第14話
さっきは電話ありがとう
指のこと思い出して、なんか懐かしくなって
僕は忙しくて帰れないから、代わりにあの時の同じところで明日釣りしてよ、
受験勉強の息抜きにちょうど良いから
明後日でも良いから
頼んだ
メールを送った後は、携帯の電源を切った。電話がまた掛かってくると煩わしいことになる。
駅に着くと、懐かしい海独特の臭さが漂っていた。
僕は静かに泣きながら歩いた。波多野の手に握られて身動きの一つも取れぬよう、きつく締め付けられる魚が思い浮かんだ。
息苦しさと温もりから逃げようと、身をよじる。呼吸ができない。どれだけのたうち回ろうと、抜け出せないような握力に圧迫され、死んでいくみじめな魚が僕だった。
アクアリウム ニシダ(ラランド) @RRNDNISHIDA
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます