第35話 捕縛
「だ、だましたのか!すべて、お前たちの手のひらだったのか!貴様、貴様たちが騙したのか!」
自分がバリットにはめられたことに気が付き、ルミニは怒りをあらわにする。
「はて?何のことでしょうか?私は何もしていませんが、あなた達が同じ男性を好きになっただけでしょう?困りますな、他人のせいにされては。」
もちろん、今回のことはすべてバリット達が仕組んだことではあるが、それをばらしてしまうわけにはいかない。そうしてしまえば、今回の騒ぎの一端がバリット達にもあるため、問題になってしまうからだ。
「とぼけるな!この私を騙せると思うなよ、分かっているのだぞ!」
「お、おい、いったいどういうことなんだよ!俺にもわかるように話せよ。」
ルミニは真実に気が付き、バリットに対して怒りを示しているがこの中で唯一、二コラだけが理解していない。そんな彼に対し、ルミニはイライラしながらすべてはバリットたちが仕込んだこと言うことを告げる。
「ふざけるなよ、チア、てめぇぶっ殺してやる!」
自分が見下していたチアにはめられたという事実に気が付き、二コラは怒りに身を任せ、チアにこぶしを振り上げようとする。しかし、そんなチアをバリットがかばい、結果的に二コラはバリットをケガさせてしまう。
「バ、バリットさん!大丈夫ですか!」
「あぁ、問題ないよ。少しだけ、打撲しただけさ。だが、これでお前たちは終わりだな。」
バリットは悪い笑みを浮かべ、ニヤニヤとルミニと二コラを見つめる。すると、バリットは急に人目を気にせず、叫び出したのだ。
「誰か、誰か来てくれ!この不届きものを捕らえてくれ!」
そんなバリットの叫び声を聞いた兵士たちが何事かと集まってくる。そう、バリットの悪い笑みとはこのことだったのだ。
「どうしました、何かございましたか!」
兵士たちが叫び声をあげていたバリットの元へ集まると何があったのか、尋ねる。
「こいつらが、いきなり私を殴ってきたのだ。平民であるにもかかわらず、私を傷つけるなど言語道断だ!見てみろ、この顔を!」
兵士たちのリーダーはそんなバリットの顔を見ていたそうな顔を浮かべる。もともと、平民が貴族にてをあげるなど、もってのほかであるが、そこまで見せられればやることは決まっている。
「こ、これはひどい。お前たち、平民が貴族のかたにこのような無礼を働いてただで済むと思うなよ!おい、こいつらを捕らえるぞ!」
兵士たちはリーダーの掛け声を皮切りに二人を捕らえようとするのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます