本当はあの海を見ていたい。


短編小説ながら、作者は主人公の男を冷たく突き放すような視点で眺めている。
書かれた描写は、結構重く、ハードなもの。そんな文章がたんたんと続いてゆく。

でも、僕はこの世界観に引き込まれてゆく。主人公は過去の十字架を背負う男だろうか。けれど、読んでいく内に、彼のなげやりな心の闇が少しずつ透けてきます。

四人で遊びにいった九十九里。そこは、男の忘れられない海であったはず。あどけない娘との会話のやり取りにも冷めた視点が感じられてくる。プライドを捨て、やりきれないむなしさまで……。

でも、この海での戯れを起点にして、男にも一筋の光の欠片が届いてくるのではないでしょうか? そう願うばかりです。

駆け足で書いたので、まったくはずれたピンぼけの感想かも知れません。ごめんなさい。先に謝っておきます。