第4話 代償
「う…、あぁ。」
まだ少し契約したときの痛みがするも、なんとか目を開け、立ち上がってみると、紫色の空間ではなく本を見つけた、小屋の中だった。
「ん、お疲れ様。」
そう言われ振り返ってみるとそこには、サキュバスの格好をした彼女が居た。
「あんた、居たのか。」
「リラ。」
「え?」
「私の名前。」
「そうか。」
「そうか。じゃなくてリラ。」
「わかったよ、リラ。」
「貴方は?」
「クロード。」
「そう。クロード。」
リラから真正面で言われ少し顔が赤くなったが、それを隠すように、俺はかつて本があった位置を見ながら呟いた。
「てか、本無くなってるぞ?」
「うん。だって私が本だから。」
「え?、じゃあなんで本の状態だったんだ、サキュバス姿じゃない方が動きやすいだろ。」
「それは力を封印されてたから。」
「封印?」
「うん。私、悪魔だから。」
「やっぱそうか。」
「驚かないの?」
「いや、そこまで驚かないさ。
俺が読んだ本で悪魔の契約は激しい痛みを伴うものっていうのを読んだことがあるからもしかしたらって思ったし、なにより俺がこうやって決心するために協力してくれたからな。ありがとな。」
そう言うと、彼女は頬を紅潮させた。そうして、微笑んだ。そして、俺の近くまできて顔を胸に埋めて頭を撫でてきた。
「よしよし。お礼言えて、偉いね。」
「ちょ、待っ…。はぁ~。」
動けないので、彼女の気の済むまで撫でさせた。
○
「うん。満足した。」
そう言って彼女は俺の頭から手を放した。
「全く、いつまで撫でてんだよ。」
「クロードも満更でもない顔してた。」
「…っ。」
思わず言い当てられて、黙ってしまった。
「クロード。」
まだ名前呼びに驚いてしまったが、なんとか冷静を保ちつつ返事をする。
「なんだ。」
「悪魔というものは、色んな存在から嫌われてる。」
「別に、俺は…」
そう言おうとしたところでリラが人差し指を唇の上に置いてきた。
「クロードが私をそう思っていないのは分かる。でも、悪魔と契約を交わしたりしたものは悪魔使いって言われる、だから悪魔使いは絶対的な討伐になる。だから、クロード。今までとは比べものにならないぐらい辛いし、鍛えていかないといけない。
しかも、悪魔との契約には必ず代償を支払う。それでも、やる?」
リラからは嘗てない程の真剣な目とその身体から発せられる強烈な圧が感じられた。それでも…。
「俺の答えは…一つだ、やる。思えば俺が馬鹿だった。魔法適正が一つでそれが色魔法でEランクだからなんだ、俺はそれでもやらないといけない。」
「そう。分かった。」
そう言ったリラからは少し悲しげな瞳になっていた。
「じゃあ、まず話すことがある。それは代償について。
クロードには幾つかの代償をつけた。その中の一つが10年以内に幻の秘宝と言われるの 神武具・
「10年か…。」
「クロードはいけるかもと思ったかもしれない、でも今のままだと無理。場所の目安もこの国中ということしか分かってないから。
しかも、レア度はオリハルコン100個や、賢者の石製造とは比較対象にもならない。それ程難しい。」
「じゃあ、どうすればいい?」
「だから、鍛える。貴方の能力の一つに、【鑑定(S)】を追加した。これは契約したことに対する私の能力付与。試しに使って。」
□クロード・アストラルLV.1
種族・人
階級・E
職業・無
□能力値
HP・E
MP・E
力・E
防・E
魔・E
抵・E
運・E
□魔法
・色魔法(E)
□スキル
ユニークスキル
・無
スキル
・鑑定(S)
□呪い
・悪魔の契約
・スキル封印
・能力制限
結構ツッコミどころしかないな。
「この呪いってのは、悪魔の契約でついたのか。」
「うん。【スキル封印】と【能力制限】はこっちがかけた。」
「それも鍛えるためか。」
「そう、よくわかったね。」
できればどんなスキルを持っているかなどは自分で確認したかったが仕方ない。
「分かった。」
「じゃあ、明日から訓練始める。おやすみ。」
そう言われるといつの間にか小屋の中に用意されていた、テントの中の布団に入り睡眠をとった。
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捕捉
力・物理攻撃力
防・物理防御力
魔・魔法攻撃力
抵・魔法防御(抵抗)力
運・回避率、会心率…
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