第7話 訓練開始3
洞窟内に入ると中は薄暗くこんな人間の視力では慣れるまでに3分程度時間を使うだろう。だから、洞窟に入って直ぐ目が慣れるまで留まっていたが、幸いゴブリンの仲間達は来なかった。
そうしてどんどん奥に進んでいくと広い空間に出た。そこはエメラルド色の光った鉱物が幾つもありどこか幻想さを感じる。そしてその奥に居座っているのは明らかにさっきのゴブリンよりもでかく風格を感じる見た目をしている魔物であった。
「【鑑定】」
俺は【鑑定】を使い、相手のステータスを図ろうとした。しかし、何時まで待ってもステータスが出ない…。
そうか、リラが言っていた様に実力の差が激しすぎると【鑑定】が無効になる…。そうかつまりこの敵には勝てない可能性が多い。しかし、こう対面してしまった今、もう逃げることは不可能と考えていいだろう。
(あれはエリートゴブリン…。)
「エリートゴブリン?」
(エリートゴブリン。確かにパワーは他のゴブリン上位種には劣る。でも知能の高さは一番。しかも上位種は何らかのスキルを持ってる可能性が大きい。でもクロードなら行ける。)
「分かった。やってみる。」
そう言っておきながらも実際は意識しなくて体は自然も震えていた。しかし、勇気を振り絞りなんとか耐えた。
だが、敵は一歩も動かず俺を見ている。そんなどちらも動かずただ見つめている時間に終わりが訪れた。
「ギャ。」
そう言うとエリートゴブリンが石礫を何10個も発射してきた。
咄嗟に回避はするも8発程度体に当たってしまう。
「…っ。」
当たった箇所の全てで血が出ている。しかも、当たった場所の殆どが足で機動力も大幅に低下した。
(後で治す。頑張って。)
「あぁ。」
俺は痛みを感じつつも、魔法を発動した。
「
この技は只の
しかし、俺が予想していた展開とは遥かに違うものだった。
ドーン!!!
そう衝撃音が聞こえてエリートゴブリンに当たった。しかし、煙の中から出てきたのはほぼ無傷のエリートゴブリン。
「…硬すぎないか。」
(これは…異様に硬い。おかしい。ゴブリンの上位種だったとしても魔法耐性がそこまで有るわけじゃない。これは、少し危ない。気をつけて。)
「あぁ。気をつける。」
と返事をして戦いを続けた。
しかし、戦況は全然良い方向には向かっていかなかった。
例えば作戦として先に
そんな作戦を繰り返して20分がたった。
○
「ギャ!」
そう言って繰り出されるのは最早数えきれない程の石礫。しかし、魔力が殆どない今、選択肢は回避しかなかった。
「ぐっっ…。」
そして、体全体に石礫を受けた。しかも、体全体がもう血だらけになっている。
しかも、敵は恐らく2割程度しか削れていない。一度身を犠牲にして
つまり、本当に打開策も無いような状況になってきている。
(…クロード。本当に大丈夫?。)
「あぁ…。。。」
(嘘。心配かけたくないからって誤魔化さなくていい。)
「…。なあさ。」
(?)
「MPだけ【能力制限】を解除することできるか?」
(…。それは難しい。そもそも、【能力制限】をした理由は訓練の訳もある。でも、それ以上に大事な理由がある。それは悪魔の契約で得た力を暴走させないため。)
「そうだったのか。」
(だから、もし解放したら危険になる。最悪の場合、死ぬ…。でも、今回は相手が悪い。だから、私が…)
「いや、やる。」
(死んでしまう可能性がある。本当にそれでいいの?)
「あぁ。確かに、絶対に上手くは行かないし、暴走に近い状態になる可能性はほぼあるって言ってもいい。
でも、MPは比較的その可能性が低いと思う。MPというのは自分の体内にある魔素がどれぐらいあるかを表している。つまりその保有量が一時的に増えるだけだ。」
(問題視しているのは、そこ。魔素が増える、つまり魔素過多になって体に悪影響が出る。)
「いや、一瞬でそれを放出出来れば問題ない。」
(でも。)
「と、言っても二つの問題がある。って言いたいんだろう。だいたいどんな問題があるか予想はつく。
一つ目が、そんな莫大な量の魔素を放出出来るかどうかだ。だけどそれは簡単だ、解放された瞬間に目の前に巨大な
二つ目はタイミングだ。確かにこの問題が一番難しい。やることはリラが【能力制限】をしたときに俺も
しかも対応してからじゃたぶん遅い、つまり体が認識する寸前までに解放された魔素を解き放たないと駄目だ。
そんな感じか。」
(凄い。頭良い。)
「リラも思いついてただろ。頭良いぞ充分。」
(ありがとう。)
お互いに会話をした後、意識を集中させ、解放する準備をした。
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