が偏差値が高い高校が多い。


偏差値は42。平均よりかなり下。


だけど、いい就職先を探すなら、進学校で下の方よりも、底辺高校で下の方がまだいい就職ができる。真ん中あたりの高校で成績が中間よりもこっちの方が待遇されそうだし。


ここならちょうどいい。身の丈より少し下げた学校に合格して、余裕で卒業できる。


そう思っていた。


あともう一つ、僕がこの高校に志願したのは、とんでもない生徒、先生がいる。


とのことで評判だったからだ。どんなものなのだろうか?


気になって仕方がなかった。正直ワクワクした。


とのことで、遡るため半年前、体験入学してみると、そこには目を疑うようなものが広がってた。


「なんだ・・・これ?」


思わず、口に出して言ってしまった。


その状況は今でも鮮明に覚えている。


さて、説明しよう。


体験入学の話の時。


まずは高校に行くところから。


僕はバス停に行き、立ちながら本を読んで待っていた。


そうすると、声をかけられた。


体験入学に入る前、この発言、とんでもなかった。


「すみません、私用でバスに乗ったことがないんです。バスの乗り方教えていただけますか?」


僕はとても驚いた。バスに私用で乗ったことがない?どういうことだ?


こんなことを聞くのは小学生ぐらいかと思っていた。


しかし、しっかりと中学の学ランを着ている。同じ学校の生徒だろう。


見た目は中学生、知識は子供。名探偵・・・


やめておこう。とりあえず、どうしようか。


まあ、ここは一つ、質問をするか。


「あ、えーっと。バスの乗り方ですか?」


「はい、バスの乗り方がわからなくて・・・」


「バス、乗ったことないのですか?」


「学校の授業で一回だけありますが、小学校低学年のことなので覚えてません。」


「・・・分かりました。では、一緒に乗りましょう。」


「本当ですか!?ありがとうございます!」


・・・ということで、バスの乗り方がわからない生徒がいたので教えるために一緒に乗ることにした。


いきなりぶっ飛んだ発言があったのでびっくりして反応するのが遅くなった。


そして、バスの乗り方を教えている間、話をしてみると、この子は天然がひどすぎるようだ。そして、マナーのため、声は小さくして楽しく会話していた。


まあ、そのぐらいの天然なら・・・


と思っていたのはほんの一瞬だけだった。


次なる刺客が僕をまた唖然とさせる。


会話しながら、こんなことを思っていた。


学校まで行くには、僕の自宅からだと、一回バスを乗り換える必要がある。なので、それも教えたほうがいいだろう。自宅の近くだし、帰りも送って行こう。


バスが三回目のバス停に着いた頃、二人の学ランをきた生徒がバスに乗ってきた。


(流石に、バスの乗り方ぐらいわかるよな・・・)


と思っていると、整理券を取り、バスの後部座席に乗った。


流石にとんでもない生徒と先生の話は嘘だったのかな、と僕。


と思っていた次の瞬間、後ろの座席にいた二人組からとんでもない発言が出てきた。


「気持ち次第で、バスを乗り換えなくてもそのまま学校いけるでしょ!」


「ほんと!足の骨折ってもランニングする感覚だよな!」


僕は唖然とした。


・・・次章へ続く。

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