4/14 入学式開始前の職員の保健室の先生

小学校の入学式なんて、大人になると忘れてしまう。


その時の保健室の先生がいたかどうかなんて、覚えている子供はきっと・・・。

35億に1人いたらいいほうだと思う。


保護者は我が子の入学式をスマートホン、ビデオカメラを持ち治める事に精一杯。

我が子は、新たな新生活に緊張してそわそわしている。


教職員にとっては・・・。

3月末に6年生を中学校に送り出し、一幕が落ちた。

そして、新たなる一幕が開く日。


「田代先生。用意のほどは?」

職員室にふたりと保健室から、田代仁美は立ち寄ると校長に声を掛けられる。

「ばっちりです」

100円均一で購入をした籠の中には、雑巾、液体凝固剤(仁美は猫の砂と呼んでいる嘔吐物などを固める物)、手袋、マスク、黒いビニール袋が入っていた。

先月、3月に幼稚園や保育園から入園してくる児童の事を教務や特別支援担当の中井先生などを中心に担任人なども申し送りをしてもらうのだが。

漏らす。緊張で吐く可能性のある児童の情報を入手していた。

直ぐにそんな事態が起こっても、対応できるよう。

入学式の職員控え椅子のパイプ椅子の下には、処理セットが入っているのだ。

そして、昨今の公立小学校の入学式名物ともなりつつある。


職員席に職員がいない。

式典最中は教職員・・・どこ行った?


式の最中はこれ。

入場から退場まで、練習無しで右も左も分からない。

緊張状態の新入生を動かすため、教職員は児童の間に紛れて至り。

体育館上の2階席で音楽を流したりと基本的に来賓、貴賓席に職員は数名しかいない。


「いやぁあぁあぁぁぁ!!!!」

断滅魔の叫び声に仁美は職員室から出ると、校舎の隅で泣き叫ぶ新入生だろう男の子と特別支援担当の中井先生が向き合っているのが目に見えたので静かに向かう。

「おはようございます」

にっこり笑って、仁美は人の好さそうな顔で子供の前にしゃがみ込み。

ゆっくりとした口調で話しかける。

「どうしたの?」

「いやぁぁぁぁ!!!!」

「そっか~。嫌なのかぁ。初めての場所で緊張するよね」

うんうん。何が嫌なのか分からないけど、大丈夫よ。

仁美は何でも頷いてあげましょう。

だって、保健室の先生だものと初対面で何も知らないが頷く。

まずは共感、初めましてから、なんか、この人、安全そう・・・。

そう思わせることが大切。

「教室に入れなくて」

「そうなんですね」

「お名前を教えてもらえるかな?」

きっと、ノーマークの子供なんだよな。

就学時健康診断を受けることもなく。

幼稚園や保育園でも特に問題なしと言われていた子供だろう。

特性がある子供は事前にフォローをしているが、まったく情報がなく入学式に大パニックを起こす子供。


「高木優斗君です」

中井は泣き叫び続ける高木の代わりに自己紹介をする」

「優斗くんっていうんだね。私は、田代先生です」

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」


―――こりゃだめだ。


「引き金はあったんですか?」

「教室に保護者と入って、少し経ったときですかね?」

「保護者といるときは問題なしでした?」

「はい」

「では、校内放送で保護者体育館から呼びますね」

「よろしくお願いします」

保護者を呼ぶのだが、やってきた保護者は凄く怪訝そうにしており。

子供の状況を見ると、父親は他の子供のようにできないことに大激怒。

母親は号泣。


あぁ。

この反応・・・。

自分の子供が他の子供と少し違う事を分っていたけど、受け入れない奴ね。

仁美たち教員はそんな保護者にも慣れっこで校長室に移動した。

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