第33話 なかったことにすればいい
「さて、次はお前たちに対しするさただ、今回、お前たちはリズによって騙されていたと言ってもいい。しかしながら、お前たちひたりのせいでこの国の貴族全員が変な趣味を持っていると思われれば国のメンツにかかわる。
そこでだ、貴様たちは今回の件に関して罪に問うつもりはない。しかしながら、この埋め合わせはしてもらうぞ。そもそも、男色だと言われているお前たちが貴族であるから問題なのだ。お前たちが我が国の貴族でもなければ何も問題はない。
お前たちは、喧嘩をしていた当日は既に平民だった。その前日に既に実家からは追い出されており、そのショックで男色に走った。そう言う結末だ、良いな。」
なんと国王は二人が喧嘩をしていた日には既に貴族家から抜けていたと言い出したのだ。もちろん、そんなことはなく、二人は今も貴族家の人間だ。
しかし、ここにいる全員がそんなことは理解している。これは確認などではない、ただの命令なのだ。そのため、これに逆らえば国王から何をされるか分からない。
しかしながら、頭では分かっていても納得することはできない。なぜなら、これを認めてしまえば明日から平民として生きていかなければならず、ルミニはそんな現実に耐えられず、二コラに至ってはそんなことになってしまえば明日から自由な生活が送れないと思っていたからだ。
もっとも、今日まで生まれながらの貴族であった二人がいきなり平民になった際の最大の問題点はどうやってお金を稼ぎ、生活をしていくのかということだが。
「お待ちください、そんなのはあんまりです。悪いのはすべてリズです!私は被害者なのです、そんなことは納得できません。」
「そうです、そもそも、貴族でなくなってしまうなど、耐えられません。せめて、平民以上の特権を与えてください!貴族の生まれなのですからそれくらい当然です!」
二人は口々に国王に意見を行うがそれがいけなかった。
「だまれ!これはお前たちが起こした問題だろうが、これは決定事項だ。特権も何も与えない、お前たちは何一つ平民と変わらない!お前たちの家が何か援助などしようものなら私自ら取りつぶしてやる。
おい、こいつらのいた家にも伝えておけ、今後、一切の援助を行うなということをな。そうでなければどうなるのか覚悟しておけと。」
二人はいきなり国王の命令で連行されていったため、彼らの実家の人間は何が起こっているのか全く分かっていないのだ。いまも、この謁見が終わるまでは何も行動を起こせないように兵士たちが彼らを見張っていたのだ。
そのため、実家の人間がこの二人にあうことはもはやないと言っても過言ではないだろう。もしも、そんな場面を見られてしまえば国王が何をしてくるのか分からないのだから。
ルミニと二コラの二人は騒ぎ立てているが、国王はそれに耳を貸す気など、一切ない。国王はもはや話は終わったとでもいうかのように彼らを追い出すのであった。
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