第6話 訓練開始2

 俺は洞窟の入り口に行くとさっきの見張りと思われるゴブリンが現れた。


「ギャギャ。」


 幸いまだ気付かれていない。しかし、大きな音を出せばバレてしまうため、迂闊に魔力を沢山溜めて放てばいいという物でもない。


 悩んだ末に出した結論。


 それは見張り役を洞窟よりも100m遠い所まで飛ばすという方法だ。俺はそのために手から魔力を生成する。


 そして、ゴブリンを目掛けて放った。


灰縄グレーロープ。」


 この技は、誰でも使うことのできる無属性魔法のロープに色魔法である灰色を混ぜて発動させる魔法だ。


 俺は発動させるとゴブリンの足に絡みつかせ、遠くに投げ飛ばした。


「ギギッ!」


 そう鳴き声の出しながら飛ばされていっ

た。



 急いで投げた方に駆けつけてみるとゴブリンは警戒してこちらを見ている。しかし、投げ飛ばすときに棍棒が飛んでいったようで、丸腰になっている。


黒魔弾ブラックバレット!、白魔弾ホワイトバレット!」


 ゴブリンが逃げない様に右足に黒魔弾ブラックバレットとを左足に白魔弾ホワイトバレットを放った。

 しかし、それだけでゴブリンが絶命してしまった。


「絶命したか。まあ投げ飛ばされたから当然か。」


(うん。確かに投げ飛ばされてHPの半分は減った。さらに、ゴブリンは魔法に対して非常に弱い。だからLV差が20あっても勝てた。)


「なるほどな。」


 そして、分かったことがある。それは灰色は能力がない代わりに消費魔力がおそらく小さいということだ。実際的な数値は出てきていないが、灰色は体感、魔力を吸われるような感覚が少なかった。


(ちなみに魔法が弱いなどの情報はゴブリンのステータス欄の種族・ゴブリンを【鑑定】しても見ることができる。だから【鑑定】は様々なことに使った方がいい。)


「分かった。」


(後、【鑑定】は実力の差が激しすぎると発動しない。注意して。)


 リラが珍しく強く言っている。これは本当に注意すべきだろう。


 ○


 そして、また洞窟の入り口に戻ってきたとき、二匹のゴブリンが洞窟前でウロウロしていた。これはおそらく勘づかれたかもしれない。しかし、このまま放置していたら仲間を呼ばれてしまうかもしれない、幸いまだ探している最中と見て伺えるから【鑑定】してから攻撃をしかけに行こう。


 □無名LV.18

 種族・ゴブリン

 階級・E

 職業・無

 □能力値

 HP・E

 MP・E

 力・E

 防・E

 魔・E

 抵・E

 運・E


 □無名LV.15

 種族・ゴブリン

 階級・E

 職業・無

 □能力値

 HP・E

 MP・E

 力・E

 防・E

 魔・E

 抵・E

 運・E


 見てみるとさっきの敵よりLVが低い。ということはおそらく一体、魔弾バレット四発で死ぬだろう。


 恐らく、あの十秒程度立てば、意識が冷静に戻り他のゴブリン達に見張り役がいなくなったことを伝えてしまう可能性がある。だから作戦は奇襲で行く!


魔弾バレット四連式フォース!」


 魔弾バレット四連式フォースを一体に目掛けて打つと、直ぐにゴブリンは動かなくなり、もう一体のゴブリンが目の前の仲間が死んだことからパニックになり始めた。


 そこの隙をついてもう一回魔弾バレット四連式フォースを打つともう一体のゴブリンも動かなくなった。

 そしてその瞬間に脳内で謎の声が響き渡った。


 LVが上昇しました。

 色魔法のLVが上がりました。


「なんだ?」


(何かあった?)


「よく分からない自分のLVと色魔法LVが上がったみたいだ。」


(分かった。【鑑定】してみて。)


 そう言って俺が【鑑定】を発動させ、ステータスを見てみるとLVが2も上がってLVが3になっていた。しかし、ステータスは何一つとして上がっていなかった。


 色魔法の方は白、黒、灰のLVが上がって、特に能力の上昇はなかった。


「なんかLVアップした意味あったのかこれ。」


(うん。地味な変化、だけど周りのオーラが強くなってる。)


「そうなのか。」


(うん。しかも、魔法のLVアップは恐らく威力の上昇で1.2倍から1.3倍は上がってる。

 でも色魔法はそもそも威力が強い魔法じゃないから、油断はダメ。)


「分かった。」


 そう言って会話を終えた後、俺は洞窟内に入っていった。

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