第11話
「彼女は、僕のものだ。絶対に手を出すなよ」
底冷えのするような鋭い青い目で脅しつけられて、エリオットは大袈裟に身体を震わせた。
「はいはい。わかっているよ。兄貴の言う事には、いつも間違いはないし?」
「当然だ。今回、こうなることも全部計算の上だ」
長年傷ひとつつけまいと接触することを我慢していたオフィーリアと婚約するために、気の強いアリアナと婚約解消をして、黒い噂が飛び交う彼女の父親を失脚に追い込んだ。
そして、現王の片腕となる娘の公爵令嬢を娶ることで自分の王位継承を盤石にした上で、信頼している親友と縁続きになれることで気難しい父親へのご機嫌取りも完了した。
そして、何よりも正式に決まった婚約者を交替させるならと父王が出していた成人するまでは接触するなという条件を守り、自分は我慢することで、幼い頃から愛していた女の子オフィーリアの命を彼女が知らないままで救うことも出来た。
指折り数えた今回の兄の成果に、エリオットは小さくため息をついた。
「……俺。兄貴が王様でいる間は、この国大丈夫だと思う」
「今更、何を当たり前の事を言ってるんだ。行くぞ」
先を歩く兄に急かされて、エリオットは彼の背中を追った。
Fin
モブになりたい悪役令嬢、本命の王子様からご指名入ります♡ 待鳥園子 @machidori
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