-焼き鳥にはレモンサワーを-
岡田公明
焼き鳥にはレモンサワーを
夜の街には、明かりが灯る。
人々は、行き交いそれぞれが、賑やかさを演出する。
そんな街の中の、一つの居酒屋に足を進める。
仕事が終わり今日は週末、明日からは休みに入る。
休日出勤する必要が恐らくないので、今日は飲む気でいる。
普段であれば、後輩を誘ったり、先輩に誘われたりみたいなことがあるが、今日はそれがなく、一人で行くことができた。
だからこそ、久々に一人で行きたいと思った。
一人の良い所は、気を遣わなくていいのと、相手に気を遣わせないということ、それに全て自分のペースで行けるし、少し飲み過ぎてもどうせ明日は家でゴロゴロするし、妻も子供もいない自分にとって、このコンディションは最高だ。
飲みまくれ!と書かれた看板の横に、ずらっとメニューを並べたその居酒屋に足を進め席に座る。
自分は、行く前に既に予約を済ませていたので、どちらにせよ誰かと今日は飲む気は無かった。
そして、席に座り、飲み放題を選択、少し高いけど値段を気にせず飲みたいだけ飲めるのが気持ち的に良い
実際に元を取れるかどうかよりも、気持ち的に好きなペースで飲めるのが良かった。
意識していなくても、とりあえずビールは頼み、それに合わせて、何かつまめるものを注文する。
煮卵とか、ウィンナーとか、それと海鮮類も、しかしどれもまだ余興でしかない。
メインは、とりあえずビールを飲み切ってからだ。
適当に注文を済ませ、席で待っている
意識せずとも、誰かの会話とか、酔った勢いもあってか口論みたいなのも聞こえる。
しかし、それはそれぞれで楽しんでいて声が大きくなって口論みたく聞こえているだけだろう。
少しすると、ビールだけは先に来て、喉に運ぶ。
ごくごくと音を立てて飲むビールは、美味しい。
始めこそ、苦手だったが、慣れてくると良く飲むようになる。
それが大人になるということかもしれない。
それから、頼んだものが、次々に来て、飲んだり食べたりして、いつの間にかビールが無くなった。
「すいませ~ん」
そこまで、酒の強くないので軽く酔っていることを実感する。
声は揺れて大きくなっているのが分かる。
「はーい」
元気のいい店員さんが挨拶を返して、こちらに来た。
「あの、このレモンサワーとタレと塩を二つずつ」
自分は、焼き鳥の写真を指しながら言う
店員は、かしこまりました~とメニューを復唱し去っていく。
また、その後先に、レモンサワーが来た。
ドリンクは普通の料理に比べて断然早い。
その冷え冷えのグラスに、なみなみ注がれたレモンサワーのの炭酸がジョッキから溢れるように弾ける。
揺れるレモンサワーを口に運び入れる。
パチパチとした感触と、レモンの爽やかな風味を感じる。
単体で飲んでもいいが、やはり焼き鳥が来るのを待って、一度グラスを机に置いた。
飲みにくさが無く、アルコールは入っているがそこまで重く感じないので、どんどんと行ったら、焼き鳥が来る前に出来上がってしまう。
折角なら、しっかりと味を感じたいので、しばらく我慢と言いながらも、もう一度口へ運んだ。
「最高」
その一言に尽きた。
すると、焼き鳥が運ばれてくる。
湯気の出ているそれを見て、唾を飲む。
良い香りのするそれは、まさに至高のものだと言える。
まずは、タレから...
「うっま」
たれはどちらかといえば、濃い味付けで、お気持ち程度に乗ったネギと相性がいい。
そして、その濃さゆえに少ししつこい味を、レモンサワーで流し込む。
それがとても、良い!
酔っていることもあり、だいぶテンションが上がる。
その一つの串で、ジョッキは空になり、もう一杯を注文する。
そして、その間に味があまり濃くないと思われる、塩の方も食べる。
「うまぁ...」
こっちも相変わらず美味しいタレの時とは違い、その味が濃い訳ではない。
しかし、肉が柔らかく、それでも噛み応えがあり、そして甘めの塩はとても食べやすい、そして食べると、飲みたくなる。
そのタイミングで、レモンサワーが届く。
そんなこんなで、全てを完食しお会計、その後のことの記憶は無い。
-焼き鳥にはレモンサワーを- 岡田公明 @oka1098
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