おじさんがスーパー行ってしょんぼりする話
かさごさか
そうだ、スーパーに行こう(以下BGM)
青崎は気を落としていた。
日中、何気なく見ていた旅番組で焼き鳥が取り上げられていたのを見て近所のスーパーに足を運んだ。この時間であれば、まだ焼き鳥がバイキング形式で売られているはずだ。本数制限はあれど、好きな部位だけを詰めて買えるため人気があるのだろう。総菜コーナーに常設されているそこに辿り着いたところで、青崎は空になったトレイを目にし次の瞬間には人知れず落胆していた。
よく買うわけではないが、焼き鳥が食べたいなと買い物に来た時には必ず、つくね串を購入していた。中に細かく刻まれた軟骨が入っており、鶏肉の弾力と軟骨の歯ごたえが何とも癖になる食感で青崎は気に入っていた。また、胡椒も混ざっているのかぴりついた刺激が舌に残るので、酒の肴にも丁度よかった。
そのつくねが今日は売り切れていた。そのトレイの上には何も乗っておらず、茶色いタレが塗り広がっているだけであった。他のモモやレバー、ねぎまは山積みになっているというのに、つくねだけが売り切れていた。
予想外の事態に何を買えば良いのかわからなくなり、暖色のライトを反射するタレをぼぅと眺めていた青崎だったが、後ろから来た女性にぶつかられたことで意識を取り戻す。そうだ、自分は焼き鳥を買いに来たんだった。
空のパックとトングを手に取り、焼き鳥を各種一本ずつ詰めていく。本当はここに後はつくねを二本追加する予定だった。好きなものを好きなだけ食べられる年齢はとっくの昔に通り過ぎているため、つくねを二本に抑えておくのがポイントである。その他、各種一本ずつ買うのは、ねぎまで野菜を摂取したことにするためであったり、レバーで健康に気を遣っている気分になるためであったり、健康面での言い訳が主な理由である。ちなみに言い訳する相手は特にいない。
ビニール袋を片手に青崎はスーパーを出る。不完全燃焼の胸中に北風が吹き荒ぶようであった。
・
・
・
某オープンワールド内にて
アッサム「・・・って事があったんですよね~」
カネモ「その話今じゃないとダメでしたか?」
ミャー「おふたりさ~ん。次ターンでチャージマックスなんすけどぉ、どうします?」
カネモ「私、後ろに回るので陽動お願いします。自前で回復できるのでサポ不要です」
アッサム「じゃあ、おじさんが引き受けようかね」
ミャー「アッさんの治癒に回りまーす」
カネモ「そういえば最近、職場で人死んだんですよね」
ミャー「その話今じゃないとダメっすか?」
カネモ「隣の席だった人なんですけど、しばらく無断欠勤してるなーって思ってたら自宅で死んでたみたいで」
アッサム「自殺?」
カネモ「あー警察に話聞かれただけでその後は知らないんですけど」
ミャー「ちょっと! おれのHPが減るんですけど!?」
アッサム「あっごめん(笑)気引くの忘れてたや」
カネモ「その人からソシャゲの布教されてたのでちょっと残念だったなーって」
アッサム「あ、これ無理だわ。アイテム使うよー」
ミャー「カネモさんソシャゲやらないでしょ。りです」
カネモ「これです勧められたの【画像】」
ミャー「それこの前サ終したやつじゃないすか」
アッサム「り?」
カネモ「了解って意味ですよ。ミャーさんやってたんですか?」
ミャー「いやTLが荒れてたんでーそれで知ったっす」
カネモ「へー。あと一太刀で削り切れそうなんでバフお願いします」
ミャー「はいよ! お待ち!」
カネモ「そういうのいいんで」
アッサム「辛辣~」
―――〔CLEAR!〕
おじさんがスーパー行ってしょんぼりする話 かさごさか @kasago210
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます