ありがとう
その一言のもたらす、なんだか、ほんわか。
その「ほんわか」さを、余すところなく描かれています。
もちろん、ある特定の言葉を言えば、いつでもどんな場面でもそういう雰囲気になるわけでは、ない。
「ありがとう」という言葉も、そう。
散々な目に遭った相手に向って、
「世話になったな、ありがとさん、よう!」
と捨て台詞のように述べて、同じ雰囲気になるはずもないことから考えると、それは、明らか。
だが、「ありがとう」という言葉で、自分はもとより、周りをそこまで暖かく包み込めるところまで持って行けるのは、やはり、その言葉を発した者の「人徳」のなせるところではないだろうか。
このおばあさんのような人には、私は、なれないだろう。
だけど、せめて、それに近づく努力をしてみる価値は、確かにあると思う。