カクヨムのトリさん誕生秘話?
無月弟(無月蒼)
第1話
昔々ある所に、たいへん丸っこい一羽のフクロウさんがいました。
丸くて丸くて、一見するととてもフクロウに見えずに、みんなからは正体不明のトリ。トリさんと呼ばれていました。
そんなトリさんは、大のお話好き。東に行っては面白い話が無いか皆に聞いて回り、西に行っては感動するお話が無いか探していました。
トリさんは、たくさんのお話を聞くことが生きがいだったのです。
だけどそんなある日のこと。
「いたぞ、あそこだ!」
「あんな丸々としたトリ、捕まえたら高く売れるぞ!」
世にも珍しいトリさんを捕まえて売ったら大儲けできる。そう考えた人間達が現れたのです。
掴まったら、きっと剝製にされてしまいます。死んじゃいます。そんなのは御免です。
「えーん、えーん。みんなひどいよー」
トリさんは泣きながらバッサバッサと羽ばたいて、人間達から逃げようとしました。
しかし残念ながら、その丸々とした体では、思うように飛ぶことができなかったのです。
「どうしよう、このままじゃ捕まっちゃう。あ、そうだ!」
トリさんは飛ぶのを止めて、ボールのように地面をゴロゴロと転がりました。飛ぶよりも、こっちの方がよほど早く逃げられるのです。
その甲斐あって人間達から逃れることができましたけど、トリさんはもうへとへとです。
「うーん、つかれたなー。どこかで休みたいなー」
そんな事を言っていると。
「おや、お困りのようだね。うちにくるかい?」
突如声がしたかと思うと、そこには一人のおじいさんがいました。
トリさんは、このおじいさんもボクを捕まえて売り飛ばす気なのかと警戒しましたけど、おじさんは優しく笑いかけます。
「だいじょうぶ。私は君を売ったり、剥製にしたりしないから」
「ホント?」
「ああ。だから安心して、うちにおいで」
人間にも優しい人がいたんだ。トリさんは涙を流して喜びました。
そして言われるがまま、おじいさんの家へと行きました。すると?
「ねえねえおじいさん。どうしてボクはしばられてるの?」
トリさんは何故か紐で棒にくくり付けられたのです。すると、今まで優しかったおじいさんが、悪魔のような笑みを浮かべました。
「きまっておるじゃろう! お主をこれから、焼き鳥にするんじゃ!」
「ええーっ⁉ ひ、ひどい。ボクのことだましてたんだ」
「何を言っておる。わしは騙してなどおらん。売りはせんし、剥製にもせん。ただこの世にも珍しいトリがどんな味か、食べてみたいだけなんじゃよ~」
「ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ! ダレかたすけてええええええぇぇぇぇぇぇ!」
叫びも虚しく、トリさんは焼き鳥にされてしまいました。
かわいそうに。トリさんの物語は、ここでジ・エンドなのでしょうか?
いいえ、そうではありません。トリさんは気が付いた時、どこか不思議な空間にいたのです。
「う、う~ん。あれ、ここはドコ?」
辺りをキョロキョロと見ると、そこには二つの人影がありました。
「あ、目が覚めたみたいだね」
「寝坊助なトリねえ」
二人の名前は、カタリとバーグ。なんとここは電子の世界で、焼き鳥にされたトリさんはここに異世界転生したというのです。
「異世界転生って、ホントにあったんだ。それで、ボクはこれからどうなっちゃうの?」
「そう言われてもねえ。僕達は君をどうこうしようと思わないしねえ」
「小説の管理だけで大忙しだものね」
「えっ、小説?」
聞けばここは、カクヨムという世界で。ここには毎日たくさんの物語が産まれ、カタリとバーグはそれを管理しているというのです。
物語を管理。それはお話好きのトリさんにとって、実に魅力的なお仕事でした。
「ボクもふたりのおてつだいするー!」
「本当か? じゃあ、よろしく頼むよ」
こうしてトリさんは、カクヨムのお仕事をお手伝いするようになったのです。
焼き鳥にされた時は怖かったですけど、その後異世界転生して大好きな物語に囲まれて生きているのですから。案外良かったかもしれません。
トリさんの知られざる誕生秘話、いかがだったでしょう?
え、これは捏造じゃないのかって? 勝手にこんなモノを書いて、運営に怒られないかって?
しょうがないじゃないですか。
全ては「焼き鳥が出て来る物語」なんてお題を出した、運営がわるーい!
みんなトリさんが焼き鳥にされる光景を、一度は想像しましたよね!
そんな小説を書けと言わんばかりのお題だったのですから、こんな物語を書いても、文句を言われる筋合いはありません!
あ、でも垢バンだけは、ご勘弁ください(^_^;)
おしまい🐤
カクヨムのトリさん誕生秘話? 無月弟(無月蒼) @mutukitukuyomi
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