可愛いと思った子の隣の子がもっと可愛かった。

五木史人

少年は、大志でも抱いていれば良いのだ!

忍法媚薬香水!ふふ。

さて、うちはくノ一の炉(いろり)と申します。


今日は、中学の同じクラスの清貧美少女の絵里奈(えりな)ちゃんが、うちの山奥にある家に来たいと言うので、一緒に【山奥小学校前行のバス】に乗っているのさ。


「お前ら、しばーく」

バス内にうちのツッコミが響いた。

山奥小学校出身者に、うちはツッコミを入れてやった。


いつもなら和気藹々と行くのだが、今日は清貧美少女の絵里奈ちゃんが一緒だ。


中1男子は、絵里奈ちゃんが気になってしょうがないのだ!


可愛いと思った子の隣の子がもっと可愛かった。

まあ、そう言う事もあるだろう。


山奥小学校時代は、可愛い少女で通っていたうちも、上には上がいるのだ。

結果、少年たちは、清貧美少女の絵里奈ちゃんに夢中だ。


そして、清貧美少女の絵里奈ちゃんは、中1なのに、真新しくない制服を着ていた。多分おさがりなのだろう。それも、少年たちの気を引いたらしい。


「笑かしよんな」

うちのツッコミは空を漂った。

うちがコメディなら、お前らはラブストーリーかよ!


そんな可愛い絵里奈ちゃんは、うちの目を見て言った。

「わたしね、お友達の家にお泊りするの初めて」


【お泊りする】この言葉に少年たちは、反応した。


そう、お前らが大好きな絵里奈ちゃんは、今日、試験勉強を一緒にすると言う大義名分の元、うちの家にお泊りするのだ。


解るだろう少年たち、一緒にお風呂に入ったり、一緒に眠ったりするのだよ!


お前らが大好きな絵里奈ちゃんは、我が手中。

百合百合するのだ!間違いなく百合百合するのだ!


少年は、大志でも抱いていれば良いのだ!


うちは絵里奈ちゃんの肩を、ぎゅっと抱きしめた。

少年たちの羨望を受けながら。



追伸、バスに乗る前に付けた忍法媚薬香水のせいで、いつも以上に少年たちをキュンキュンさせてしまったようだ。


ご免よ、少年たち。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

可愛いと思った子の隣の子がもっと可愛かった。 五木史人 @ituki-siso

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説