『出会いと別れに嘘を絡めて』……千佳はクールにカッコよく演じるの。

大創 淳

第七回 お題は「出会いと別れ」


 ――嘘を絡めてクールに、カッコよく。……そのつもりだった。



 春は別れの季節……


 それは、この前に行われた学校行事の卒業式。セーラー服なら敬礼で決めたかったのだけれども、僕は一年生の夏休みに学校から学園へ転校してブレザー制服となって……第二ボタンならぬ第一ボタンの争奪戦が、ないと思われていたのだけれど、あったの。


 その相手は、坊や。あくまで見た目は……


 僕は女の子だけれど一人称は『僕』で、その子の一人称も『僕』……可愛らしい男の子で、僕よりも小柄。クラスメイトの子だった。僕は高等部へと進学するけれど、この学園の。でもその子は、別の高校への門出となる。別れを切り出す『三月九日』の曲……


 嘘を絡めるどころか、大人の女を演じてクールにも、カッコよくもなく、思い切り泣いちゃっていて……そんな中で「星野ほしの千佳ちかさん、君のことが好きでした」と、告白されちゃって、でも「心配しないで、君には彼氏がいること知ってるから。君と彼氏のことも応援してるから。それでも、僕は僕の気持ちを伝えたかったから。……だからせめて、君の第一ボタンを僕にくれないか。それを想い出に僕は、君から旅立つから」


 ――そして手渡す、僕のボタン。第二ならぬ第一ボタン。


 彼はカッコよく決めた。とあるアニメのような別れの敬礼を。……同時に、彼は同時に噛み締めた、失恋の味を。泣かないつもりだったのだろうけど、光る涙を僕は見たから。


 ……


 …………


 春は出会いの季節……


 それは、この後に行われる学校行事の入学式。新たなる出会いに心躍る。まだもう少し先だけれども、少なくともは、同じ高等部として出会う僕の彼氏、霧島きりしま太郎たろう君。その同じ学校の子、日々野ひびのせつかんざき美千留みちるも。他二名と、きっと初めて会うこととなる面々。見知らぬ面々とも、この後に縁することになる。それがまた人の醍醐味、青春の讃歌だから。


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『出会いと別れに嘘を絡めて』……千佳はクールにカッコよく演じるの。 大創 淳 @jun-0824

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