対照
雪蛙
第1話
対照。
会社から家に帰る途中雨が降ってきた。が、傘を持っていなかったので急いで近くのコンビニに入った。特に豪雨というわけでもないが傘をささなければびしょびしょになるくらいの雨だ。コンビニに入るとそんなつもりなかったのにも関わらず色々欲しくなる。とりあえず真っ直ぐ弁当の方に向かい唐揚げ弁当を手に取りカゴに入れた。その後飲み物の方へ行きビールをカゴに入れた。そして読んでいる漫画の新巻が出ていないことを確かめてその場を後にした。レジに向かう途中ビニール傘を手に取った。コンビニを反時計回りにぐるっとしたところでレジに持っていくとバイトらしき男が慣れた手つきで会計していく。
「お弁当温めますか?」
「お願いします。」
コンビニで一日に百回はありそうなやりとりを済ませて支払いを済ませた。お釣りが七七七円だったので少しだけ気分が良くなった。が、その気分は数秒後に地に落ちた。外へ出ると先程までの天気が嘘のように空から光がさしこんでていたのだ。腹が立つ気持ちを抑えて新品の傘を持って帰路に立った。家に帰ってビールと唐揚げ弁当で晩飯を済ませた。明日も早いのでその日は眠りについた。
朝起きて朝食を済ませ準備をして会社に向かった。会社に向かう途中コンビニに寄った。時間に余裕があったので少し立ち読みをすることにした。十分後読んでいた雑誌を棚に戻しその場を離れた。お茶をカゴに入れその後おにぎりを二つとサラダをカゴに入れた。レジに向かうと名札に初心者マークをつけた女が慣れない手つきで会計している。
「おにぎり温めますか?」
「え?いや、結構です。」
「あ!失礼しました。」
少し顔を赤くして女は言う。コンビニで一日にそう何回もないやりとりを済ませて支払いをする。画面を見ると合計七七七円と表示されていた。少し気分が良くなったのを気づかれないよう財布から千円札を取り出した。会計を済ませ外へ出ると先程までの天気が嘘のように雨が音を立てていた。
対照 雪蛙 @ryo-ske
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