第34話 全員、ご対面
こうして、国王に招集された貴族達は解散することになり、チアたちは屋敷へと帰っていく。
「いやぁ、本当にスカッとしたわ!陛下もなかなか思い切った方法に出たわよね。」
「本当ですよね、あの二人が貴族でなくなったのは当然かもしれませんが、まさか兄を物理的に女の子にしてしまうとは驚きました。あの絶望に満ちた顔を見ましたか!本当にスッキリしましたよ。今までの恨みがスッと晴れていく気がしました。」
「うん、うん、そうよね。あんな顔をした人間は初めて見たわよ。」
二人は先ほどのリズに関してスッキリしたと各々の意見を言い合っている。そんな二人に複雑な顔をしているのはバリットだった。
「まったく、二人ともそれがどれだけ恐ろしいことか分からないだろうな。私からすれば恐怖そのものだ。」
そんな風に三人が話し合っていると、二人の人間が三人の元に走ってくる。
「ま、まて!チア、俺にはお前しかいないんだ!助けてくれ、お前とこんなところで出会えたのは何かの運命だ、もう一度やり直そう!婚約破棄をしたのは間違えだった。」
「ジャーニ、私が悪かったよ。君と離れたのは間違えだった、もう一度やり直そう!婚約破棄は間違えだったんだ。」
「「えっ?」」
三人の元にやってきたのは二コラとルミニの二人だった。彼らは先ほど国王に追い出されたはずだが、城から出てきたチアたちを見つけて、最後の望みとやってきたのだ。
しかし、互いの婚約破棄の言葉に何かがおかしいと違和感を持つ。
「お、おい、まさかそこにいる女はお前の元婚約者なのか?こいつはジャーニの召使いではないのか?」
「そっちこそ、婚約者なのか?それに、あなたはバリット殿では?どうして三人が一緒にいるんです?」
「ま、まさか、まさか、まさか!リズが叫んでいた相手とはお前のことか!」
どうやら、ルミニの方がニコラよりも賢いようだ。彼はこの三人がそろっていること、そして、リズが去り際に叫んでいた言葉を思い出す。思えば、あそこまで美しい女性にしか見えないリズが男だという話が上がること自体が不自然なのだ。
そして、もとはと言えばバリットから、ここにいるニコラを奪い取ったことがすべての始まりだった。ここにきて、ようやくルミニはバリットたちにはめられたことに気が付く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます