第5話 訓練開始1
「朝になった。起きて。」
「う、ぁあ。」
そうリラから言われて起きてみるとまだ全然日も登っていなくて、午前3時程度の時間帯だと思う。
「まだ早くないか?」
「訓練するから。当たり前。」
「そうか。」
そう返事をすると…
「物解りの良い弟子。よしよし。」
そう言ってリラは俺の頭を軽く撫でた。
「じゃあ。早速行こう。」
そう行ってリラが外に行こうとする。
だから俺は聞いた。
「何処に行くんだ?」
「秘密。付いてきて。」
「ああ。」
そうして、リラは背中から生えた悪魔の翼を使い飛び出した。
俺も急いで追いかけるようにして、ダッシュしたが、早すぎて追い付けない。というより、本調子が出ない気がする。
「はぁはぁ。くっ。」
俺が苦しそうにしていると、
「頑張れ。ふれーふれー。」
そうやってリラがやる気の籠ってないような声援で応援してくる。俺は一歩踏み出すたびに足が重くなっている感覚に囚われる。
「なんか、足が上手く上がらなくないか。
なんか仕掛けたのか。はぁはぁ…。」
「それが【能力制限】の効果。あれにはEランクって書いてあった。でも今はそれ以下。」
「マジかよ。」
「それと同時に【重力魔法】をかけてある。」
「だから、こんなに一歩が重く感じるのか。はぁはぁ。」
例えるなら身体の上に人が3人乗って、足には鉄球が幾つも付いているような感覚に近い。既に1kmは通過しているが、もう足が悲鳴を上げている。
「後、もうちょっと。頑張れ。」
「そう…か。はぁはぁ。」
俺も、身体に負担がかかっていて限界が近づいているため無駄に返事することが出来ない。
そうした中、3km程走り続けた。そして、森をかき分けると急に洞窟らしき物が見えてきた。
「ストップ。止まって。」
「はぁはぁ。」
最早疲れ過ぎてマトモな返事が難しくなっている。
「吐く息を小さく。」
そんなこと言われても難しいが…。
そう思いつつ、頑張って疲れている息を一定のスピードまで落とし続けた。
そう苦労していると、洞窟から緑の人のような形をしている、魔物が現れた。
「あれは?」
「【鑑定】で見て。」
そう言われて【鑑定】を発動させて、見てみることにした。
□無名LV.20
種族・ゴブリン
階級・E
職業・無
□能力値
HP・E
MP・E
力・D
防・E
魔・E
抵・E
運・E
「魔法の欄が書いて無い?」
「持ってない。だから書いてない。」
「じゃあ、俺はユニークスキル持っていないがなんで欄があるんだ?」
「それは、スキルを持っているとユニークスキルの欄まで表示する。そういう設定。」
「成る程な。」
そう話していると、ゴブリンが洞窟内に戻っていった。どうやら見張り役だったようだ。
「見張り役か。」
「そうだね。」
そう言うとリラは考える動作をし、そして何かを閃いたような顔をして俺に話しかけてきた。
「じゃあ。訓練やろうか。」
「ああ。何をやるんだ。」
「あの洞窟内のゴブリンに全員討伐。」
「…え?」
「じゃあ。始めるね。」
「ちょっ待っ…。」
俺の静止の声も聞かずにリラは、指先から魔法を唱えると、急にゴブリンの叫び声が聞こえた。
どうしても、ゴブリンのこう言った声を聞くと肺を殴られた思い出が蘇ってくる。でもあの時とは違い、俺は本気を出せる。
そう思い気合いを入れていると急にリラの声が聞こえてきた。
(色魔法を主に使う。このことを意識して。)
「リラ?、直接脳内に話しかけることができるのか。」
(そう。悪魔の契約の能力。)
「でも、色魔法って色を付けることしかできないと思うんだがどう戦えばいいんだ。」
(そんなことはない。じゃあ、自分のステータスを開いて。)
リラから言われた通り俺は【鑑定】を使い、ステータス欄を開いた。
□クロード・アストラルLV.1
種族・人
階級・E
職業・無
□能力値
HP・E
MP・E
力・E
防・E
魔・E
抵・E
運・E
□魔法
・色魔法(E)
□スキル
ユニークスキル
・無
スキル
・鑑定(S)
□呪い
・悪魔の契約
・スキル封印
・能力制限
(そこの魔法の欄の色魔法をさらに【鑑定】してみて。)
もう一度言われた通りにやってみると説明文が開かれた。
□色魔法
(その色の特色また、その色限定の様々的な能力を引き出す魔法。)
使用可能
・黒色LV.1
(遮断の能力)
・白色LV.1
(反射の能力)
・灰色LV.1
(能力なし)
(どう。色々と分かった?)
「あぁ。」
俺は色魔法というのは、どうせ役に立たないゴミみたいな魔法かと思っていた。でもどうやら可能性はあるようだ。
例えば黒色の遮断というのは、黒色の特色自体を表していて、全ての色を遮断することができる。つまり、これは魔法に置き換えて考えると全ての魔法を遮断できるようになると考えられる。
しかし、あくまでもLV.1おそらく殆ど効果をなさないといっていい。だからこそ今の内に色魔法のLVを上げることに専念しよう。
(じゃあ、頑張ってね。)
そう言われ俺は洞窟の方向に向かっていった。
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