第9話 クロードの決意
俺は夢を見た。
リラが他の誰かと契約している夢。
リラが親らしき人と話している夢。
リラが沢山の人を殺している夢。
そして…リラが俺のことをどう思っているか。そんなことが分かる夢。
この夢は確かに、嘘かもしれない。でも、リラの気持ちや光景が鮮明になって写ってくる。俺はこの時点で分かった。これはリラの過去の体験ということが…。
俺は利用されていたんだな、と思った。確かに悲しいことは悲しい。勿論、信頼していたから。
でも、それよりも俺はリラがこんな仕打ちを受けていたことに悲しみを覚えた。親も環境もその全てに裏切られてここまで生きてきたんだと。俺は初めて知った。
だからこそ、悲しいと思った。リラはたぶん、嬉しさも悲しさも辛さも嬉しさもその全てが利用するものと思っている。
たぶんいつもの俺だったら救っていないし、許してもいないだろう。でも、俺を救ってくれたあの時、頑張って訓練を手伝ってくれたあの時もリラがいなければ全部無かったことになってた。
だから今度は…。
…俺が救う番。
○
「…っ?」
俺が朝、起きるとそこは本を見つけた小屋の中だった。
「リラは何処だ。」
俺が寝ていた小屋の床を起き上がって横を見てみるとリラが俺の隣で寄り添いながら、俺のお腹に手を当てて寝ていた。
俺が意識を失ってから、ここまで運んできてくれた上に看病までしてくれたんだと、思う。やっぱりリラにも優しい部分があるのだと思った。
しかし、リラは何処か苦しそうだった。
恐らく、悪魔でも疲れというのは溜まってしまうのだろう。しかも、何千年も生きてきた疲れが一気に放出された。これは誰も分かってあげられない。そんな痛みでもあるし辛みでもあると思う。
俺は取り敢えず、リラが起きるまでに魚かそこら辺の食べれる魔物でも探そうと思った。
こんな悲劇があった直後に運がいいとは言えないが小屋の近くに魔物・デブリスが3体、木の実を食べていた。
デブリスはリスを巨大化させたような感じだが名前から分かるようにデブだ。だから機動力がリスよりも大幅に下がっているため討伐も楽だし、食べれる肉の部分も多い。
俺は早速、脳天の落ちていた木の棒で突き刺し、焚き火で丸焼きにして食べることにした。
デブリスの丸焼きは、肉が大きい上に魔物肉であるためよく焼かないといけない火だから45分程度放置しなければならない。
俺はその間、さっきベットに寝かせておいた、リラの看病をした。リラの体は全身熱くなっていておそらく、高熱だと思う。俺は、熱を冷ますために、即興の【熱冷やし袋】を作ることにした。
【熱冷やし袋】はある医療の先生が、どうにか水などの冷やすための物を永久的に置けないと思い発明したもの。
これは繊維と氷でできている。繊維はさっきやっつけたデブリスの毛皮から毟ればいい。皮は元の袋よりも厚いが、作れれば問題は無いしそこまで差はない。
次は氷。氷はこの場にあるわけでも無いし俺は氷魔法も使えない。けれど、川の水を代用すれば問題ない。ここは森が沢山あって幸い水が冷えている。
しかも、こういった川の水が清らかな場所には水の精霊がいるという噂があり、水の精霊がいると水のあるゆる効能が上がるということが証明されている。
これは毛皮を加工するための技術や、指定量の水や毛皮の量の調整といった医療知識が必要となるが、貴族出身なのもあってか、そこら辺は叩き込まれた。
そうして、できた【熱冷やし袋】をリラの頭の上に乗せて、俺は小屋での生活を安定するために色々な家具などの準備をすることにした。
しかし、もう日は落ちそうになっているため、落ちている葉っぱを集め即興ベットを作った。俺はリラに恥ずかしい心もあるが寄り添い、看病をしながらリラをベットに寝かせた。しかし、看病をしている内に眠くなってしまい俺は暗闇へと沈んでいった。
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