最終話 誰も悪くない



「お、俺は悪くないからな……」

「やっばり、構成とか見せてくれない??」

「ひゃっはぁ〜!! てめぇら俺のために死ねぇ!!」


「え?」

「ん?」

「は?」


 お互いに、お互いが言っている言葉が全く違ったため三人は間抜けな顔をしながらどういうことか、とお互いの顔を伺った。

 もちろんそれは戦争が始まってしまうかもしれない、と思っていたマークスも。いきなり構成だとか言ってきたガードルに。いきなり現れた、さっきテントの中で捕まえられていた男に。疑心暗鬼という壁を通り越して、呆然としていた。


「……ちょっとお互い現状を説明しあわない?」

「「そうしよう」」

 

 三人は、今どんなことを思っていてなぜここにいるのかを話した。そして話し終わったあとの三人が、口を揃えて言った言葉は、「なんでそうなった」のである。


「つまりは、マークスのところの参謀が最初に勘違いしたせいでこんなことになったのか?」

「いや、まぁ……すべてをつなげるとそういうことになるんだけど……。俺もそんな勝手に電話してたなんて知らなかったんだぞ」

「たしかにそうだな……。もうこのわけワカメな状況は、全員の勝手な勘違いによって生まれたってことにしないか? 責任のなすりつけ合いは嫌だし」

「賛成!」

「……じゃあ俺に飯をくれ」

「そんなの、いくらでもあげるぞ?」 

「じゃあ俺も賛成」


 


 この勘違いで戦争にまで発展しそうな状況にもっていった、主犯でもあるジリル・クーバは戸惑っていた。目線の先にあるのは、なにやら話し合っているマークスと二人の男。その二人が問題。一人の男は、見たことがなくクーバはなんとも思わなかったが、もう一人の男は別。なぜならそいつは、マークスが嫌っているはずのガードルだからだ。ただ話す。それだけだと、口論をしているようにも見えるのだが何故かその顔には笑顔が見えるのだ。なのでジリル・クーバは自分が思っていたことと、真逆の反応だったので戸惑っていた。

 クーバがそんなふうに思っていると、マークスはいつの間にかこちらに帰ってきていた。

 

「マ、マークス様!! どうなったんですか……?」

「まぁ、うん。解決した解決。今回のことは誰が悪いだとか、そういうのはなしっていう方向に決まったさ」

「な、な、な、な、なんと!? さすがマークス様でございます!!」


 クーバはマークスが怒っていたガードルのことを許してあげたのだと思い手を握りしめて、褒め称えた。


「あっ……うん。俺、一応国王だからね」

「そんな!? 一応などと言わないでください! 怒り戦争を仕掛けようとしていた相手……。そんな人のことをお許しになってさらには、なかったことにする。そんなこと常人ではできませんッ!!」

「そ、そうかな?」

「はい! ここにいる我が王国の兵士たちよ! この敵をも許すことができる寛大なるお方こそが、我らが主君と仰ぐお方なのだッ!!」

「「うぉおおおおおおおおおお!!!!」」


 こうして皆が皆、勘違いをして戦争にまで発展しそうだった事態は無事収束に向かっていった。


 その後、マークスが二人目の戦争を止めた偉大な人物として世界中に広まったとか広まってないとか……。

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皇帝と口喧嘩したらいつの間にか戦争にまで発展しそうになっていたんだが でずな @Dezuna

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