どちらも選んでみたかのお話
@chauchau
二番煎じと言わないで
「意義ありっ!」
「却下します」
いざや始まらんとする裁判に、
異議申し立てを行うは、被告人お笑いくん。されども彼が意見は、するりぬるりと閉ざされる。
「コメディという言葉がお笑いだと思われるは屈辱でございます。これらはすべてお笑いくんの陰謀というもの」
「なんともそれは恐ろしや。ここはお笑いくんを極刑にしてみようと欲するが、よかろうか」
「意義なし異議なし是非もなし」
「意義ありっ!」
「却下します」
悲劇の対照を成した意味を持つ喜劇:コメディであったはずの御言葉が、いつのまにやら笑い笑われ恋焦がれ。
幾星霜の時の流れに身を任せ、すべては一汁三菜の想いにほかならぬ。
「現代ドラマ殿も申しておりまする。コメディがお笑いと思われていることも、自分と同類に思われることも我慢ならぬと!」
「それはいかん! それはいかんことですぞぉ!」
「コメディ分のお笑いであることは認めましょうぞ。されども、コメディイコールお笑いであることが如何ほど愚かな行いか!」
「あな恐ろしや、恐ろしや!」
「意義ありっ」
「却下します」
「却下のときだけ普通にしゃべってんじゃねえよ! ナレーション含めて会話になってねえだろうがさっきから!」
まさかまさかの飛び火が移りて地震雷火事親父。
かしこみかしこみお頼み申すと申せば申せど申されど。もう、もう、もうと三人寄れば文殊の知恵にて御座候。願いましては、今川焼か回転焼きか、それとも五臓六腑のうわの空。
「もはや意味不明で読者がついてこれねえって言ってんだろうが! ノリと勢いだけで書いてんじゃねえぞ作者ぁ!」
「そういうけどさ、
「普通に純粋にお笑いか、コメディかで書けばよいだろうが!」
「狙って書く笑い系ほど笑えないものはねえよ」
「お前、いま、コメディくんとして話してんのか作者として話してんのかどっちだ!」
火花飛び交く二人のまにまに。
狂い咲き誇るは紅の花。いざや旅立て、空のクジラに飛び乗りて、目指し目指さん地中海レモンは塩ラーメン。
「そもそもさ、いまだにコメディの選択肢がないところでコメディ書けとか言われても、また現代ドラマ殿に文句言われるのはこっちだぜ?」
「それは申し訳ないとは思わなくもないけど、ていうか、俺のせいではないよな」
「君のせいでコメディが笑われ分野になってるのは間違いないから君のせいではあると思う」
「人を笑わせてはいても笑われている自覚はねえよ」
「末期か」
「やめろやめろ」
ひゅるりと脱げ落ちたウサギの寝床にウナギが顔を出しては盗まれる。
東の空に月が昇れば、海が太陽に沈みだす。月面着陸、これは真か騒ぐ亀の隣を桃太郎が走り抜け、フライング疑惑で御婆様を乱射した。
「日本語なんてものは元の意味ではなく使い勝手で決めるからな。つまりは、いくらお前が喚こうともコメディとお笑いは同意議なんだよ、日本では」
「俺のものは俺のもの、お前のものは彼のもの。どいつもこいつも好き勝手言いやがる!!」
「誰だよ、彼。てか、現状だけ見るとボケているお前がまさにコメディイコールお笑いを体現しているからな」
「だって、実際そうじゃん」
「じゃあ、この話の前提はどこいった!!」
「ねえよ、そんなもん」
「読者の! 時間を! 返せ!!」
チクタクチクタク。鐘が鳴る。
三時のおやつと泣きながら叫んだ子どもが、狙う木の実を打ち落とす。黄身と君とがまざりあって白黒茶色と色めく色が色々と、色んな色味を異論なく正論気味に小気味よくとも笑って泣いて、怒って笑う。
いざや、いやざとこれにて終わりと宣いませんと欲しませう。
どちらも選んでみたかのお話 @chauchau
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