大切にしたいもの

@xsshoo

第1話

今日暑かったなぁー、一日の感想はたったこれだけ。俺は毎日を淡々とただ過ごしていくだけの地味な高校1年生、京介。高校は勉強をそれなりに力を入れる、いわゆる自称進学校に入学した。友達もたくさんできたし、決してつまらない日々ではないことは確かである。そしてこの頃からクラスに気になる人ができてしまった。

普通ならば、友達とかに言って共有したいことだが、そういうわけにはいかない。なぜならその相手は自分と同じ、オトコだからだ。

小さい頃から自分は周りの男子と違い、オンナを好きになれないのだ。小中学時代に女の人と付き合ったこともあるが、すぐに別れるのだった。今思えば、それは完全に自分が事実から目を背けていただけだったと。しかし、高校生になって、目を背くのはできなくなってきた。自分の意思じゃどうにもならないような本能的な何かに素直にならなきゃいけないのだとこの体が教えてくれた。

好きになったきっかけも些細なこと、体育のバレーボールの授業でたまたま2人組になった、これだけ、。一目惚れっていうやつかって聞かれたらそうかもと答えてしまうが、実際はそうではないような気がする。翔太朗が格別にイケメンでも、格別に性格がいいわけでもない、でもそういう完璧じゃないところに惹かれてしまったのかもしれない。他の男子とは普通に話せるのに、どうして翔太朗と話すときだけあんなに緊張してしまうのだろう、上手く言葉が出てこない、カタコトになってしまう、こんな自分がたまに嫌になる。でもこの気持ちを抑えることはできないのも知っていた。なので、このせいか、翔太朗とは用事があれば喋れるけど、なければ特に喋ることもない、微妙な関係を保っている。

あの人はバスケ部に所属していて、クラスの中でも陽キャに入る方。男子にも女子にも好かれている自分と比べものにならないほどの優れた人である、と思っている。

唯一、出身中学は違うが、家が徒歩で15分程度の距離にあるので、途中まで一緒に帰ったことも数回だけある。しかし、緊張してるせいかなかなか楽しめなかった。











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