第4話 ネタ作り

 「ねえ、光彦って兄弟とかいるの?」


 「え?俺の話?・・・うん、まあ」


 「お姉さん?」


 「ううん、兄貴。

兄貴は俺と違って、尖ってたっていうか、

元暴走族だったんだ」


 「えー!意外ー」


 「結婚して落ち着いて、今は3人の子供の父親だよ」


 「ふうん。暴走族ネタで売れてる芸人さんもいるね」


 「はは、兄貴のことはネタになるのかな」


    ◇ ◇ ◇


 「・・・なんか、いいネタないかなあ」


 「うん」


 「7時か。光彦、お腹すかない?」


 「すいてきた」


 「コンビニ行かない?」


 「そだね」



 2人はコンビニで、酒類も買ってしまった。

 光彦は、女性を部屋に招いたことがなかったので、

男友達と同じように灯に接していた。



 「飲もっか」

 「うん」


 2人は酎ハイの缶を開けた。


 光彦がテレビをつけた。

 『アニマル悠々』の時間だ。


 4匹のメジロが、横一列に並んで、

長方形の桶に溜まった水を飲んでいた。


 「この4匹の中で、どのメジロが一番気になる?」


 「俺は、・・・1番右のメジロかな。

コキコキ動く首の動き。左、右、左って首振りめっちゃ素早い」


 「私は左から2番目。ずっと右の方を見てて、

首振り角度が少ないところに奥ゆかしさを感じる」



 次は、ハムスターの映像になった。


 「はええ・・・」


 「ウサイン・ボルトより速いんじゃない?」


 「ウサイン・ボルト対ハムスター」


 「ハムスターに賭ける!」


 「ボルトは警察犬より遅いらしいよ」


 「へえ~、じゃあ、警察犬対ハムスター」


 「ハムスター、だな」


 「リストラされた警察犬の代わりに、警察ハムスター!」


 「ハムスターを警察ハムスターに教育する

トレーナー大募集中」


 「ハムスターが、どうやって犯人確保するの?」


 「大量のハムスターが、犯人に襲いかかる」


 「ヒッチコックの『鳥』みたいに?」


 「ハムスターに、犯人の口の中に入ってもらう」


 「口の中に入る練習をする警察ハムスター!」


 「・・・」


 「・・・今の、録音しとけばよかったね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る