4、明智秀頼は服を勧める

「私、服が欲しいんですけど初デートですし秀頼さんが選んでくれないかなー……なんて」

「え!?俺がエイエンちゃんの服選んで良いの!?」

「むしろ選んでください!」


デパートに着き、永遠ちゃんが服を見たいと言いだした。

そして服売り場に向かう際、彼女からおねだりするように上記の言葉が飛び出した。

俺の選んだ服が宮村永遠の部屋にあるタンスやクローゼットに入るというだけでこれまでの人生で1番やりがいを感じた瞬間かもしれない。


「ふ、ふふふっ……。よし、行くよエイエンちゃん」


俺が前世で永遠ちゃんがどんな服が似合うのかコーディネートを勝手にしていた記憶が浮かぶ。

また、有名絵師さんがどんな絵を描いて似合う服装がどんな感じだったのかも覚えている。

そこから永遠ちゃんの紫の髪、168センチの身長、体重55キロ、Dカップに相応しい服をぐるっと売り場を歩き周り確認していく。


「…………!?こ、これだ!?」


そこで、電源が走る服を見付ける。

黒をベースに少し薄めの服だ。

シンプルながらこれが良いという一着を永遠ちゃんに突き出した。


「く、黒ですか?私のチョイスでは買わない色だから新鮮です」

「うん。エイエンちゃんの私服って白とかピンクとか薄い色が多いよね。その正反対の黒も良いんじゃないかって俺は常々考えていた」

「す、凄い……。秀頼さん、ちゃんと私を見ていてくれたんですね!」


現に彼女が着ている服も白っぽい。


「黒着ると大人っぽく見えるよ」

「そ、そうかな……。なら試着してみようかな」

「さあさ、こちらへ」

「秀頼さん、なんか執事さんにでもなったみたいで面白い」


俺は宮村永遠のためなら執事どころか奴隷にでもなれたりする。


それからレジ近くにある試着室に永遠ちゃんと向かう。

彼女も着てみたいのか少しウズウズしている。


「行ってきますね、秀頼さん!」

「行ってらっしゃい」


永遠ちゃんが試着室に入り、カーテンを閉める。

よく耳を澄ますと布が動く音がする。

俺が選んだ服を着るために、服を脱いで下着姿になるというのだ。


見たい!

このカーテンの向こうに何がある?

前世の頃に憧れた宮村永遠の下着姿が……。

対象年齢17歳以下であるCERO Dの弊害。

ドエロイイベントCGが皆無な原作・『悲しみの連鎖を断ち切り』。

パンチラ1つしない鉄壁スカートなヒロインたち。

その1人のヒロインがカーテン越しに脱いでいるという現実。


それをお預け状態で待たされているのだ。

ちょっと興奮している自分に気付き、カーテンから離れる。




「ふーっ……」


深く息を吐き出す。

暑くもないのに、胴着でも着ていたのかくらいに額から汗が出ていて手で拭う。

彼氏としてやっちゃいけない範囲は弁えているのだ。


「あ、……明智だ」


そうやって心を落ち着かせていると俺を呼ぶ声がする。

俺も呼ばれて気付いた。


「や、山本!?」


クラスメートの男子生徒である山本大悟が俺に話しかけてきた。

そしてその隣に見知らぬ女性が立っていた。

どう見ても山本の彼女です。

本当にありがとうございました……。


「あ……。俺の彼女の長谷川雛乃」

「長谷川です。よろしくお願いいたします」

「明智です。よろしくお願いいたします……」


仲の良い山本だけなら話が弾むものの、その彼女も一緒にいるだけで変な緊張が走るのであった……。

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ギャルゲーのヘイトを溜めるクズでゲスな親友役として転生してしまいました。そして推しヒロインとくっついてしまった。 桜祭 @sakuramaturi

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