繊細で、硝子細工に似た優しい心を持つヒロインと、精悍で闇雲に突進することもある守り人。宿命で結ばれた二人を縦軸に、仇なす者たちの策謀と恩讐が絡み付き、物語は予想も付かない弧を描く。
二律背反を覆す術はあるのか。過去のような未来と、未来のような過去。伝説や伝承は古の匂いを放ちながら、現在と将来を変え得る何かに繋がる。自ら選択した宿命の軌道を突き進んだ果てに、二人を待ち受けるものは…
妖しくも艶やかに、きめ細やかな筆遣いで綴られる和風世界の幻想譚。惑わし、惑わされ、そして整えられた世界観の中に誘い込まれる。
<五章 玲瓏ノ魔眼編までのレビュー>
主人公が「鴉の妖」に出会い物語が始まります。
主人公は「妖」を狩る側である当主の娘で、治癒の力と過去を見る能力があり、死が定められているボディーガードである幼馴染の呪いを解く方法を探すため、自身の宿命みたいなものと対峙していきます。
感情の流れ等の心理描写が多く、暴力や死の扱いが重いので、読み手の好き嫌いがはっきり分かれるかもしれません。
比較的、女子が好きな世界観ではないかと思います。
主人公は何も出来なさそうではあるが「目的のためには猪突猛進」のようです。
幼馴染君は分かりやすいです「俺は信じる。だから俺を信じろ」みたいな性格です。
「バトル、恋愛、謎解き、その他」の要素が詰め込まれているため、物語の進展はスローなので、はやい展開が好きな読者様には向かないかもしれません。
丁寧な世界観が描写されている物語をじっくり読みたいというかたにお勧めします。
是非、一読してみて下さい。