我が家の食卓【番外編】

水乃流

焼き鳥 

「焼き鳥が食べたい」


 妻の要望は、いつも唐突だ。

 まぁ、焼き鳥なら買ってくるだけだし……と思うのは、赤坂見附六本木。妻はグルテンアレルギーなので、小麦を割けなければならないのだが、スーパーで売っている奴は、小麦が含まれていることがあるのだ。原材料表示では、「(一部に小麦を含む)」なんて表記されているが、これだと調味料(醤油)で使っているのか、絡みをを良くするために振りかけているのか分からない。


 『小麦使っている奴は、大体うまい』ので、食べてみれば分かるかも知れないが、妻の場合グルテンを摂取すると一日寝たきりになってしまうので、そんなリスクは犯せない。


 じゃぁ、缶詰はどうか。醤油に使われているくらいなら、まぁ、(薬を事前に飲んでおけば)なんとかなると本人は言うが、缶詰の焼き鳥は私が好きじゃない。キャンプで食べるならまだしも、晩ご飯のおかずと考えると、肉が硬い気がする(個人の意見です)。アレンジすれば、いけるかな? でも、リクエストは「焼き鳥」なわけで。


 ここは、実績がある方法にするか。


 というわけで、少し足を伸ばして買って来た。焼き鳥専門店、というか居酒屋がやってるテイクアウトだ。妻のために、ネギマ(塩)×2、モモ(塩)×2、レバー、つくね。自分用にネギマ(タレ)×2、鶏皮、モモ(タレ)、レバー、カシラ、ハツ。ここのお店はつくねにも小麦粉は入っていない。

 ちなみに、ネギマは元々、ネギとマグロかりゅうだだったそうで、いつのまに鶏と交代したんだろうね。


 さて、後は温め直すだけ……だけど、焼き鳥だけというのも少し寂しいな。ということで、豚汁を作ることに。

 雪平鍋を火にかけ、ごま油を引く。油が温まったら、豚の薄切り肉を投入だ。焦げ付かないように肉を炒めて火が十分に通ったところで、やはり薄切りの野菜を投入。今日はオーソドックスに大根と人参、ごぼう。たまにレンコンの薄切りを入れることもあるけど。続けてこんにゃく。指で小さく千切ったものを鍋に入れ、ほかの具材と一緒に炒める。野菜がしんなりしてきたら、水、顆粒だしを鍋に。便利なあくとりシートをかぶせて、弱火で煮る。


 その間に、焼き鳥を温め直す。オーブントースターで焼き直してもいいけど、この店が推奨する、レンジでの温め直しで。紙袋に入った焼き鳥をそのままレンジでチンするだけだ。

 ちなみに、レンジの「チ~ン」って音は、日本で最初にレンジを作ったシャープの開発者が、終了を知らせる方法を考えて見つけたもので、その正体は自転車のベルだ。さすがに最近のは、電子音だけど。


 さて、豚汁は……ふむ。煮えてきた。

 あくとりシートを取りだし、味噌をぶち込む。あまり塩気が強いと、妻が嫌がるので少しずつだけど。その間は沸騰させないように、注意して……っと。



 できた。



「できたよ~」

「わ~ぃ」


 では、まず焼き鳥から……


「あっ! 私にもタレちょーだい」

「大丈夫なの?」

「薬飲んだから平気」


 ということで、タレと塩を一本ずつ交換して。


「「いただきます!」」


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