エピローグ 再会


「あの二人、とても良い方だったわね」

「え? 見ていたの」

「いいえ。精霊様が教えて下さったのよ」

「い、いつの間に……」

「……あの二人だったら、結婚相手としても良かったんじゃないかな」

「お、お父様」


 レムリィが赤くなって父に喰ってかかる。


「ははは。冗談だよ、半分は」

「――」


 レムリィが父に背を向ける。


「レムリィ。どうして貴女だけが肉体を持たずに魂だけになれたか分かるかしら?」


 母に突然訊かれて、レムリィがえ? と聞き返す。


「……そういえば考えたことが無かったわ」

「実はね。精霊様が奏でて下さったあの旋律が関係しているのよ」

「え」

「あの旋律はな、聴いた者を悪の手にかからない力を持っているそうだ。だからお前は肉体を利用されずにすんだんだよ」


 父の話でレムリィの中で全てが合点がいった。

 だから自分だけ肉体が無かったのだ。

 あの時は何故自分一人だけこんな風になって独りぼっちなのだ、と嘆いた。

 けれど、ユリアンとノーティと出会えたことで、自分が皆の危機を教えてあげることが出来て、皆を助けられたのだ。

 

 ……もしも二人が、ユリアンがあの音色を聴いて来てくれなかったら、最悪の場合一生あの塔に縛られていただろう。

 本当にあの二人には感謝しかない。

 もしも来世で逢えたら、二人と旅をしたい。

 冒険者となって、色々な世界を巡りたい。

 でも、今はノーティが言った通り折角の再会を楽しむとしよう。


 レムリィは塔から出て来た二人を見つけ、その行き先を照らしていくことにした。

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夢幻の塔 月影ルナ @shadow-tsukikage

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