第36話 こうして計画の幕は閉じる

兵士たちが二人を捕らえようと接近するが、そんな兵士たちに何故か分からないが、自信満々にしているニコラがそこにはいた。


「おい、誰が平民だと!私たちに逆らえば貴様の家をつぶすぞ!俺のパパは男爵で、こいつの父親は伯爵なんだぞ!貴族家の子息に手を出してただで済むと思っているのか!」


その言葉に、兵士たちは硬直してしまう。まさか、相手も貴族とは思っていなかったからだ。しかし、彼らは既に国王によって平民へと落とされた身、そのことをバリットは兵士たちに伝える。


「問題ない、その者たちは既に国王陛下によって直々に平民の身分に落とされたものたちだ。それくらい、こいつらは大きな問題を起こした。既にこいつらは平民であるし、そんな奴を誰も助けようとはしない。さっさと連れていけ!」


そんなバリットの言葉を聞くと、兵士たちは安心し、二人を捕らえるのだった。


「貴族でもないのに貴族の身分を偽るとはそれだけでも大罪だ!おい、お前たちこいつらを連行するぞ!」


「おい、離せ!俺を誰だと思っているんだ!離せ!」


「まて、私は関係ない。おい、私とそいつは無関係だ!離せ!」


運の悪いことに二コラがバリットに危害を加え、貴族の身分を偽ったため、一緒にいたルミニも連れていかれてしまったのだ。


このまま、二人は罪を償うことになり、しばらく牢の中で過ごすことになる。そんな二人が牢から出てきたときには国中に男色の平民が二人いるという噂が広まっており、街を出歩くごとに忌避の目で見られ、まともな生活を送ることが難しくなるのであった。


また、彼らとリズのイチャイチャした姿を温かい目で見ていた住人達はよくも汚いものを見せてくれたなと、時々ではあるが、二人の住んでいる場所に押し寄せてくれるため、まともな仕事も、住処もなく、二人はその日暮らしの生活を余儀なくされるのであった。




「お父様、大丈夫でしたか?」


ジャーニはバリットの怪我を痛そうに心配しているが、本人はケロッとしている。


「まぁ、大丈夫だよ。殴られたのは少し痛かったけど、これであいつらを連れていけるのであれば安いもんさ。」


「まったく、心配させないでくださいね。」


「分かっているさ、だが、これで計画は完璧な最期を迎えたな。彼らが男色ということを国中に示し、最終的には彼らを咎人としてとらえさせる。大成功だとは思わないかい?」


「最後のはびっくりしましたけど、確かにバリットさんの言う通り、大成功ですね!まさかここまでうまくいくなんて思いもしませんでした。」


「何言っているのよ、これもみんなが力を合わせたからよ!今日は計画の成功を終わってお祝いね!チア、何か美味しい料理を知らないかしら?今日はチアの料理をたくさん食べたいわ!」


「任せてください!腕によりをかけて作らせてもらいます。最近では料理長にまかせてもらえることが多くなったんです。今日はいつもよりいっそう腕をかけて料理を作らせていただきますね!」


こうして、ジャーニが発案した婚約者屈辱計画は幕を閉じたのだった。計画が完了しても彼女はジャーニ達の家の料理人として働き続けるのであった。彼女がこの家の料理長となる未来はほんの先の出来事かもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

婚約者が婚約破棄で乗り換えたのは私の姉でした。でも彼女がオスだというのを知っているのは私だけです。 創造執筆者 @souzousixtupitusya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ