第7話

エミリーはLINEの返信に没頭していた。

父親が就職しないなら実家に帰れと言う。それは当然だ、その約束で東京の大学に来たのだから。

でも今は自分のしたい道を見つけて、ファンも出来たのに諦めることは出来ない。

父親は縁を切ると言う。

LINEで父親を説得は出来そうもない。

この生活に、実家との縁を切るほどの価値はあるのか?

エミリーは分からなかった。

最近は、スイーツを食べたりロリータファッションにも飽きていた。歳を取っても継続できるかもわからない。

何もかも揺らいでいた。


9時が回っていたが、今夜は宴が始まらない。

「どうしたの?」

ゴルゴとエミリーはお互いの事情を

ポツリポツリと話した。

「今夜は眠れそうもないね。」

「永遠に夜が続きそう」

「何も考えたくないよね」

ははは。。と力無く笑う2人だが、

ぐぐう〜と腹の虫が鳴った。

ゴルゴは立ち上がり、キッチンで作り始めた。

「今夜は飲む気分ちゃうよ」

何かを炒めている音。

香ばしいケチャップの弾ける音。

「今夜はなぁ」

「今夜は??何?」

エミリーが目を見開く。

「眠れない深夜、2人で食べれば怖くない

オーバーカロリー満腹オムライスだっ!!」


そこには湯気が立つ大盛りのオムライスが

あった。

卵はチーズとほうれん草が辛み、ライスには玉ねぎとチキンが炒まっている。

エミリーは勢いよくケチャップをかけた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

甘党大将彼女は酒豪 @sakuraharu2021

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る