こんにちは、そしてさようなら

るるあ

出会いと別れを繰り返す



 首ちょんパ、って可愛い響きだよね、

 内容は残酷だけど。



 「最後に言い残す事はないか?せめてもの慈悲だ!聞いてやろう!」


 豪雨と言っていい、酷い雨が水たまりを打ち付けている。もちろん私はずぶ濡れ、手足の感覚はもう無い。

 そして私は、何かに首を固定され、横たえられているみたい。

 いきなりクライマックスだぜ!と現実逃避していたら、何者かにそう聞かれた。


 声のする方向へ何とか顔を上げてみると、金髪碧眼王子様。そしてピンクブロンド?の小動物系あざと可愛いご令嬢。


 …あっ(察し)。


 ヒロインちゃん、王子様、はじめましてこんにちは!テンプレ過ぎて、オラ何だか笑えてきたゾ!


 「くっ!こんな状況でも私を嘲笑うのか!」

 わー王子様ビビって震えてるー

 てゆーか、屋根の下できっちり着込みやがってこの野郎…こっちは雨曝しで冷えきってるから、話できるほど口動かないっつーの。


 「ロミオさま…怖いわ…(涙ほろり)」

 キター!!か弱い私を守って攻撃!!もちろん身体ごと寄りかかって、胸は当ててんのよ!だ!!

 完璧だねいいもの見せてもらった流石だねヒロインちゃん!ぃやっふぅー!!

 テンション上げてかないとそろそろ私、寒さで朦朧としてきたぜっ!!


 「マリア、怖がらせて済まない…これ以上はいい、下がっていなさい。」

 「いいえ、ロミオ殿下の隣に立つにはきっと必要な事。わたし、見届けます!」

 「ああ、マリア…」


 すいませーん盛り上がってるとこ申し訳ないんですけど、私もうほとんど前が見えないんですよねー早めにやっちゃってもらえますかー?

 届け!私の心の声(はぁと)!!


 どうでもいいけど、殿下がロミオならヒロインちゃんはジュリエットにしてやれよ。…あ、私の名前だわそれ(テヘペロ★)


 私の渾身のボケに突っ込むかのように、その後ギロチンが降ろされた。




 □■□■□■□■□■□■□■



 「…っていうゆめをみたのよ。こわかったわー。」


 爆弾発言で生意気侍女をドン引きさせてみるテスト。

 二度目ましてこんにちは、私です。


 侍女たちは引きつった笑顔で、下がって行きましたとさ。

 いいのかなー私付きの仕事放り出してー?また違う人が来るのかなー?



 ええっと…。

 か、過去や今起こったありのままを言うぜ…!!

 どうやらッ…乙女ゲーム?の悪役令嬢?的な何かになってッ…王子様とヒロインちゃんにザマァ?され…ギロチンで首を落とされたらッッ…

 その後、ピンクブロンドの幼児になってっ…王宮に、住んで、居たんだッ…!!(ガクブル)


 …急展開すぎるやろーー!!!

(叫んでツッコミお願いします)


 さて、ここでクイズです。

 私の今世、どっかで見たような容姿なのですが、私は誰でしょーか!

 ヒント1、ピンクブロンド。

 ヒント2、あざと可愛い小動物系。

 ヒント3、王の離宮にかんづめ…かん き…ん…?いや、住んでいて…


 バターン!!壊す勢いで扉が開く。

 「ああ、私の可愛いロマーリア!一人にしてごめんよ…寂しかったかい?」


  …抱きついてくるひとが、金髪碧眼。


 そうです、ワタスが、

 ザマァされて再度転生したら今度はヒロインちゃんの娘に生まれ変わってる奴 です!

ロミオ+マリアで、ロマーリア!安直ぅ〜!!yeah〜!!フゥ〜♪


 …やっぱりテンプレやないかー!!!

 (叫びでのツッコミを再度お願い)



 「ロマーリア、また侍女に虐められたんだって?可哀相に…有能な者をすぐ探して来るからね。父上に任せておきなさい。」


 「いいえ、だいじょぶです。それよりも、おそとに「私に似て透き通るような美しい目をしているね、そんな目で見られたらどんな者でもたちまち虜になってしまう!

安全なこの離宮にいれば大丈夫だ。ずっと守ってあげるからね。」いきた…い…はい…」


 「…陛下、お時間です。」

 追いかけて来たおじ様が、陛下を私から剥がして回収して行った。なんかこっち睨んでんだけど…?コッチミンナヨ!


 そう言えばヒロインちゃん見ないな?何してんだろ?


□■□■□■□■□■□■□■□



 そんな呑気な事を考えていた時もありました。


 「許さない!!!ユルサナイ!!ロミオさまは私だけのモノなんだから!!!」


 只今絶賛修羅場中。ヒロインちゃんから果物ナイフ?髪留め?なんか鋭いやつで壁ドンされています。もう〜積極的ぃ★


 事の起こりは、ロミオ陛下?が来た翌日。

そう、侍女一斉解雇したから誰も居ない。アタックチャンス!とばかりに、ゾンビも真っ青なボロボロのヒロインちゃんがお越しになりました。

 あっ、この離宮ってもしかして幽閉用?ヒロインちゃんもご近所さんだった的な?


 「聞いてるの!!?!アンタも目障りなのよ!!あの女さえ居なくなれば全て上手く行くと思ったのに!!おもったのに……。」


 次は何になれるかなー痛くない様に上手く殺ってほしいナ☆とか現実逃避してたら、ヒロインちゃんが泣き崩れてた。

 えーと?


 ヒロイ…ええと、お母様じゃなくてマリア様(睨まれた)の繰り返される愚痴を聞いてみますと、ヒロインは悪役令嬢死後、逆にザマァされたらしい。ジュリエットの父ちゃん、激おこだったってよ。

 あっ、あの、陛下連れ戻しに来て睨んでたおじ様、ジュリエットの兄弟か?冤罪で処刑されたらお家の面目丸潰れだもんねー。

 それで母子共に幽閉、お飾り陛下の出来上がり!ってか?貴族のパワーゲーム恐えな〜。

 いやはや、可愛く「むじゅかちぃー」「いいこいいこ、なかないよ?」を多用すれば、壊れたヒロインちゃんは何でも話してくれるねー。


 あー…でもヒロインちゃん、ロミオ殿下が本当に大好きな、だけ、なんだね。拗らせてヤンデレ発症しちゃったけど。駄目だよやり過ぎは。一緒に死んでリセットしましょうって、そりゃ殿下引くよ。


 殿下ボンクラなんだから、ハーレム連中以外にも味方を作るとかしないと厳しくね?えっ?何言ってるか分からない?

 …あー、ちみは、お花畑に住んでるもんね。うん、貴族向いてないからしゃーないわ。

 はいはい、泣かないで。よしよし。


 「…ろまーりあ、ままって呼んで…。」


 話をきいてあげたらなんか懐いたでござるよ!!チョロインか!?



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 い、今起こった事をありのまま(以下略


 面倒なんで箇条書きにしまーす。


 1、侍女居ないけどヒロイン懐いてきたからお世話してあげながら二人暮らし

(魔法のレンジ開発した方ありがとうございます今日まで生きられました)


 2、そこへロミオ陛下襲撃、ヒロインにお膝抱っこで可愛がられる私を見て激昂!Let'sバトル!ファイッ!


 3、私を挟んで舌戦の応酬!どうして私だけを見てくれないの!!君はどうして変わってしまったんだ!…でも最終的に内容が、「如何にロマーリアを愛しているか、その執着!」…こそばゆいのを通り越してキモイ!


 4、結果、二人はわかり愛。ラブ再燃!うちの子世界一!!


 5、いつぞやの睨むおじ様、この修羅場にやっと登場。大混乱。

「こんな時どんな顔したらいいか解らない…。」笑えばいいと思うよ!(ヤケクソ)


 …まあそんなこんなで、子供を愛でる共通の目的のもと、王子様とヒロインは再び幸せになりましたとさ。

 国の運営はジュリエット家が握ってるけどネ!!お飾りバンザイ!

 これで私もお外に出られるかしら〜?



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 なんて思ったがアホでした。


 三度目ましてこんにちは、今度は男です。

 ロレンツォだってさ!!

 マリア成分が無くなりました!

 あっでも、王家は代々「ロ」で始まってるから…(察し)


 で、ロマーリアちゃんは?というと…。


 そうよねー二人がラブラブに戻ったらお世継ぎ作るよねー男児産まれたらそっち以外要らないよねー

 てゆーかー、あの二人、ロマーリアの記憶削り取られてね?魔法的なやつ?あらーファンタジィー☆★☆


 という訳で、ロマーリアさんはさっくり毒殺さようなら。

 すごいよ!天蓋ベッドで寝てたら、何処かからニンジャ的なやつがこっそり、水差しの中になんか入れてったよ!!

 ナチュラルにそれを飲む私もヤバいけどネ!!幽閉部屋には他に口に入れる物がなかったんや…


 っつー訳で、今世はちゃんと王宮で、おうじさま生活をしています。

 ガッチガチの警備!多分ロマーリアにヤバいおくすり仕込んだニンジャ=サンも潜んでるねっ?

 そしてー!いつも隣にはジュリエット兄!!そう、あの睨みおじ様!僕にはニコニコしてるよ!上辺だけのやつだね知ってる!

 …ロミオ陛下とマリア様には、式典など公式行事でしかお会いしませんね。ええ、そうでしょうとも。

 

 まぁそこからは、ザ.貴族の世界で何とかやらせてもらいましたわ。

 婚約者も候補がいっぱい居て成人までは全員王宮で育成だとさー。だから、妙齢になっても学園とかないんだねーああ陛下がやらかしたからかー。

 好奇心で、睨みおじ様(モンタギュー家のアレクサさんだって。呼んだら答えてくれる的な…?)に、貴族学校ないのかって呟いたら殺気が!すわまたここでサヨナラかと覚悟したゼ☆


 そんなこんなで成人です!

 皇太子おめでとー!

 そしたらロミオ陛下が病気になったよ!

 げんきだったのに、どうしてかなぁ?

 ふっしぎ〜☆

 なお、ヒロインちゃんについてはノーコメントでお願いします。

 アレクサ!何も言わないでネッ!

 


 そんな訳で、アレクサと一緒に、おそらく最後の挨拶に来ました…。ロミオ陛下の部屋、初めて入ったよ。僕、息子だよね?



 広い上質なベッドに横たわる、病臥やみふしてなお金髪碧眼で美丈夫な陛下。

 ゆっくりと、僕に手を伸ばした。

 「ロ、レン…ツォ…。」

 腕も細く、頬が痩けて、すっかり痩せ細っている。これ…本当に毒?

 まるで、何かに生気を吸われたみたいな…


 「陛下…。」

 伸ばされた手を取る。折れそうだ…。


 「二人で、話したい。これは王命である。」


 空気がビリリと張り詰める。

 お付きの者達やアレクサはハッとして、跪く。

 …陛下、ちゃんと王族だった!(酷



 人払いがされて、部屋には僕と、ベッドで上半身だけ何とか起き上がったロミオ陛下の二人になった。

 

 「こ、れを…。王家に…伝わ…る…時をかけ…る…宝具…だ…」


 何処から出てきたのか、ずっと陛下と握っていた手の中に、急に硬い感触。


 「ひっ!」


 手を開いて見たら、なんかヤバい虹色マーブル?の謎発光体が、僕の掌に埋まってるし!!

 こえぇよ!!涙出て来た!!やだよこれ取ってよー!!


 「後は頼む…ロレ…ンツォ…」


 「へ、陛下!!!」

 やめてください変なもの託して死なないでーっていうか、僕が何度も死に戻りしてんのこれのせいかぁぁぁあ!!


 もう嫌だ!なんとかしてー!!



 ー条件を満たしましたー


 ーエラーです。強制送還しますー


 ーお疲れ様でした。今フェーズを終了しますー




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 耳鳴りのような、それでいて荘厳な鈴の音が響いた。

 一面真っ白な世界。

 あ、戻って来たなと唐突に理解した。

 あのヤバそうな発光体を確認しようとして、あっ私?は人形でも何物でもないんだった、と思い出した。

 はー、ここ漂うと、落ち着く〜。



 『はぁーいっ!!どうでしたー?』

 目の前にあるのに、いまいち関知できない何かが言った。


 『という訳でー、出会いと別れの神、ジィールリンガシゥバ様の補助業務は、ご体験いただいた、ああゆう感じですねー。』


 『今回は一応、貴方様の残留思念の中でも楽しそうなやつを集めて、それに似た世界に実際に行って頂いたんですけど、どうでしたー?』


 『精神耐性強めにしときましたけど、それにしても貴方、この仕事向いてますよ!!なんかあの王子様に死ぬまで執着されちゃってましたしね!』


 『本当は一回死んだら終わりなのに、おかわりが続いて、その血筋にまで執着されてて恐ろしかったですわ〜!こちらの権限で止めなかったら多分、えげつない回数エンドレスだったんじゃないですかねぇ〜!』


 (知りたくなかったよ!!!)


 『で、どうですか?この仕事、やってみます?』


 (絶対嫌ですお断りします無理です許してください)


 『そうですよね〜。あーすごい逸材だったのになー。』


 (私?僕?はこのまま、また漂っていられますか?そういう約束で、体験の強要だったと思うんですけど…)


 『うーん、安定の無気力!さすが輪廻を繰り返しているだけありますね!!

 しかし、今回素晴らしい働きでしたので、他の神からの勧誘も凄そうですよ…』


(じゃあ消滅でお願いします)


 『思い切りがいいですね?!と、とりあえず要望として、上に上げておきます…』 



 (ナニモシタクナイデゴザルよ…)



 その後、神たちからの打診が相次いで取り合いになったり、金髪碧眼王子からの執着があったりと色々騒がしくなるのだが、


 今はとりあえず、そっとしてあげよう…。


 (出会いと別れの神の加護、迷惑…)





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