こじらせ中年の深夜の異世界転生飯テロ探訪記〜特別編・お酒に合う異世界食材フルコース〜

陰陽

初恋の想い出と2人だけのディナー

「それでね?あなたをお呼び立てしたわけなのです。あなたにしかお願い出来ないことだと思うのですがいかがでしょうか?」

「はあ。」

 俺は目の前でたおやかに微笑むメイベル王太后に、思わずそう言葉を返した。


 俺はこの世界に間違って転生された、栄戸譲次という日本人だ。現在の職業は一応冒険者、ということになっている。

 間違ったわびにと、神様から貰った、どんな物でも手に入るスキルと、どんな食材かを理解するスキルと、まだ見ぬレシピを知るスキルを持っている。


 それを使って異世界の食材や元の世界の食材を食べながら、楽しく今の人生を過ごさせて貰っている。

 俺の体がおそらくは勇者に与える筈のものだったということをのぞけば、俺は魔法も使えないまったくの一般人だ。


 ことのくだりはこうだ。

 隣国ノインセシア王国の現国王の母君であるメイベル王太后は、この国──バスロワ王国──の現国王の祖父であり、元先代勇者のランチェスター公の娘さん、かつ先代国王の妹君だ。


 隣国の元国王に懇願されて嫁いだものの、瘴気をはらう為にこの地に降臨された聖女様に対する、ノインセシア王国の酷い扱い──つまりは現国王である息子のやり方──に反発し、抗議の意思を示す為に、現在実家に里帰りしている状態である。


 そんな彼女と彼女の兄上である前国王は、この国の侍従長であるジョスランさんとは乳兄弟なのだと言う。ジョスラン侍従長の母親が前国王の乳母であり、ジョスラン侍従長はその息子さんとして、幼い頃より遊び相手になっていた。


 当然妹であるメイベル王太后も、小さい頃一緒に遊んで貰ったり、嫁にいくまで色々と世話になっていたのだと言う。

 そんなジョスラン侍従長がもうすぐ60歳の誕生日を迎える。その日に向けて王族たちは、様々なお祝いを考えているのだそうな。


「恥ずかしながら、アーサーや、セレスや、サミュエルが、楽しそうにジョスランのお祝いについて話しているのを聞いて、そういえば……と思い出しましたの。

 おそらく諸国漫遊中のお兄様も、旅先からなにがしかを送ってくる筈ですわ。」


 王族に謁見の際、前国王を見かけないと思っていたが、息子にあとを引き継いで、旅行を満喫しているのか。羨ましい限りだな。

 ちなみにアーサー様は国王、現公爵夫人であるセレス元王女は女官の管理と王宮に新たに仕入れる品を選別する責任者、王弟サミュエル様は宰相の立場についている。


「わたくしは長らくこの国を離れておりましたでしょう?

 おまけに急いで戻ってきてしまったものだから、何も持たずに来てしまったのです。

 だからジョスランに何を贈ったものかと考えていたのですけれど、パトリシアに聞いたあなたの話で思いつきましたの。」


 ちなみにパトリシア様は現国王の娘であるお転婆王女様だ。下に2人の弟君がいる。

 以前王女様の命令で、友人であり宮廷料理人のロンメルに、無理やり王宮に連れてこられ、パトリシア王女に料理を振る舞ったことがあるのだ。だが俺はそもそも料理人ではないし、趣味で料理するに過ぎない。


「ですが……。この世界の珍しい食材を使った料理となりますと……。

 俺の作れるものは、俺の国の普通の家庭で食べられているものばかりです。

 そういう変わった食材を使ったことがないもので、どうにも……。」


 俺が逡巡していると、

「──では、こういうのはどうかしら?

 エイト卿はこれから、お父様の友人であるコボルトの為の店を作り、魔物扱いされているコボルトの扱いを、国民たちに変えさせようとしているとうかがいました。」


「はい、パトリシア王女の協力を得て、王宮近くのよい場所に、土地と建物を手に入れたばかりです。」

「──その店から、むこう30年間、ノインセシア王国からの一定以上の仕入れを約束しましょう。契約書を作って差し上げるわ。店の売上が安定するのではないかしら?」


 むこう30年間だって!?

「……よろしいのですか?彼らがどのような商品を扱っているのかはご存知で……。」

「ええ。いただいた食材も、食器も、若返りのお茶も、どれも素晴らしいものばかりでした。今回のことがなくてもお願いしたいとは思っておりましたのよ?」


「気に入っていただけたのであれば幸いですが、30年ともなるとさすがに驚いております……。メイベル王太后はノインセシア王国で物凄い権限をお持ちなのですね。」

「夫はわたくしのお願いごとなら、なんでも聞いてくれますのよ。」

 メイベル王太后はそう言って微笑んだ。


 だがこの機会は逃すわけにはいくまい。

 コボルトたちは元魔物の現獣人だ。だがいまだに魔物として迫害する人間たちに、集落に忍び込んだ盗賊たちを捕まえて役人に引き渡しても、なんの罰も与えられずに釈放されるという扱いを受けている。


 そのイメージを払拭し、なおかつコボルトたちに新たな収入源をと、俺の出資で王宮近くの、貴族がたくさん集まる街で、コボルトの店を始めることにしたのだ。

 先代勇者であるランチェスター公と行動をともにした、元拳闘士のオンスリーさんも店に立ってくれることになっている。


 コボルトの店を始めるにあたり、最終的にコボルトたちに店を譲渡するつもりでいる俺は、譲渡時にかかる税金対策の為、俺から借金をする形で、あらかじめコボルトたちが店の権利を持つ状態で、店を始めてもらうつもりでいた。


 俺は完済するまでのんびり待つつもりではいるが、借りる側からすれば莫大な借金は不安でしかないだろう。

 そこにきて、隣国からのむこう30年間の仕入れ保証。しかも契約書つき。コボルトたちも安心してくれるに違いない。


「……やらせていただきます!」

 こうして俺は、ジョスラン侍従長の還暦祝いの為の料理を作ることになったのだった。

 しかし引き受けたものの、この世界の珍しい食材なんて、……おそらくだが、魔物を使った料理だよな?


 俺からするとすべての魔物が珍しい食材なんだが、オーク肉なんかは普段から食べられているというし、なんだったら珍しいんだろうな?

 俺は王宮から帰る足で、冒険者ギルドに立ち寄ってみることにした。


 いつもの受付嬢が朗らかに俺を出迎えてくれる。

「あの……すみません、少々お伺いしたいのですが。」

「はい、なんでしょうか?」

「王族の方でも珍しいと感じる食材になるような魔物とは、どんなものがいますでしょうか?」


「王族の方でも……ですか?」

「はい。」

「そうですね……、おそらくは大抵のものは召し上がられていると思いますので、代表的なもので言うのなら、まずはアビスドラゴンでしょうか。」


「アビスドラゴン?」

「深淵を覗くものと言われるドラゴンです。火山の火口に暮らしていて、普段は出てこないので害はないのですが、繁殖時期にのみ山を降りて、動物や他の魔物、はては人間までも襲うと言われています。」


 ……つまりは人を食べるということか。人を食べた魔物を食材にはしたくないなあ、さすがに。なんとなく気持ちが悪い。

 だが、その繁殖した子どもならどうだろうか?まだ人を襲っていない筈だから、それなら別に気持ち悪くないな。


「それとカセウェアリーですね。」

 どこかで聞いたような単語だな。

「それはどのような?」

「同じく火山の近くか、地底火山の近くに暮らすと言われる魔物です。火を食べて生きると言われる鳥の姿をしていますが、詳しい生態は分かりません。」


 ああ、カセウェアリーって、ヒクイドリってことか。元の世界でも、世界一危険な鳥だったよな。以前討伐したダイアウルフといい、元の世界に存在していた動物が、魔物になっているケースのひとつなんだろう。

 しかし火山か……。オリハルコン銃を武器にする俺とは相性が悪い地形だな。


「めしあがられたことがあるかは分かりませんが、シーサーペントも珍しい食材ですよ。めったに手に入らないですが、手に入らないという程のものではないですね。」

 確かに、ロンメルが以前料理に使っていたな。あれも美味しかったな。


 王宮勤めだから珍しい食材も食べてきているだろうが、ジョスラン侍従長自身は王族ではないし、そこまで色々食べてきてはいないかも知れない。

 あとはこちらの料理法で振る舞ってみることにしようか。


 俺はまずは食材を手に入れることにした。

 お祝いの料理、かつ王宮で振る舞うともなると、コース料理であることは必須のように思う。

 前菜、スープ、魚、メイン、デザート。最低限これくらいは欲しい。


 それと、ジョスラン侍従長はおそらく無類の酒好きだからな。料理に合う酒を準備したい。きっと喜んでくれる筈だ。

 俺は、食材を手に入れるのに、協力出来ることはしてくれるという、メイベル王太后の約束を取り付けていた。


 そこでシーサーペントとマンドラゴラを手に入れて貰うことにした。俺が単独で狩るのは難しいし、手に入るのであればそれに越したことはない。

 それと一角兎とケルピーを狩ってマジックバッグに入れ、以前一角兎の肉を格段に柔らかくする方法を発見した、宮廷料理人であるロンメルを尋ねた。


 ロンメルはまだ勤務中だったが、メイベル王太后の取り計らいで、一時仕事を抜けてきて貰うことが出来た。

「──どうしたんだ?お前が仕事中に呼び出すなんて、珍しいな?」

 不思議そうにしながらも、ロンメルが爽やかに微笑みかけてくれる。


「……じつはな……。メイベル王太后の密令で、ジョスラン侍従長にお祝いの料理を振る舞うことになったんだ。」

「へえ!そいつは凄いな!

 それで、それと俺にどんな関係が?」

「以前お前がパーティクル公爵家で作った、一角兎を柔らかくする方法を教えて欲しいんだが。」


「ああ、そういうことか!一角兎は味はいいんだが肉がちょっと硬いからな。

 構わんよ、他ならぬジョージの頼みだからな。それにメイベル王太后の希望とあっちゃ断れんさ。」

「すまんな、仕事中なのに。」


「いや、問題ない。」

 ロンメルは俺に、エディスの実を使って肉を柔らかくする方法を教えてくれた。

 ロンメルに礼を言って王宮をあとにし、さて、問題は残りの食材をどうしようと思いながら歩いていた。


 手に入れたいと思っているのは、今回教えて貰ったアビスドラゴン、カセウェアリーだが、火山に向かわないといないという。

 だが俺が狩りに使うのはオリハルコン銃だ。火薬は熱に弱い。地底火山なんて場所に行ったら、暴発しないとも限らないのだ。


 やはりここは、ワイバーンやオークをしとめた時のように、檻の中に出現させてそこをしとめるしかないと思うが、敵は伝説の魔物だ。ワイバーンの時のように、檻を壊して逃げられないとも限らない。Aランクのワイバーンですら檻を壊したんだからな。人気のない山に登ろう。


 俺はとあるものをマジックバッグに入れ、山を登った。

「よし、ここでいいか。」

 以前ワイバーンを出して倒した場所と同じ開けた場所までくると、俺はマジックバッグにしまってあった鉄の檻を出して地面に置き、少し離れたところからオリハルコン銃を構えた。


 俺は前世でも狩りをする人間だったので、オリハルコン銃はライフル仕様だ。武器防具職人であるヴァッシュ・バーグさんという人の特注品である。

 銃を使って狩りをする冒険者がおらず、作ったものの倉庫に眠っていたのを俺が譲り受けたものだ。


 まずはなんでも出せる能力を使って、カセウェアリーを鉄の檻の中に出現させる。

 世界一凶暴な鳥と同じ名を持つ魔物だけあって、まあ気性が荒かった。

 いきなり鉄の檻に体当りして壊そうとし、地面に固定されていない檻がひっくり返った。


 カセウェアリーを出現させた時点で、冷静にオリハルコン銃で狙いを定めていた俺は、激しく動くせいで狙いがブレるカセウェアリーに、オリハルコン銃を作ったヴァッシュさんに貰った水属性弾を放った。

 1発、2発、3発。カセウェアリーはピクピクと動いていたが静かになった。


 火に強いというから単純に水属性弾にしてみたが、どうやら有効だったようだ。

 だが問題はアビスドラゴンだった。

 カセウェアリーを鉄の檻から取り出してマジックバッグに入れ、鉄の檻を再びまっすぐ立て直す。


 そしてアビスドラゴンの子どもを鉄の檻の中に出現させたのだが、子どもとは言え、さすがは珍しいドラゴンだった。

 大人のワイバーンよりは小さいが、かなり大きい。それが一瞬で鉄の檻を破壊して、檻の外に飛び出してしまったのだ。

 俺はマジックバッグの中から、事前に準備していた魔法陣が描かれた紙を取り出した。


 先代勇者であるランチェスター公と同時期に召喚された、先代の聖女様が残してくれた、誰でも魔法が使えるようになる魔法陣の描き方の本を元に描いたもの。

 清められた紙、魔力の込められたインク、魔力を持つものが描くこと、この条件さえ揃えば、呪文を言うことで魔力がなくても誰でも魔法を使う事ができる。


「シュッランバノー!」

 俺は飛び上がったアビスドラゴンの子どもに向けて、捕縛の魔法陣を発動させた。

「ピギィイイイイ!」

 魔法陣から飛び出した光の輪っかにとらえられたアビスドラゴンの子どもが、そのまま地面にボトッと落ちた。


 もちろん、これだけじゃない。俺は鉄の檻を囲うように、魔法の檻を魔法陣で発動させてあったのだ。万が一にも逃して人を襲ったら大変だからな。

 鉄の檻はあくまでも動きを一瞬止めるだけのものとして考えていた。


 魔法陣で作った光の檻は、内側からは破れないが外から攻撃をする事が出来ると、魔法陣の本の説明書きに書いてあったのだ。

 光の檻に、捕縛の魔法陣。どうあがいてもアビスドラゴンの子どもが逃げることは不可能だった。俺は離れた場所から狙いを定めて、オリハルコン弾を一発頭に放った。


「……すみません、また有料の解体をお願いしたいのですが……。」

 俺は冒険者ギルドを尋ねると、カウンターに、一角兎と、ケルピーと、カセウェアリーと、アビスドラゴンの子どもをマジックバッグから出して置いた。

 当然冒険者ギルドは大騒ぎだった。


「どうする!?アビスドラゴンなんて、いまだかつて解体したことないぞ!?」

「オリハルコンナイフの使用許可を!

 それと親方を呼び出してください!」

 受付嬢がオリハルコンナイフの使用許可をギルド長に取りに走った。


 ちなみにオリハルコンを使用した武器は高い。俺のオリハルコン銃も、日本円にして一億円以上する。ナイフと言えどもお高くて貴重なのだろう。日頃は厳重に保管されているということか。

 俺はギルド長の部屋に案内され、解体が終わるのを待たせて貰うことになった。


「……相変わらずですね、ジョージさん。

 今度はカセウェアリーと、幼体とはいえ、アビスドラゴンですか……。」

 もはや慣れた光景ではあるが、オリバー・スコット冒険者ギルド長に苦笑されつつ、買い取り代金の精算をおこなっていた。


 俺の現在の冒険者ランクはAなのだが、単体で俺の狩るランクの魔物を狩ってくる冒険者はそうはいないらしく、いつもこうして冒険者ギルド長の部屋に呼び出されては、話をしながら精算して貰うのが常となっている。まあ、ヴァッシュさんのオリハルコン銃のおかげだけれどな。


「いつも通り、肉以外は買い取りということでよろしいのですよね?」

「はい、ありがとうございます。」

「事前に職員より説明がありました通り、今回アビスドラゴンにオリハルコンナイフを使用しました関係で、解体料金が特別価格となっております。」


「問題ありません、俺にはドラゴンの解体は無理ですし……。」

 せいぜいさばけて魚と野鳥くらいだ。

「まあ、硬くて通常の刃が通らないことをのぞけば、ワイバーンとやり方はそう変わらないのですけどね。」

「そうなんですね。」


 話しながら、スコット冒険者ギルド長は、布袋から出したお金を机の上に並べて重ねていく。

「解体料金を引いて、小白金貨1枚と、大金貨8枚と、中金貨2枚になります。きりがいいように、端数は少しオマケさせていただきました。」


「ありがとうございます。」

 俺は受け取ったお金をマジックバッグの中に入れた。ちなみに小白金貨1枚で日本円で1千万円程度。子どもとはいえ、アビスドラゴンが相当高かったということだな。

 ケルピーはオスに角のある半馬半魚の魔物だが、今回メスだったので買取価格は安い。


 オスの角は数が少ないうえに勃起不全のクスリの材料になる為、買取価格が角だけで小金貨1枚は最低する。

 解体された肉は、冒険者ギルドの隣りにある解体場で受け取れる。小さいものならカウンターで受け取る場合もあるが、さすがにデカいからな。


「それと、王宮から依頼されたものを渡すよういいつかっているので、帰りに商人ギルドにも立ち寄ってください。」

「わかりました。」

 頼んでいた食材がもう手に入ったのか。王宮の依頼ということで、市場に出回っていた分を回してくれたのだろう、ありがたい。


 俺は急遽呼び出されたという親方にお礼を言って、一角兎とケルピーとカセウェアリーと、アビスドラゴンの肉を受け取ると、商人ギルドにも立ち寄り、頼んでいた食材を受け取って馬車で自宅へと戻った。

 まずは試しに料理を作ってみなくてはな。いきなり当日に振る舞うのは出来るだけさけたい。


 前回パトリシア王女に無理やり王宮に連れてこられた時には時間がなくて出来なかったが、今回はロンメルとの料理対決の時と同じく、事前に試すだけの時間がある。

 俺が料理をしていると、

「──なにをしているの?」

 円璃花が不思議そうに後ろからのぞきこんできた。


 円璃花は隣国ノインセシア王国に召喚された聖女様かつ、俺の前世での元カノなのだが、聖女がほとんど出現したことのないノインセシア王国に、聖女が必ず連れている筈の聖獣がいない、勇者が同時に現れなかったことで、そもそも偽聖女ではないのか、などと責められ、ボイコットを起こした挙げ句、このバスロワ王国に逃げてきた。


 全国王会議という、この世界の王族たちによる会議で身の振り方が決まるまでは、バスロワ王国預かりとなっており、バスロワ王国のアーサー国王の許可のもと、知り合いである俺の家に身を寄せている。

「ジョスラン侍従長の還暦祝いに、メイベル王太后が俺に料理を振る舞って欲しいと言うんでな。手に入れた食材で料理を試してる。」


 俺はキッチンで包丁を使いながら、振り返らずに円璃花に答えた。

「見たことのない質感のお肉ばかりね?

 ……それとこれ、すっごい太っとい木の根っこ?これ、食べられるの?」

「これはマンドラゴラだ。こっちじゃ高級食材なんだぞ?」


「へーえ?味が想像もつかないけど。」

「調理法によって食感と味を変える面白い食材なんだ。以前食べた時はタンみたいな食感だったが、植物としての味と触感で食べることも出来るらしい。だから今回は植物として使ってみようと思ってな。」

「ふうん?」


 そこに、自ら椅子を引きずってきて、頑張って自分で椅子に乗ったカイアが、ひょっこり俺の手元を覗き込んでくる。

「カ、カイア!2階で遊んでいたんじゃなかったのか?これはちょっと見ないほうがいいと思うぞ?2階に行って、アエラキと遊んでいような?」

 俺は慌ててカイアを椅子から降ろした。


 カイアは俺を守護することに決めてくれ、一緒に暮らしているドライアドという精霊の子株だ。大人しくて気を使うタイプの優しい子で、とても傷付きやすい。

 俺は自分の子どもとして育てているのだが、ドライアドは植物の中の精霊王であり──当然見た目は太い木の幹である。


 魔物とはいえ、同じ植物の姿をしていて、オマケに顔もあるマンドラゴラを料理しているところなんて、ちょっとカイアに見せたくはない。

 お父さんがやがて自分も食べようとしているんじゃ……なんて思われたら、たまったものじゃないからな。


 そこに、風魔法で空中に浮かんだアエラキも、俺の料理風景を上から覗き込んでくる。

「アエラキ!?お前もか!今日は本当にすまないが、2人で2階にいて欲しいんだ。」

 一見オムツを履いた白ウサギに見える、カーバンクルのアエラキも精霊の子どもだ。カイアと違って両親がいるが、俺を守護すると決めてくれた関係で一緒に暮らしている。


 目が緑で額に赤い宝石のようなものをつけている以外は、仕草などもかなりウサギだ。

 だから一角兎を近くで料理するのは、既に解体されて肉だけとはいえ、ちょっとヒヤヒヤする。俺はアエラキを抱き上げて空中から降ろした。


「……ひょっとしてそれ、ウサギ肉?」

「そのまさかだ。」

 俺の様子に円璃花がこっそり耳打ちで聞いてくる。

「それは確かにあの子たちには見られたくないわね。精霊だから、見た目は似ていても別物だけど、人間の側からすると、ね。

 いいわ。私が上で遊んで気を引いておいてあげるから。」


「すまない、助かる。」

「さあ、カイアちゃん、アエラキちゃん、2階でお姉ちゃんと遊びましょうね?お父さんはちょっと忙しいみたいだから。」

 円璃花はそう言って、カイアとアエラキを2階に連れて行ってくれた。助かった。


 俺は料理を作って、盛り付けまでも試してみたが、

「ああ、駄目だ駄目だ。」

 スープが思ったように盛り付けられない。

「液体だしなあ……。これは容器そのものを作って貰うほかないな。」


 そう思ったが吉日、まだ間に合うな、と思った俺は、作りかけの食材を冷蔵庫へ、当日使う分はマジックバッグに入れ、ちょっと出かけてくる、と2階に声をかけて、急いで馬車に乗った。

「──あら、ジョージ、なんだか結構久しぶりね?元気だった?」


 向かった先はコボルトの集落だ。美しいアフガンハウンドタイプのコボルトであるアシュリーさんが、にこやかに挨拶してくれる。

「はい、お久しぶりです、アシュリーさん。

 実はちょっと、コボルトの食器を作っている方にお願いしたいことがあって来たのですが、ご紹介いただけませんでしょうか?」


「食器?お店で売る分のこと?」

「はい。それと、ご報告があるので、オンスリーさんと、集落をまとめているオッジさんを呼んでいただけないでしょうか?」

「おじいちゃんとオッジさんを?

 別に構わないけれど……。」


 そう言って、アシュリーさんは、2階からオンスリーさん、外に出てオッジさんと、コボルトの食器作り職人をまとめているという、ナーラさんを呼んできてくれた。

 オンスリーさんはブルドッグタイプ、オッジさんはビーグルタイプ、ナーラさんはバセンジータイプのコボルトだ。


「私にお願いがあるというのは、どういう内容でしょう?」

 ナーラさんが俺に尋ねてくる。

「実は、今度ノインセシア王国の現国王の母君であるメイベル王太后の依頼で、料理を振る舞うことになったのですが、俺が考えている料理を盛り付けるのに、特別製のプレート皿を作って欲しいと思いまして。」


「プレート皿、ですか?」

「こんな感じのものなのですが。」

 俺は何でも出せるスキルを使い、マジックバッグから出したかのように見せながら、見本になるプレート皿を出してテーブルの上に置いた。


「仕切りのある皿なのですが、この仕切りをこういう風に作っていただきたいのです。

 できますでしょうか?」

 俺は画用紙を取り出して、そこにバームクーヘンを半分にしたような、半円状の皿を描いてナーラさんに渡した。


「出来ると思います。特に難しくはなさそうですね。子ども向けの皿は、こういう仕切りのあるものを作りますし。」

「そうですか!ぜひお願いします!

 それと、これも今後売り出していこうと思っていますので、今回は6つだけで結構なのですが、この先数を作っていただけないでしょうか?」


「わかりました。」

 とナーラさんが請け負ってくれた。

「それで、我々も呼んだということは、何か店に進展があったということですかな?」

 とオンスリーさんが聞いてくる。オッジさんも興味津津といった様子だ。離れたところでアシュリーさんがこちらを見ている。


「はい。今回の料理を作る事と引き換えに、むこう30年間、コボルトの店から食材や皿やオンバ茶を定期的にノインセシア王国が仕入れる契約書を作っていただけると、メイベル王太后様が保証してくださいました。」


「──むこう30年ですって!?」

 驚いた声を上げたのはアシュリーさんだ。

「俺も驚きましたが、事実です。

 俺としては、店が軌道に乗ったら皆さんにお譲りするつもりでいたのですが、それだと譲渡時に莫大な税金がかかるようなのです。売上ベースでの計算になるとのことで。」


 オンスリーさんとオッジさんが身構える。

「ですので、皆さんには俺から店の資金を借金していただく形で、初めからコボルトの店としてはじめてしまうのはどうかと提案したいのです。そうすれば皆さんにかかるのは商品の売上に対しての税金だけです。」


「そこでメイベル王太后の売買契約が生きてくる、とわけだね?ジョージ。」

 オッジさんがそう言う。

「はい。元々仕入れるつもりではいたようですが、契約書をかわして保証することを俺へのお礼にしたいと。それがあれば安心して借金出来るのではないかと思いました。」


「確かにそうだな……。王都に店を構えるための借金なんて、いくらかかるか分からないし、莫大な税金がかかるとは言っても先の話だ。今すぐ借金をするよりも、将来かかる税金の為に金をためたほうがいいという者も多いだろう。だが、その購入保証があるのなら話は違ってくる。」


「はい、とてもメリットのある話だと思いました。仕入れを保証する契約書ですから、ノインセシア王国側から違えることはできませんので。」

「分かった、それを含めた上でみんなには話してみよう。」

 オッジさんとオンスリーさんがそう請け負ってくれた。


「では、皿ができたらお知らせしたいのですが、どのようにすればよろしいでしょう?」

「これを使ってください。」

 俺はルピラス商会のエドモンド副長から譲って貰った、ミーティアをナーラさんに手渡した、手紙を飛ばす無属性魔法で、手紙が鳥の姿になって飛ぶのだ。


「書いた手紙が鳥になって俺のところに飛んできますので。」

「わかりました。」

 俺はみんなにお礼を言って、コボルトの集落をあとにした。自宅に帰って料理の数々を試した。あとは盛り付けの皿が出来るのを待つだけだ。


 ──コツコツ。

 ある朝、俺の部屋の窓を何かが叩く音がする。目を覚ましてカーテンをあけると、窓の外に手魔鳥──ミーティアだ──がいた。

「ごくろうさん。」

 窓をあけて部屋の中に引き入れると、ミーティアは手紙に変化して宙を舞った。生き物ではないが、思わずそう言ってしまう。


「ようやく出来たか。」

 俺は皿が出来たので今日取りに行くことを、ルピラス商会のエドモンド副長に新しいミーティアで告げた。

 さすがに王宮に直接ミーティアは飛ばせない。不敬に当たるからな。王宮出入りのルピラス商会が、俺からの伝言を伝えてくれることになっているのだ。


 俺はカイアとアエラキと円璃花とともに朝ごはんを食べ、コボルトの集落に向かう馬車に乗った。

「ジョージさん、お待たせしました。こんな感じでいかがでしょうか?」

 ナーラさんが俺にプレート皿を見せてくれる。イメージ通り、バッチリだ。


「はい、最高です!

 これを量産していただけますでしょうか?

 とりあえず2000でお願いします。」

「は、はい。まだ店も出来ていませんし、ゆっくりで構いませんよね?」

「ええ、もちろん、」

 ナーラさんは驚いていたが、他の皿とあわせて作ってくれることになった。


 家に戻る最中の乗合馬車に、ミーティアが飛んでくる。対象者をめがけて飛んでくるものなので、どこにいても関係がない。

 俺は馬車の上でミーティアを受け取って手紙の内容を読んだ。

「……今日?気が早いな、本当に……。

 まあだいぶ待たせてしまったからな……。」


 手紙の内容は、出来れば今日ジョスラン侍従長に料理を振る舞って欲しいとメイベル王太后が言っている、とのことだった。

 俺は自宅近くまで来る馬車を降りると、そのまま王都に向かう馬車に乗り換えたのだった。


 王都に付くと、まずはルピラス商会を尋ねる。裏門から王宮に入る際に、ジョスラン侍従長に気付かれないようにする為に、エドモンドさんが協力してくれることになっているのだ。

 出入り許可証を持っているルピラス商会は、指定した相手を呼び出せるからな。


 裏門から王宮内に入り、エドモンドさんにロンメルを呼び出して貰う。普段ならジョスラン侍従長を通すことになるのだが、今回はメイベル王太后の願いで内緒だからな。

「よう!今日は頑張ろうな!」

 ロンメルがやって来て、笑顔でそう言ってくれる。


「お前の協力が必要不可欠なんだ、よろしく頼むよ。」

「任せておいてくれ。」

「じゃあ俺は帰るな、頑張れよジョージ。」

「はい、ありがとうございました。」

 そう言って馬車で去っていくエドモンドさんに礼を言い、俺はロンメルと共に王宮に入った。


 王宮の厨房を借り、ロンメルとともに料理を準備する。料理が出来たことを外で待っていた従者に告げ、従者がメイベル王太后付きの侍女に伝えに行った。

「……こ、これは……?」

 突然呼び出されたジョスラン侍従長は、目の前のテーブルにメイベル王太后が座っていることに目を丸くする。


「ジョスラン、幼き頃より、わたくしやお兄様のよき友人でいてくれて本当にありがとう。ささやかながらわたくしからも、あなたのお誕生日をお祝いさせてちょうだいな。今日は従者としてでなく、幼馴染としてわたくしと食事をして欲しいの。」

 メイベル王太后が微笑んでいる。


「は……、そ、そんな、もったいのうございます。」

 ジョスラン侍従長は泣きそうなのをグッこらえながらそう言った。

「かけてちょうだい。それとも、わたくしとは嫌かしら?」

「めっそうもございません。……失礼いたします。」


 従者がジョスラン侍従長に椅子を引き、ジョスラン侍従長が腰掛ける。普段は最もしつけられている、侍従長の最有力候補とされている男性らしい。男性も尊敬する上司が王族からこのような扱いを受けることが、とても嬉しくてたまらないのをなんとか隠しているようだったが、隠しきれていないところにまだ若さを感じさせた。


「それでははじめさせていただきます。

 一角兎とホタテとアスパラガスとルルクスとじゃがいものアヒージョです。

 ご一緒にでも構いませんが、よろしければ食前酒のミモザを飲まれてから、お召し上がりください。」


 アヒージョは結構重たい料理なので、前々菜としてほんの少しだけ出した。

 ルルクスはこの地方で取れる、塩気のあるトマトのような野菜だ。見た目は鬼灯の袋に似ている。


「ジョスランはお酒が大好きでしょう?

 だから今日の料理は、すべてお酒にあうものにしてくれたのだそうよ。」

 メイベル王太后も嬉しそうにミモザを口にしながらアヒージョを愉しんでいる。

「は……それはとても楽しみです。」

 ジョスラン侍従長が喉を鳴らす。


「前菜になります。カセウェアリーとキャビアとケルピーの下半身のカルパッチョです。日本酒とともにどうぞ。」

 この日本酒は魚卵にあうように作られたもので、マリアージュを感じさせてくれるお酒になる。ジョスラン侍従長もメイベル王太后も、料理を食べて日本酒を口にした瞬間、美味しい……と呟いていた。


「続いてスープです。オークのテッセとラカンを使った虹色スープになります。ビールとともにお楽しみください。」

 ついにナーラさんに作って貰ったプレート皿の出番だ。

「これは……!!」

「なんて美しいの……!」


 仕切りのついたプレート皿の上に、更にそれぞれのスープをすくいやすくする為、半円状の大きさの違う皿が乗っている。

 七色のスープが盛られ、まるで虹のように彩りを見せている。これを普通にやろうとしたらどうしても混ざってしまって、皿から作ることに決めたのだ。取りやすいし、プレート皿は手まり寿司やオードブルを乗せるのにも使えて便利な皿である。


 ちなみにテッセはコボルトのハーブ入りソーセージで、ラカンはベーコンにあたる。

 スープは元々色んな色の食材のものがあるからな、それをこんな風にいつか並べてみたいと思っていたんだ。

「ああ美味しい。……とても嬉しいです。」

 そんなジョスラン侍従長の様子を見ながら、メイベル王太后が目を細めている。


「続いて魚料理になります。シーサーペントの松笠焼あおさクリームソースと禁断のパスタ、ほうれん草とキノコのソテーを添えて、です。白ワインとともにどうぞ。」

「「パスタ……?」」

 2人が声を揃えて首を傾げている。今この皿の上にパスタがないから無理もない。


「付け合せのほうれん草とキノコのソテーと、あおさクリームソースを少し残してお召し上がりいただけると幸いです。」

 2人が白ワインと共にシーサーペントを愉しんでいる最中に、ロンメルが台車を押して室内に入ってくる。台車の上にはグラグラと煮立った寸胴鍋と、ザルが引っ掛けられた小さな鍋。寸胴鍋は俺の出したカセットコンロの上に乗っている。


 そしておもむろに寸胴鍋の中からパスタをトングで引き上げ、隣の空の鍋の上に乗せられたザルの中にパスタを入れてお湯を切った。

「厨房からここまで時間がかかりますので、どうしても茹でたてを召し上がっていただきたくて。」


 料理は既に毒味済みなので、あとはパスタだけ毒味するのであれば、その場で提供してもいいということになったのだ。

 毒見役がパスタを口にしてうなずいてくれたので、俺は残ったソースの上にパスタをくるりと少量盛り付けた。

「あおさクリームソースとあわせてお召し上がりください。」


「これは……!!」

「禁断の意味がわかりますわね……!」

「もっと食べたいですが、これだけなのですよね……。なんならパスタ単体でいただきたいくらいです。」

 あっという間に食べ終わってしまい、2人が名残惜しそうに皿を見つめている。俺は思わず微笑んだ。


「メインディッシュになります。起立するドラゴンの前脚のタレ漬け焼きカレーライスです。スパークリングワインとともにお召し上がりください。」

 カレーの上にドンッと脚をついたかのように、アビスドラゴンの前脚が立っている。

 これにはお2人とも度肝を抜かれたようだ。


「これは……どうやっていただくものなのでしょう?」

 メイベル王太后がアビスドラゴンの前脚を見て、可愛らしく首を傾げている。

「そのままかぶりついてもいいですし、柔らかいのでナイフを入れればスッと切れますよ。」

 俺の言葉にナイフを入れ、アビスドラゴンの前脚を食べてカレーを食べる。


「……初めていただくわ!

 とても美味しゅうございます。」

「アビスドラゴンの子どもの前脚を使いました。驚いていただけて良かったです。」

「アビスドラゴン!?あの、人を襲う凶暴な魔物がこんなに美味しいのですか?」

「繁殖期前の子どもを使いましたので、それもあるかも知れませんね。」


 2人とも大満足のようだ。

「最後はデザートになります。

 マンドラゴラとバナナとイチジクとクルミのタルトです。ウイスキーとともにお召し上がりください。」

「デザートに合うお酒ですか……。」

「わたくし、少々飲みすぎてしまったかしら……。どれもこれも美味しいわ……。」


 2人は頬を染め、なんだかいい雰囲気だ。俺に応えられるか分からなかったが、喜んで貰えて本当に良かった。

 食事会が終わり、ジョスラン侍従長が座を辞したあと、メイベル王太后が改めてお礼を言ってくれた。


「今日は本当にありがとう。おかげでとても楽しい時間が過ごせました。」

「何よりです。この国の王族の皆さまは、本当にとてもお優しいですね。」

 そう言う俺にメイベル王太后がふっと微笑んで、


「他のみんなはそうなのでしょうね。

 けれどわたくしは、ほんの少しだけ違います。ジョスランは少女の頃のわたくしの初恋の君なのですよ。今しかお祝い出来ませんので、少々張り切ってしまいましたの。」

 そう言って、少女のような笑顔を見せた。


 ロンメルにも礼を言い、俺はメイベル王太后が出してくれた馬車で自宅へと戻った。

「ただいま。」

「どうぞ。」

 1階にいなかったので、おそらく円璃花の部屋にいるのだろうと思って声をかけたが、やはり全員円璃花の部屋にいた。


 部屋に入ると、ベッドの上で俺が出したファッション雑誌を読んでいる円璃花の膝を滑り台にみたてて、カイアとアエラキがキャッキャと笑いながら何度も滑り降りている。ツルツルした素材のスカートだからか。子どもは何でも遊びに変えるなあ。


「こーら、2人とも、お姉ちゃんの邪魔したら駄目だろう?」

「いいのよ。可愛いから。」

 そう言って円璃花が、口元がニヨニヨと笑い出しそうなのをこらえているような表情をする。確かに可愛いな。


「遅くなってごめんな、ご飯にしようか。

 出来たら呼びに来るから、もう少しだけ待っていてくれ。」

 俺はみんなにも、同じ料理を振る舞ってやりたかったのだ。まあ、さすがにアビスドラゴンの脚と、一角兎の肉を使ったアヒージョと、マンドラゴラを使ったタルトは出さなかったが。


「出来たぞ、降りてきてくれ。」

 俺は1階から2階に向けて声をかける。

 円璃花がカイアとアエラキを連れて1階に降りて来た。

「何これ、キレイ!」

「だろう?この為にプレート皿も作って貰ったんだ。」


「ピョルル!」

「ピューイ!」

 カイアとアエラキも嬉しそうだ。

 突然頼まれて困惑したが、みんな喜んでくれたし、店にとっても良い結果につながった。結果としてやってよかったな、と思いながら、俺は料理を楽しんだのだった。

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