あなたがなくしたのは?
チャーハン@カクヨムコン参加モード
あなたがなくしたのは?
「あなたがなくしたのは何ですか? 」
その言葉が心の中で反響し始めたのは午前1時にベランダへ出ていた時だった。髪を撫でるような風が吹きひんやりとした空気が立ち込める中ねむれない時間を過ごしていた私は物思いにふけっていた。
何故生きているのだろうかという些細な疑問だ。誰もが考えたことがあるし、誰もが一度は悩んだことがあるものだ。
いつ食料が尽きるのか、いつ命が終わるのか。
幸福はどこまで受けてよくて、対価はいつ取られるのか。
これは夢で本当は自分は数字なのではないか。
そんなことをただただ考えてしまうことがある。共感できるものは誰もいない。
寧ろ共感してほしくない。この気持ちは誰にも渡したくない。
平穏を望んでしまうのは強欲でしょうか?
安泰を望んでしまうのは強欲でしょうか?
私はこう思います。強欲こそ人であると。
私はこう思います。強欲でなければ人ではないと。
もちろん偏見です。分かっています。ですが止まれません止まれないのです。
私は来るべきところまで来てしまったのです。
ベランダの柵に置いてある赤黒い液体のワイングラスを口に含みます。
気持ち悪い温度と生臭さを持ち、鉄の味がしました。夜が満ちていきます。
キャンパスに零された群青色の絵の具の様に空は染まっていきます。
夜の先に何があるのか知る術を私達は持ちません。
夜でしか生きれない生物は、笑いを知りません。
最期ぐらい、笑いを知りたかったものです。
今宵も宴は終わります。
そろそろ終わりへ向かいましょう――
あなたがなくしたのは? チャーハン@カクヨムコン参加モード @tya-hantabero
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます