本作は自殺が多発する学校を主な舞台にして展開します。悲しくも儚く、それでいて自己存在証明(アイデンティティ)の在り方を問われるようなシリアスかつ読み応えのある作品です。変わってしまった(あるいは変わってしまった振りをしている)彼女、変えてしまった(あるいは変えていないのかもしれない)彼の未来は何色なのでしょう。それはきっと――。
生きていたいという未練や杭は、多分そんなに綺麗じゃない。綺麗のままで終わりたい。けれども皮膚や爪や髪は、どんどん汚くなっていく。じわじわと汚れていく自分に耐えきれないから、自ら壊しに行くのかもしれない。汚れを気にするほど、大した人生ではないと思いたいが故に。壊れてしまえば、死にたい、と思うことも無くなるのだろうか。それは、「生きたい」に変わるのだろうか。