泰山木の花咲いて 🎊

上月くるを

泰山木の花咲いて 🎊



 小説・童話・エッセイ・俳句……。🎠📔

 なんでもやってみるのが美知子流。🎡🐖


      *


 臆することがないのが自分のヘンなところだと自覚しているのだが……。(笑)

 このうち、もっとも遅く始めたのが俳句で、まだやっと4年目に入ったばかり。


 経験のない短詩型文芸のうちでなにを選ぶかについては少し迷った記憶がある。

 五七五を採るか、七七を加えた短歌を採るかだが、結局、本能が前者を推した。


 いまから振りかえれば、きわめて原始生物的な第六感は誤っていなかったと思う。

 この性格だ(笑)「われ泣きぬれて蟹とたはむる」にはついて行けなかったろう。


      *


 新人が生意気を言うようだが、ビギナーにやたらに好まれる俳人というのがいる。

 ◇子、△▽子、☆子など、いずれも男性の俳号だが、不思議と新人に受けがいい。


 だが、数を詠むと鑑賞眼も養われるので、味も素っ気もない自然詠は飽きられる。

 なんだか物足りないよねと言われては、草葉の陰で苦笑するしかあるまい。(笑)


      *


 一方、畏敬の念が薄れない、どころか、むしろ深まる俳人もわずかだが存在する。

 美知子の場合、その筆頭が二句一章(二物衝撃)を唱導した角川源義さんである。


 もうひとつの貌がKADOKAWAの創業者であることはむろん存じ上げていたが、

まさか「ところざわサクラタウン」で大先達にお会いできるとは思わなかった。



 ――ロダンの首泰山木の花得たり    源義



 長編小説にも匹敵する完璧な俳句が角川武蔵野ミュージアムの庭園にあったのだ。

 その泰山木をはじめ枝垂桜、撫子、桔梗、葛、芒など四季の草木に囲まれて……。


 カクヨムユーザーにとっての聖地に待っていてくれたドッキリは、初めての場所に行くときほとんど下調べをしない美知子流の旅の、うれしいサプライズでもあった。


 同敷地内の武蔵野坐令和神社には、巨大な鳳凰の天井絵(信州小布施岩松院の鳳凰を描いた北斎も吃驚の(笑))と、ニホンオオカミを模した2頭の神使像(狛犬)。


 いずれも美知子の過去の作品に共通するので、重ねがさねの偶然にも驚きながら、半世紀近く前に没した源義さんによる文学と事業の水脈を早春の大空に描いてみた。


 


 


 


 

 

 

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