何処かで会った気がする彼女にまた逢える日は何時か来るのか?

JOY POP

第1話  海での出来事

 今日俺は元バイトの後輩に誘われて海に来ている。


 俺は高卒で一度社会人に為るが、其の仕事先で事故に遭い怪我と自慢の機能を失った、エンジンが発する音だけでどのメーカーのどの車種か聞き分けられて居たんだ昔は…。

 事故により其の会社の作業環境、大音響下での仕事が出来なく為ってしまう。

 

 成りたい一心で恋焦がれた今の仕事、人は言って居た<地面を走る伝書鳩>と、其の仕事に就く為の足掛かりにして仕舞った、其の罰が当たって仕舞ったのだろう。


 遠く実家を離れて一人暮らし生活費を稼が無いといけない、遊んで居る訳にも行かず直に夜間のコンビニでレジを打って居た、週4日土日が出来るので即決だった。


 半年程した時に入って来たバイトの後輩、少し惚けた子で学校帰りにバイトに通って居る、バイト開始は23時、終了は朝8時、アレと思いました?、学生で朝8時迄と、彼は夜学の高校生、授業は22時近く迄と聞く、其れから此のバイトに来ていると言う訳だ。


 当時近所のコンビニは、夜間の時給¥800円台、此のコンビニは¥1000円!時給が良いのだ、平日と日曜は単独で夜間のバイト、土曜日だけは二人でバイト、そう安全の為・・。


 此処には過去二回コンビニ強盗が入った事が在り、募集掛けてもバイトが来ない、だから他より時給が良い其れを知らずに受けて仕舞った、馬鹿ですね、俺引っ掛かって仕舞ったんです。


 其れで当時は希望の仕事に就く為、何時出るか判らない其の募集が出るのを其処でレジを打ち乍ら只管ひたすら待って居た、一時期一人暮しで無くなったが漸く念願の仕事に漸く事は出来たが、其の人と引き換えに其の時から一人で過す事に為る、其れを見かねて声が掛かった。


「海に行きませんか?」と、其の子が学校のメンツと海に行くので誘われる。

「野郎同士で行ってもつまらんだろう」と返したのだが、イヤイヤと首を振った。

「10人位で行くんですが、予定では4人は来ます!女の子!」と胸を張って居る。

「でも俺部外者だろ、そんな中に混ざってもな~」

 見知らぬ中に混ざっても話も合わいなだろうし・・・。


「海ですよ!其の時は海に来てる他のに声掛けりゃ良いんですよ!」

 譲る気は全く無いらしい。

「判った、判ったよ!、行けば良いんだろ!」行く事に為って仕舞った…。


「海はやっぱり良いな、来て良かったな…」

 少し前まで当たり前のように見て居た海とは違うが、やはり開放感が違うよな、カップルや友達連れで来ている学生達、女の子同士で遊ぶ者もいた、でも俺の眼は小さな子供を連れて居る家族連れ、其の子供と遊ぶ母子おやこを羨ましく眺めてた…、二人で其れを望んだ筈なのに…。



「みんなと遊ばないんですか、折角海まで来たのに?」声を掛けられた。

 今回一緒に来たグループの内の一人なのだが、一寸廻りと違ってる娘だ。

「嫌みんな若くて元気だなと思ってね」

 野郎供はお目当ての娘の周りに集まり、楽しそうに遊んでいた。


 今日来たメンツを見て居て、スタイルの良い綺麗な娘!、可愛い娘に元気な娘だったが、此の娘は申し訳無いが如何しても中学生にしか見えない下手したらもっと下かも?…。

 <此の娘も高校生何だよな?>と正直思って仕舞った。


「若いって?、そんなに歳は変わらないんでしょ?」不思議そうな顔してた。

 俺は完全な社会人、片や此の娘は学生さん、見た目も有って大分下だと思って居たが、言葉使いは大人の女性、余りにギャップが在りすぎた。


 そう言えば奴に付き合い学校に顔を出した時、確かに居たよこの娘!、奴を小突きながら怒って居たな、何か奴が忘れてたんだろう。


「何時に為ったら提出するの!、出して無いのアンタだけ!」って俺も委員長が言われたよな、此の子と同じで見た目は小さな子だったよな…。


 俺も同じ事が在った進路の提出しなくて怒られてたよな、其の後用事からの帰り道止められ茜色から変わって行く海の傍で、俺が馬鹿で其の娘に告白された事に気付かなかった…。


「失礼覚悟で聞いても良いかな?、今幾つなの?」

 返って来た答えに驚いた、嘘だろまさか同じ歳?。

「残念ですが、一つ下ですね、私誕生日過ぎてますから!」

 此れから誕生日が来る俺と一時的に同じだけ、学年は一つ下なのだが見た目はとても同じ歳には見えなかった。


 今で言うなら<合法>と言う事である、見た目は幼く在り確かに可愛いのだが、普通なら此処から成長し綺麗に為るのを期待出来るのだが、残念ながら完成形と言っても良いのだろう…。


「ウ~ん、如何した物か?」つい言葉にしてしまった、勿論聞こえて居る・・。

「如何したんですか、何の事です?」不思議そうにのぞき込まれた。

 さて如何返したら良いんだ、悟られない様にしないといけない。


「そう言えば夜学に通って居るんだから、仕事もしてるんだよね?」

 此れで大変危険な所から逃げられた。


「そうですよ、都心の大手町に務めてます、終業後に学校に通ってます」

 大手町か、なら直ぐ傍の会社だな。


「俺も大手町が勤務先だから直ぐ傍だね、何処かで会ってるのかもしれないね?」

 そう答えたら食いついて来た。

「ご近所さんだね、あたし其処の新聞社で仕事してるの!」

 興味を引いたのか言葉使いも変った、普通の女子学生と言った所か?、都心で仕事してるから其れなりの言葉使いも出来るんだな。


「奇遇だね、俺の仕事も新聞社だよ。」

 途端に眼がキラキラしてる、興味深々と言った所だろう。

「何処の新聞社?、あたし日〇!、貴方は?」ホントに嬉しそうに聞いて来る。

「〇ケイだよ、通り一つ向こうだね、会ってても不思議じゃ無いか?」

 そう言いうと、途端に顔が曇って来た、如何したんださっきまで楽しそうだったのに、別に悪い事言って無いと思うのだが。


「この間、あたし仕事中に悪い事しちゃったの、その会社の人に・・・」

 悲しそうな顔に為ってきた。


「急ぎの仕事で、慌てて居て確認しないで、道路に飛び出しちゃったの・・・」

 俺の中で何かが引っ掛かる。


「如何したの其れで?、何か有ったの、怪我しちゃったとか?」

 俯いて首を横に振っていた。


「あたしじゃなくて、相手の人に悪い事しっちゃたの・・」

 此処で何か、話が見えて来た様な気がする。


「其の会社の人があたしを避けて転んじゃったの、貴方の会社のオートバイに乗ってる人だったの、会社の旗付いてた社旗って言うのよね?」

 見に覚えが在るんだが、まさかこんな偶然て在るんかな?、多分間違い無いとは思うが、念の為一応確認して置こう。


「場所は何処なの、何時頃の話なの其れ?」

 俺の記憶の中では、日本の最重要金融機関からの帰りに、会社に向かって左折した処なんだ、此の夏の初めに在った事なんだが・・。


「金融データを取りに行って、其処で貴方の会社側に渡ろうとしたの、この間の出来事なの」

 完全に当りだった、俺の事か!、其の時中学生見たいな子が飛び出して来たんで、<ちゃんと前見ないと危ないぞっと!>とバイクを止めた、そう止めたんだが、停まって足を出したのだが、浮いて居た砂利に自前の足を取られて、立ちゴケして仕舞って居た。


「御免なさい、御免なさい!」と一生懸命頭を下げて繰り返すその子に、

「気にしないで、何ともないから、大丈夫だから」と伝えてそそくさとバイクを起こしていた、何故なら目の前に先輩が居て目撃されていた。


 待機所に戻るなり、其処は大爆笑の渦だった、此の仕事してる奴の立ちゴケなど見た事が無いと、コーナーを攻め込んで転倒する奴は幾らも見たが、止まって居て立ちゴケするプレスライダーなど初めて見たと・・。


 先輩に目撃されて仕舞い大慌てだったので其の子の顔をよく見て無かった、今眼の前に居る此の娘だったのか・・。


「知ってる人だったら、謝ってたって言って下さい」

 一生懸命に伝えて来る此の娘に、まさか言えなかった、俺だよとは・・。


「気にしないで、多分気にして無いから、大丈夫だよ」

 とそう伝えてたら、沈んでいた其の顔が漸く笑って呉れた。


「お願いしますね、本当にお願いします」

 其の顔の口調も元に戻って居た、学生から大人の口調に。


「良く知ってる人だから、気にして無い筈だよ、安心して良いよ」

 そう伝えて居た、此処迄必死に謝られちゃ、今更俺だとはとても言えなかった、本当に嬉しそうに笑って居たから。


 海の上に何処までも続く一本道が出来良い時間に為って帰途に就く、其々の車に乗り込み俺が載るのは野郎四人、花も何も有ったもんじゃない、むさ苦しいだけ、でも別の車に乗り込むその子は直前に此方に手を振り笑って居た。


 其の顔は可愛くて、晴れやかだった事は覚えて居る、もう会う事も無いだろうと・・、こんな偶然も有るんだ、また逢ったするのかなと・・・。




 あれからどれ位経ったのだろう、数年の時間が過ぎて居た。

 あれ程恋焦がれて居た筈の仕事も辞めて居た、其の為だけに知る者も全く居ないこんなに遠く迄来た筈なのに、仕事以外で人と接する事も無く為っていた。


 仕事で会うのはお客様、朝早くから帰宅は何時も夜に為る時間迄、知り合いに逢う事も無く仕事先とアパートの往復に日常は替り、仕事以外で人と話す事も無く為って居た。


「俺は何をしたくて、何をする為に此処に居るのだろうか?」

 そんな日の繰り返しだけに、何時の間にか為っていた・・・。

 或る事件の被害者に関わり、其れが元で地元へ足を向ける事も出来なく為る。


 何時かは帰りたいと、あの懐かしい景色と懐かしい顔に逢いたいが何時に為ったら実現出来るのか?、目処は立って居ない、実現出来るかも判らないで居た・・。


 そんな時の日曜日、ひょっこり例のバイトの後輩が顔を出して来た。

「元気にしてますか?、心配してたんですよ!、お袋も行って来いって言ってまして、元気にしてるのか確認して来いって」

 コイツは仕事を辞める原因も、帰郷する事が出来ない理由わけを多分知って居る。


「飯喰いに来いって言ってますよ、家に来ませんか?、飯喰いに!」

 人の縁とは不思議な物、コイツのお袋さんは遠く離れた俺の故郷の出身者、同郷から単身出て来て居た俺の事を気にして呉れて居た様だ。


 バイトの間はよく奴の家で、次に走りに行く所や希望の仕事が中々見つからない愚痴も聞いて貰って居た、或る人に出会ってから疎遠に為るが、仕事が決まり又暫く交流も在ったのだが、其の事件の後は、逢う事も無く其処から更に疎遠に為って居た。


 コイツのお袋さんは上京後一度も郷里に帰って居ない、里帰りしない俺の事を知って居た、顔を合わせると事有る度に言って呉れた。


「帰って上げなさい、皆待って居る筈だから、顔を見せて安心させてあげなさい」と。

 此処に来たのはコイツの思いも有る筈だが、其の背を押して呉れたのは其のお袋さんだろう。


「判った、此れからでも良いのか?」

 大きく頷いて居た、久しぶりに人と話もしたかった、数少ない知り合いに逢いたかったのも有って、迷う事無く返事をしていた。


 食事を頂きながら、暫く話をしていた、唯々嬉しそうに話を二人に聞いて貰って居た、こんなに会話したのは何時以来だろう、あの者達と別れてから随分経ってしまって居る、途切れる事無く会話して居た日々は遠く為って居るから。


 不思議な縁だ、コンビニでバイトして無ければ逢う事も無い人達、コイツも、同郷のお袋さん、バイトしてる間に知り合って俺の夢と引き換えに去って行った人、夢を叶えた後そのコンビニで拾った子、あの事件が在ったからお互い元気に別れる事も出来た、此の後俺は誰と出会い別れて行くのだろうか?、そんな事を会話しながら思って居た・・。


「又きんしゃいね、何時でもよかけんね」と言われて言葉に詰まった、見知らぬ土地で故郷の言葉を聞いて仕舞って・・。

「はい」とだけしか返せなかった、其れが精いっぱいだった。


 気分転換に車で何処か行きましょう、俺が相棒にしたバイクが無いのを此奴は知って居る、一年中天候に関わらず走っていた事、今はその代わりに為る脚も無い事も。


「一寸遠出したいんですよね」俺は日、祝だけが休み無理と伝えた、残念そうにしていたが、直ぐに顔を輝かせて日帰りで!、と提案される。


「早速ですが来週行きましょう、海まで!、日帰りで大丈夫ですから!」

 まだ海の季節では無いが、気分転換に海見て来るのも良いか、断る理由は無かった。


「じゃあ行こう、俺も海を見たいしな」本当はその先に日本の大陸が無い東シナ海を見たかった、海底に沈む岩礁迄見える程の透明な海を、暮れて満天の溢れんばかりの星空を、其処迄切れ目無く変り行く空の色も、其れは今は敵わぬ事。



 次の休みに奴は来たお袋さんの車で、奴は未だバイクを持って居る、敢えて車なのは足を持たぬ俺の為、でも本当はバイクに乗れぬ俺の前で酷な事をしない為だろう。


「こんにちは、又会いましたね今日は宜しくお願いします!」

 少し首を傾げて微笑んでる娘が居た。


「初めてですね、此方も宜しくお願いします」ともう一人が頭を下げて居た。


「今日は俺達だけじゃ無かったのか?」聞いて無かった他にも同乗者が居るとは。


「嫌だな~、誰も二人で行くとは言ってませんよ!、日帰りでドライブだから誘って来ましたよ女の子を二人!」

 胸を張って居た、偉いだろうと・・、嵌めやがったなコイツ?。


 奴の運転で走り出す、オートマのカリーナGT4枚ドアのセダンだが、GTならマニュアルだろう・・、等と詰らない事考えて居た。


「あたし海大好きなんです、ホントは夏なら良いんですが!」とそうだよな、泳げないもんな。

「やっぱり、海だと泳ぎたいよね?」と返したのだが、意外な答えが返って来る。


「あたし泳げないんです!」

 ヘッ?、じゃあ夏に海に行って何するんだ此の子?。

「泳げないの?、じゃあ海で何するの?」素直な疑問だった。


「えっと、イカ焼きに、焼きそば、かき氷に焼きもろこしでしょ、そしてトンネル造って、お城造って、後砂を掛けて波打ち際に埋めちゃう、如何ですか楽しいでしょ!」

 一寸待て何だコイツ、子供じゃ有るまいし、嫌、見た目は確かに子供<合法ロリ>だが・・。


 奴ともう一人は知って居たのだろう、笑い出すのを必死に堪えて居た、肩が震えて居る・・。

 そんな他愛無い話をしている内に海に着く、九十九里浜、此処は東金、海水浴シーズンは未だ先、他には見渡しても数人しか居ない、波打ち際で3人が遊んで居る、其れを眺めていた。


 此処は余り良い思い出が無い、嫌違うな其の時は良い思い出も有ったのだが、最後に此処に来た時がホントに悲しい事だから。

 でも俺もそろそろ切り替えないとな、片隅に小さな子を連れた家族連れが居た、両側から未だ幼い子供の手を引き、波打ち際で腰が引けてる子供を支えてあげて居た。

 何方どちらの人も叶えてあげられなかったな、供に此の光景を望んで居た筈なのに・・。


「何黄昏てるんです?、折角海に来たのに!」手を引かれた。

 <そうだな此の侭じゃいけないんだよな。>

「何でも無いよ!、みんな若いなって思ってただけだよ!」

 そう言い波打ち際目指し走り出して居た。

「あ~っ、狡い!」と言って追いかけて来た小さな体で、如何見ても一つしか違わないとは思えない、見た目は未だ中学生?<合法>。

 暫く遊んで居たが少し肌寒い、唯一出て居た屋台でイカ焼き喰って居た、彼女の望みは叶った様だ、良かったな・・。



 帰りはドライバー交代し俺がステアリング握って居た。

 助手席には小さな子の方が座ってる、リアは奴ともう一人、此方は見た目と年齢が釣り合っている、後ろは後ろで楽しそうだ、助手席の子は真剣に前を見て居る。


「居眠り運転しない様に見張ってます!」と言って居たが、疲れて居るようだ、此の小さな体でアレだけはしゃげばしょうがないか、其の内後ろが静かに為る、寝て仕舞った様だ。


「ねぇ?話聞いても良いですか?〇〇に聴いたんですが、随分色んな事が在ったて聞いたんですが、其れでこんなに雰囲気変ったんですか、前と全然違うから違う人かと思いましたよ」


「違うかな?、夢を追って此処迄来たんだが、其れすら出来なく為って仕舞って未だ何をすべきか判らなくって、模索中って所だから今は」

 其の後暫く会話をして居たが、隣で船を漕ぎ始めた。


「頑張って下さいね、きっと良い事有りますよ」

 最後に其の言葉を返して来た。

 車内は静かに為り起こさぬ様に優しくアクセルとステアリングを使い目的地に向かう、己の命を掛け金に走り続けた以前の俺とは懸け離れた運転、隣からは規則正しい小さな寝息が続いて居た、何年振りだろう今と同じく左から聴こえて来る此の小さな音は…。


 最終地点の市川駅に到着する二人共此処が最寄り駅らしい、自宅まで送る事は断わられた…。


「また何時か会えると良いですね!」そう言って彼女は駅の方へ歩いて行った。

 そして人混みの中に消えて行った、また逢えれば良いな、また何時か…。


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何処かで会った気がする彼女にまた逢える日は何時か来るのか? JOY POP @da71v

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