第10話 リラとの日常

「ぁ…あ~。」


俺が起きるともう日は登っていて、朝日が綺麗だった。


「リラは…。」


横を見てみるとリラは居ない。

焦って外に出てみるとリラが小屋の外にある木に立て掛けていた。

リラの目は日が出ている方向に向いていて、何処か悲しそうに見える。


「リラ…。」


俺は声をかけた。しかし、リラは沈黙していて何も答えない。


そうして、何10秒も時間が過ぎていった。

そんなときリラが言葉を発した。


「ごめん…なさい。」


その声は今までにない小さな声だった。そして、涙を流していた。それはリラがあの夢の中で見せた表情と同じだった。


そんな様子を見て俺は1つだけ勘違いをしていたのかもしれないと思った。…リラは怒られることを怖がっていたのかもしれない。


だからこそ俺はリラに近づいて抱き締めた。


「リラ。ありがとな。俺は、あの時お前が、

『頑張ったね。よしよし。』って言ってくれたのが嬉しかった。俺はあの言葉に救われた。リラが生きる意味を見いだしてくれた。これからも訓練付き合ってくれるか?」


「でも私はクロードを…」


そう言いかけたリラの言葉を遮ってこういった。


「分かってる。」


「え?。」


「俺を利用しようとしてたんだろ。分かってる。だったら、俺もお前のこと利用して強くなる。それでいいだろ。な。」


俺は女性を励まして方も、慰め方もしらない未熟な子供だ。それでもこれが今、俺ができるリラへの最大限の励ましだった。


「ありがと…!クロード!」


そう言って見せたリラの表情はとても綺麗だった。その笑顔を見て俺は茹でだこの様に照れてしまった。


暫く立って俺らは小屋の中に移動した。そして、俺が家具製作のために外に出ようとするとリラに呼び止められた。


「クロード。」


「なんだ?」


「何で、私がクロードのことを利用したのを知ってるの。」


確かに、リラからしたら気になることだろう。俺はリラの過去の出来事が夢に出てきたと言おうとした。


「いや、それは…」


しかし、リラに遮られる。


「問答無用。」


そう言うとリラは俺の脇腹をコチョコチョしてきた。


「あ…ちょっと…まっ、、、くっ、、、」


くっ。中々に上手い。着実に俺の弱点に当ててきてる。


「ここ。弱点発見。」


そう言うと、リラは重点的にそこを責めてきた。しかし、これ以上笑いすぎでやったら俺の精神がおかしくなってしまう。そうなる前にギブをしなければ、


「ちょっ、ギブ…ギブ…。」


そう言ってリラと遊んでいた。



結局、その後もリラに沢山コチョコチョをされ気が付けば全体力を持ってかれたような気がした。気付けば日も沈んでいた。


「疲れた。」


そうリラが言った。俺もすかさずツッコミをする。


「誰のせいだよ。」


「クロードのせい。」


リラの言葉に反応してもう一度ツッコミを返す。


「なんでだよ。」


そう言うとリラが笑った。


「ふふっ。」


俺は笑ったのを見て驚いた。そして、リラに言った。


「初めてだな。」


リラが首を傾げた。


「そんな笑顔見せるの。」


「変?」


「いや、似合うな。」


そう返すとリラの顔が真っ赤になった。俺はその反応見て思わず抱き締めたくなるが、ここで抱き締めたら確実に変態扱いされてしまうので堪えた。


そう話していると辺りが


「そろそろ、寝るか。」


「うん。」


そう言って、小屋の明かりの役割をしている火魔法の灯火トーチをリラが消した。


「おやすみ。明日も色々と頑張るか。」


「頑張ろう。おやすみ。」


そうして、寝ようとするとリラが肩をつついてきた。


「どうした。」


俺は振り返った。


「クロード…ありがとう。」


そう、リラが笑顔を浮かべて言ってきた。俺もなんだか、照れ臭くなってきた。


「恥ずかしいから…。」


そう、リラに言おうとして正面を向くと寝息をたてながら、すやすやと寝ていた。


「全く…。こちらこそありがとな。」


そう呟いて俺も眠りについた。

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追放されたEランク色魔術師が悪魔の力を得る TOUYOU @touyou_natukirai

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