君と高校野球

一色 サラ

第1話

 高校1年生の時、「甲子園に舞台に立ちたい」と君は言っていた。

  私の部屋で、活躍する人達を君はテレビで観ていて熱が入っていたね。本当に、楽しそうに見えたよ。


 君と高校に入学して、クラスメイトとなった。周囲の子達はテレビで活躍するアイドルに夢中だったけど君は興味がなさそうだったね。私も興味がなかったので、君と出会えて助かった。いつも服や食べ物の話をすることが多かったね。

 夏休みに近づて時、君が「今年の高校野球どうなるのかな?」と言われて、私は戸惑った顔をしてしまったようだ。「プロ野球には興味ないだよ。高校野球が好きなだけで。でもニワカだから。言い訳みたいで、ごめん」と言ったいた。その時、顔を赤らめていて可愛かったよ。


 高校生2年の時、君が誘ってくれて夏休みに甲子園に行ったね。私はあまり野球に興味がなくて迷っていたけど、「絶対に後悔しないから」と君が言うから一緒に行くことにした。


『お待たせいたしました。準決勝、第2試合‥‥』

 場内アナウンスのウグイス嬢の声が、球場に響いてきて、あの時はワクワクした。真夏の暑さで汗を流しながら、観客席に座って一緒に応援したね。晴天で、暑さが厳しい中、そこに来ている人達が一喜一憂していた。

 私はルールは知らなかったので、どう観ればいいのか分からなかったけど有意義な時間が過ごすことができた。各学校の吹奏楽部の音色も楽しかった。それに、君といたから楽しい時間を過ごすことができたと思う。

 応援したチームは惜しくも、9回の裏で逆転負けしてしまったね。その負けたチームは甲子園に別れを惜しむように、土を集めてるのを君はじっと見つめていたね。

 君のそんな姿を見ることが出来て、本当に一緒に甲子園に来れてよかった思えたよ。君の絶対に後悔しないは本当だったね。

 

高校を卒業して、私は大学に行って、君は服飾の専門学校に行くことになって、別々の道を歩むことになった。

 

あれから10年、テレビから君の声が聞こえてきた。

「三番、サード、新井君」

 

君が甲子園でウグイス嬢として働くとは思ってもいなかったよ。

 

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君と高校野球 一色 サラ @Saku89make

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