オールエンド・滅亡

ささやか

地球について

 次はどのような調をしようか螟ェ驛�が考えていると、螟ェ驛�の領域にŃü噶ôĘが侵入してきた。Ńü噶ôĘが領域干渉までして直接遊びにくるのは久しぶりのことだった。

「やあ、久しぶり。最近の調子はどうだい?」

「イケシプロンにぶっ飛びたいくらいさ」

「そいつはよかった。だけどその割には新作の発表が遅れてるみたいだが?」

 Ńü噶ôĘの揶揄に、螟ェ驛�は右参うまいるステーションな気分だった。

 にとって下等な知的生命体が右往左往するさまは実に滑稽なコメディであり、これを観賞することが娯楽であった。そのため、螟ェ驛�を含むの一部は積極的に宇宙を調査し、より面白い惑星を探している。そして、見つけ出した惑星の情報を保存した後、様々な介入を行い、その中でも特に反応が良かったものを選りすぐり、紹介している。

「実は最近地球っていう惑星をウォッチしているんだが、どうしようか迷ってるんだ」

「地球? 聞いたことない惑星だな。どこにあるんだ?」

 螟ェ驛�が座標を表示させる。そこはにとってほとんど手つかずの銀河系だった。

「うわあ、どマイナーにもほどがあるな。当てればでかいとは思うが。それで何が上手くいかないんだい?」

「それがこの地球じゃ何をやっても同じ結末になっちまうんだ。それじゃ面白くないだろ」

「同じ結末?」

 螟ェ驛�はだるだる盛りな仕草で、保存してあった地球のデータを復元する。

「地球じゃどんな介入をしても最後は同じだ。人類ってやつが滅亡する」

「滅亡しないよう働きかければ」

「宗教とか言い出して滅亡する」

「一部の人類だけ強化すれば」

「反乱が起きて滅亡する」

「科学とか魔法とかで超発展させれば」

「使い道を誤って滅亡する」

「へー、じゃあ介入しないで観察だけしたら」

「相争って滅亡する」

「滅びてんじゃん」

「滅びるんだ」

 あんまりにも螟ェ驛�が困った困ったと答えるから、Ńü噶ôĘはおかしくなって笑ってしまった。

「そうか、そんなに滅亡するのか、面白いじゃないか! 大ヒット間違いなしだぜ!」

「ああ、行けるネタだとは思うんだが、どこをどうとっても滅亡だから、どのパターンを紹介するかに迷ってしまって。色違いのホモサピエンスに翼を生やして降臨されるとか、シンプルに大怪獣を出現させるとか。でも絞っちゃうのも勿体もったいない気もするし」

「なるほど、なるほど。そういう迷いか。なら良案がある」

 Ńü噶ôĘは自信フルチャージで言った。

「お、なんだ」

「それならいっそ、何個から紹介すると共に地球のデータ自体も配布しちまえばいいのさ。そうすれば好き勝手に地球の滅亡で笑ってくれるさ」

「それは確かに良案だ! そうするよ!」

 Ńü噶ôĘの献策に従い、螟ェ驛�はいくつかの地球滅亡パターンを紹介すると共に、地球の復元データも併せて配布した。

 その反響は凄まじいもので、の中で長いこと地球の滅亡が傑作コメディとして楽しまれることになった。

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