おまけのおまけ

 やはり「この愛らしい天使に微笑みを!」から『聖女様危機一髪』の続きを書いてもらいましたw これにて本当にラストです!w



「おいカズマ、儲け話があるんだが乗らないか?」

 始まりは我が友ダストのこの一言だった。


「最近人気赤マル急上昇のアンジェラちゃんって知ってるよな?」


 アクアが聖女がどうとか何か言ってた気がする。ああいう上品で落ち着いた感じのプリーストって良いよな、エリス様を想起させる。

 うちの駄女神とトレードして欲しいと心底思う。


「挨拶くらいしかしたこと無いけど、顔は知ってるよ。可愛い子だよな」

 だが俺は知っている、女の『可愛い見てくれ』に騙されるとエラい目に遭う、と言うことを。


「…実はな、あの聖女様の下着を高く買いたいと言う御仁が居るんだが、力を貸してはくれないか?」

 ダストが声をひそめてくる。まぁそんな事だろうと思った。


 どこの変態か知らんがあんな清純そうな女の子の下着を欲しがるなんて、男の風上にも置けない奴だ。そんな下らない話にこの俺が乗る訳には…。


「報酬は100万、首尾よく成功させれば7割がお前の取り分になる」


「よしやろう」

 だって俺借金あるしね。仕方ないよね。


「作戦はこうだ、彼女はエリス教会に寝泊まりしてて毎日教会に帰っている」


「経路の途中で彼女はショートカットの為に、大通りでは無く人気の少ない路地を通る時があるんだ。そこを狙う」


 ダストが神妙な面持ちで話す。クエスト中でもここまで真面目モードになった事は無いだろう。


「彼女が1人になった隙を狙ってお前に窃盗スティールを掛けてもらう。即座にトンズラって寸法だ」

 ふむ、完璧な作戦だ、さすが我が盟友。



「来たぞ、そろそろ用意しろ」


 件の路地裏で噂の聖女様を待ち受ける。ゴメン、君に恨みは無いけどみんなビンボが悪いんや。


「はぁ、アンジェラちゃん可愛いなぁ。マジ天使だわー」

 通路を覗き込みながらダストが呟く。お前はそんな天使の下着を盗もうとする主犯なんだぞ?


 考えてみればこんな薄暗い路地裏によく女の子1人で通れるよな、普通にガラの悪いお兄さん方とか居るだろうに。

 余程徳が高くて襲われない、とか人を疑う事を知らない、とか或いは実はめちゃくちゃ強い、とかあるんだろうか?


「今だ、やれ!」


「よし、スティール!(小声)」

 俺の右手が怪しく光る、一瞬後に人肌の温もりのある布塊が現れた。


「やったな!」

 ダストがその布を手に取り広げる、さて、噂の聖女様はどの様な下着を着けてるんだ?


「こ、これは…」


 それは見事なズロースだった、色気の欠片も無い巨大なオバチャンパンツ。


 聖女様の方は腰の辺りを気にし始めた、状況を理解しつつあるのだろう、そろそろ危険だ。


「おい、ダスト、逃げるぞ!」

 俺は盟友に声を掛けるが、奴は意外なパンツのショックに体を硬直させていた。


 くっ、『潜伏っ!』俺は咄嗟にスキルを使い隠れた。考える前に本能で動いていた。


 聖女様がパンツを手に広げて固まっているダストを見つけた。

 ゆらり、と聖女様の体が揺れた様に見えた次の瞬間にダストの面前まで距離を詰めていた。


 そのまま運動エネルギーを右手の拳一点に集めて聖女様はダストの腹に超ストレートパンチを撃ち込んだ。

 向かいの壁まで吹き飛ぶダスト、手を離れてヒラヒラと舞うパンツをキャッチして聖女様は周りを窺う。


 俺達が2人居たのを知っているのか、聖女様はその場で索敵モードで俺を探す。

 潜伏スキルで隠れては居るが、そのせいで逆に動けない。『ミツケタラ コロス』オーラが路地に充満しているのが分かる。

 恐怖で歯の付け根が合わない、まるで生きた心地がしない、超怖えぇー。


 やがて聖女様は探索を諦めたのか路地に戻って行った。

 実際の時間にして10秒足らずだったろうが俺には何時間にも感じられた、全身が冷や汗でべっとりしている。息が荒くなる。


 あの娘はヤバい…。

 ベクトルはまるで違うがアクアと同じくらいヤバいだろう。

 下手に関わるとこちらが大火傷を負う可能性が高い。

 今後あの娘にはなるべく関わらない様にしようと固く決意したカズマさんだった。


 ところで、我が友ダストくんが壁にめり込んで泡吹いてるんだけど、どうすんのこれ?



 教会の自室に戻ったアンジェラは寝台に飛び乗り枕に顔を埋め足をバタつかせる。


『めっちゃ恥ずかしいぃ! 勝手にパンツが脱げちゃって(ゴムが緩んでたのかな?)、それを事もあろうか他人に、しかも男に拾われるとか軽く死ねるわ!』

『しかも教会支給のババパンツなんて恥ずかしさも倍! こんなんじゃもう外歩けないよ…』

『そう言えば、恥ずかしさの余り思わずあの人突き飛ばしちゃったけど大丈夫かな? 大丈夫だよね…?』


 色々と考えが渦巻く。

 枕に顔を埋めたまま暫く止まっていた彼女は、やがて固い決意のもと顔を上げた。


「明日、可愛いパンツ買いに行こ」


 ─────────────────────


 ※ 俺はダストと共に冒険者ギルドに来ていた。

「なぁダスト、お前はどうしてそこまで下着にこだわるんだ?」

「そんなもん決まってるだろ、男はみんな変態だからだよ」

「まぁそれは確かにそうだが」

「いいか、男が女性の下着に求める物と言えばただ1つ。実用性だ」

「実用的?」

「例えばさっき言った聖女のズロースなんかはどうだ? アレは間違いなく下着としての機能を果たす。そして女性はそれを穿く事で安心を得る」

「つまり下着とは、男性には決して真似出来ない女性の心の拠り所である、と言える訳だ」

 なるほど、下着というのはそういうものなのか。

「ではお前は一体どんな下着を彼女に着けさせたいんだい?」

 俺は興味本位で聞いてみた。

「フッ、俺が望む物は唯一つ。清楚な白のレースだ!」

「レース? そんなの売ってるのか?」

「知らねーよ! だが探せばある筈だぜ、この世界のどこかにきっとある筈なんだ。だって下着は男のロマンだもん!」……ダメだコイツ、早く何とかしないと。

「しかしダスト、お前は良くそこまで情熱を燃やせるものだな。正直尊敬してしまうよ」

「分かってねぇな。これは男にしか分からん事だ。女には一生理解出来んだろう。ああ、いつか俺はあの聖女様のパンツを……」

 俺はダストの肩に手を置き、真面目な顔で告げた。

「諦めろ」

 ダストは泣きそうな顔をして俺を見上げた。



 ☆ちありや寸評☆

 パンツが欲しいのはダストじゃないんだけど、原作のダストも大概エロガキだから問題ないかな。そしてカズマ&ダストで話してそうなしょーもない内容として違和感が無いのは良いですなw

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【完結】ちありや vs AI 仁義なき戦い! ちありや @chialiya

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