第2話 あれ..美味しいかも?

 「よし、出来たっ!」

長時間かけて木を擦り合わせ火を焚いた。

ここにアリを放り込んでウェルダンといったところだ


 「調味料は...木の実で作った、少し甘いが中々のアクセントになるぞ。」

アリが大きな串に逆さまに刺さり火に炙られている、見るに耐えない地獄絵図だ


「うえぇ..!」

待つ事数十分、こんがり焼けたアリを火から放して木の板上に置く。


「あ!

ちょっと待っててくれ、腕のトゲ外すからな」

腕のところの刺々が歯茎に刺さって痛いらしい、それを丁寧に取り除き味わってもらおうという寸法みたいだ。


「ほら、いいぞ」


「……いただきます。」

逃げ場は無い、胴体の硬い殻剥がし露わになった身の部分に思い切りかぶりつく。当然木の実ソースを掛けながら。


「..どうだ?」


「………うん、美味い。」

魚と鳥の中間を行く、木の実ソースも中々の風味を効かせている。正直文句が出ない、己が絶望の淵にいるからなのか?


「満たされるまで食べるといい、アリのストックなら幾らでもあるからな!」


「……嘘でしょ?」

部屋の奥を見渡すと、沢山アリの死骸が転がっていた。砂渦に巻き込まれた獲物を皆横から奪っていったのだろう。


「アリジゴク、大丈夫なの?

このペースじゃ今頃ガリガリなんじゃ..。」


「かもしれないな!

だとすれば我々は〝オオアリクイ〟だっ!」


「‥へぇ、そうなんだ。」

意図せずチームが決まってしまった、実質名付けのきっかけを担ってしまっている。


「ただ一つ問題があってな、食糧はあってもレパートリーがまるでない。焼くか直に口を付けるかだ。」


「はぁ、大変っスね..」


「そこで君に頼みがある。アリを使った料理のレシピを考えてくれないか」


「……何言ってんの?」


「シズク、君を今日からアリジゴクの料理番に任命する。よろしく頼むぞ!」


「…………はぁ?」

無理難題もいいところだ、女だからって。

いきなりトリッキーシェフに任命させられた

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〜アンティオンライフ〜 アリエッティ @56513

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