第8話 訓練・リラの過去
リラと俺が神経に集中している。この瞬間まるでリラが俺と一緒に繋がったいるみたいだ。一説によるとシンクロ効果という物で、繋がっている絆やそこにある因縁が強い程相手の行動がまるでわかるようになるという結果が出ている。
確かにリラといた時間は少ない、でも契約の効果があるからか、その現象が出て来てるみたいだ。
(クロード。今ならいけるかも。)
「あぁ。俺も。」
しかし、事態はそう上手くはいかなかった。
相手も此方の異変を感じとってか、魔法を発動させようとしていた。
「くっ。」
俺が焦っているのを見て、リラが声をかけてきた。
(クロード。大丈夫。信じて。)
まるでその言葉は俺の芯まで伝わってきた感覚がある、それでいて安心感が増している。
これがシンクロ効果か…。
「あぁ。ありがとな。」
もうタイミングは掴めている。もはや、失敗する要素は何一つない。
だが、相手もこれまで以上に力を溜めている。恐らくここで決着が着くだろう。
「能力解放!!」
そう言った瞬間、心臓がありえない程飛び上がりそうな感覚に飲み込まれそうになるがその気持ちを抑え、自分の中にある魔素の全てを注ぎ込んだ。
その瞬間、この洞窟を破裂させるかのような大きさの
「ギャギャ!」
エリートゴブリンの逃げようとするが、もう遅い。
「
そう唱えた瞬間、白い光が洞窟を覆った。エリートゴブリンは必ずと言って良い程死んだだろう。しかし、敵を倒すので精一杯で俺も考慮することが出来なかった。まさか、洞窟が崩壊するなんて。
「くっっ…。」
そう言って俺の意識は途切れた。
○
~リラ目線~
私は悪魔として魔界で生まれた。両親は貴族立場であり完璧主義だった。何でもこれをやれ、あれをやれって。だからやってきた。だって、そうしないと暴力を振るわれるから。
でもそんな生活の中で日々の不満は溜まっていった。成績はいい順位をとれ、夫は魔王子にしろ、と私は段々嫌になっていった。
でもそんなとき、下界に行って修行しろと親が言った。私の答えは「うん。」だった。もうそのときは何が嫌で何が良いことなのか分からなくなっていた。
そんなとき、契約の話をある男性から持ち込まれた。その男は誰が見ても醜いような見た目をし、私は契約を断ろうとした。
しかし、そんなとき親が目の前に出てきて、勝手に契約を進めた。私は「嫌。」と言ったが言うことを聞かなかった。
そんな契約者の元で「あいつを殺せ。」「あいつを始末しろ。」「さっさとやれ!」と。歯向かうことも契約のせいで出来なかった。
そんなある日、契約者が死んだ。ようやく解放されると思った。でも、何時までたっても魔界の使いが来なかった。私は見放された。
私はそこから堕ちていった。
人間はこうしたら喜ぶんだ。
人間はこうしたら悲しむんだ。
人間はこうしたら痛いんだ。
…人間はこうしたら死ぬんだ。
私は色んなことを学んだ。もう何千年生きたかも忘れた。
そして、思った。誰もかれもクズなんだと。
そんなある日ある一人の天使がやってきて私を封印した。もう、そんなこともどうでもいい。
全部、滅んでしまえと思った。
そんなある日、私は解放された。彼の名前はクロードだった。そんな彼もどうせ私を道具として扱う。そう思っていた。しかし彼は小屋の中で死にかけていた。
しかし、私が解放された時に出た私自信の魔素の影響で行き帰りそうになっていた。だから幻術をかけて無理矢理にも私が有利なように契約をしようと思った。それでも私に命令はできる。でも彼は何も命令しなかった。契約したのに。
だから私は利用した。かつて、誰がそうしたように。そうして、彼を殺そうと思った。直ぐにでも。でも、彼は私に本当に何も命令しない。だから気になって観察した。
そう観察してみると、私にお礼なんて言い始める。次に封印や制限をかけた。私は怒ると思った。でも彼は怒らなかった。じゃあ逆に【鑑定】という名の力をあげてみた。これで彼も本性を出すだろうと思った。でも彼はまだ微動だにしなかった。
やはり、意味が分からなかった。だけど考えていても仕方がない。私は彼を殺すことに決めた。強化されたエリートゴブリンを敵対させて。
けれども彼は諦めなかった。それも他の契約者とは違う考えで私はますます意味が分からなかった。
そして、クロードは倒しそうとした。エリートゴブリンを。私はそれも意味が分からなくて取り敢えず協力してみた。
しかし、案を聞いて馬鹿だと思った。慣れてもいない、悪魔の契約の力を解放させるなんて。私の契約者もそんな人はいなかった。しかし、これで死んだらそれはそれで都合が良いと思い力を解放した。
そしたら、彼は耐えた。強化したエリートゴブリンも倒したしかも、全魔素を放出したにも関わらず、体に何の異常もない。これには私も驚いた。でもどうせ、クロードの能力を解放したままで放置しているから耐えられないと思った。
でも、彼は30秒以上耐えている、これも不思議だった。でも、どうせ死ぬ私はそう思って去ろうとした。
でもうまく体が動かなかった。なんで。私は別にもうこれ以上、契約者に見つからないように過ごせばいいだけ…。
気付けば私の目から涙が出ていた。なんで、出たのか私は分からない。でもその瞬間、私の体はクロードを助けるために動いていた。
「クロード!!クロード!!」
そして、私は見つけた。砂や砂利でボロボロになっている彼を。でも、もう心臓の鼓動も弱くなっている。もう、魔法も効かない。私は懐からある液体を取り出した。
この液体は私が3000年以上も大切に持っていたもの。私はそれを口に含んだ。
…そして、彼に口づけをした。
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